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異能探偵『薙宮』  作者: 山羊山音子
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友・エリカ

たまにペース配分ミスるの申し訳ない。

 偶然とは時として人を狂わせる。人を惑わし深い迷宮へと誘う。一度嵌まれば脱出は困難であり、やがて飲み込まれてしまう。

 六月二十四日月曜日、昼休み。

 私は今、学校の屋上にいる。薙宮友が今日は一人で行動している。校舎の裏側で一体何をするつもりなのか。だが、他の人間がいないというのは好都合だ。

 私は服の中から様々な部品を取り出し組み立てた。

 今までは正体がバレないように使用を控えていた武器「対量子式貫通裂創砲機」通称『セブラム』

 これは薙宮友を確実に仕留め、痕跡を一切残さず消滅させるために持ち出した武装だ。血肉どころか遺伝子すら残さず消し去ることのできる、第一級危険装備。扱うには特別なライセンスと、半年に渡る実装訓練が必要だ。

「薙宮友、お前に恨みはないが、我が星のために消えてもらう」

 私はセブラムを構える。長い砲身と厳つい黒いボディ。私の人差し指は引き金にかかり、左手で銃身を支えている。

「死射」

 引き金を引く。一切音を立てないセブラムだが、その反動は大きく、訓練された私でもその身を後ろに持っていかれる。

 だが、これを喰らって生きていられる生物はいない。苦しみも後悔の念も抱くことなく、死ぬことにすら気づけず死んでいく。

「これで、奴も……なっ!?」

 反動で仰け反らせた体を戻し校舎裏に視線を戻した。そこには何もないはずなのに、薙宮友は平然と立っていた。

「外した?」

 屋上から下までは三階分の距離しかない。この距離であれば正直目を瞑っていても当てられる。私が外すことなど万に一つありえないのだ。だが、

「まだ気づかれてはいない。なら次で確実に仕留める」

 私が外していないとすれば攻撃を防がれたか避けられたかのどちらかだ。しかしだ、どちらにせよ薙宮が気づいていないというのはおかしい。防ぐにしても、避けたにしても、攻撃を認識したのなら反撃に出るはずである。

「攻撃とすら認識されていないということか。その傲慢な思考諸共撃ち抜いてやる」

 私は第二射を構えた。薙宮がどうやってこの攻撃を凌ぐのかをこの目に焼き付けるために全力で反動制御を行う。屋上の床に杭を打ち込み体を固定する。

「死射」

 射撃の掛け声と共に引き金を引く。打ち出された光線は真っ直ぐに薙宮友の背中に向かいーー。

「曲がった!?」

 薙宮友に命中する寸前で不自然に曲がった。まるで屈折したかのように角度を変えたのだ。

「一体どうやって……あぶない!」

 私は咄嗟に身を隠した。突然薙宮が後ろを振り返ったのだ。

 バレたか? いやまだバレてはいないはずだ。

 そう思いそっと下を覗く。

「……奴は一体何者?」

 薙宮友は私のいる場所に向かって指を指していた。ピストルの形にされた手は真っ直ぐにこちらを捉えている。その人差し指からは今にも弾丸が飛び出しそうなプレッシャーを感じる。

「セブラムでは殺せない。それにあの舐めきった態度。もはやバレていることは明白。ならば堂々と仕掛けた方がいいかもしれない」

 今日のことで確定した。薙宮友は確実に私の存在に気がついている。その取り巻きは彼からどこまでの情報を得ているのか。全くの未知数だ。

 まさか銀河間の移動も達成していない惑星の、しかも中学生という子供に敗北を味合わされることになるとは。

「薙宮友以外の人間まで手にかけてしまえば、不自然に証拠が残り私たちの存在がこの地域以外にも公になってしまうかもしれない」

 そうならないためにも、組織のボスであろう薙宮を殺し、奴らをバラバラにする必要がある。おそらく薙宮友以外の人間は彼がいない状況では脅威とならないはずだ。

 私は荷物を片付け屋上を出る。屋上は基本立ち入り禁止のため一般の生徒に出くわすことも、身バレすることもない。

 屋上から脱した私は次なる暗殺計画を練り始めた。

 それから数時間。授業の間は薙宮友も普通にしており、彼の方から私に接触してくるようなことはなかった。

 私の暗殺は、今日の放課後に幕を閉じる。


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