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《 Infinity Pioneer Online 》~一般人の兄が妹にオタクに染められる話~  作者: いちにょん
第一章 鎖縛の姫に月下のメリークリスマス
9/58

第八話 ピッチャーびびってる!へいへいへい!!

正直読まなくても問題無いと作者も思います。ネタもオチ(笑)があるだけなので、後書きだけ読んで貰えれば…。

有田みかん事件の翌日。


「第一回、ぱわぁれべりんぐぅ大会!」

「やんややんや」

「どんどんぱふぱふでござる」

「マッスルマッスル」


 俺、オーカ、マーサさん、全蔵、ディフィの五人が例の裏手の庭に集まっていた。


「パワーレベリング?」

「オーキ兄、ぱわぁれべりんぐぅだよ」

「ぱわぁれべりんぐぅって何?」

「初心者を経験者がレベル上げのサポートをする事かな。普通はやりながらゲームの特色とか、戦闘の仕方とか、人付き合いとか色々学んでいくんだけど、基本的に《ジェノサイド》は《ジェノサイド》内でしかパーティー組まないし、オーキ兄には特に必要ないので即戦力になるくらいまでレベルを引き上げます。ちなみに、かなり嫌われる行為なのでちゅーい!」


 嫌われる行為って…いいのかそれ?

 正直今から手探りで頑張ってと言われても困るので俺的には有難いが、変なところで恨みを買われるのは勘弁したいところだ。


「そう心配せんでも大丈夫でござる。戦い方はこれから嫌という程学べばいいでござるし、向こうで運動神経が良ければ武器の取り扱いと立ち回りさえ覚えればすぐでごさる」

「このゲームの特色は~…まあ、NPCと交流を持って効率よくクエストをこなしていくことだけど、《ジェノサイド》には必要ないですしね~」

「人付き合いも、自分に合ったパーティー、融通の利く生産職、情報通の奴と付き合いを築けるといいけど、商会(ここ)で完結してるしね~」

「つまり筋肉です」

「それは違うと俺でもわかります」


 ディフィが掛けてもないメガネをくいっと上げながらドヤ顔で語るのですかさずツッコむ。


「今、突っ込みましたね…?ぐふっ…突っ込むことはいいことです。えぇ、私に気にならず、思う存分後ろから突っ込んじゃってください。特に全蔵さんにはオススメですよ」


 頭の上で容姿からは想像できない下品な笑みを浮かべているであろうマーサさん。

 何故かは分からないけど、昨日からマーサさんの定位置が俺の頭の上になっている。

 軽いから特に気にならないけど、ヨダレを垂らすのは勘弁してくれると嬉しいかなぁ。


「腐りすぎて遂に発酵始まったでござるか?」

「発酵系女子…新しいですね」

「乳酸菌多そう」

「ツッコミを後ろにすると何かあるのか?漫才だと横が定番だけど」

「……見ないでください。腐りきった私をそんな純粋な瞳で見ないでっ!!」


 マーサさんが小さな顔を覆って泣き始める。

 何か変なことを言っただろうか?


「穴があったら突っ込んで欲しいくらい恥ずかしいです…」

「そういうところでござるよ」

「ござるが言えたことじゃないけどね。まぁまず、ぱわぁれべりんぐぅの前にオーキ兄の装備を整えようか。ステータスと装備画面を私に共有してくれる?」

「えーっと…ステータスと装備…を開いて、フレンドに共有……」


 項目が多すぎて目がチカチカする。そのうち慣れるのだろうか。

 スマホも未だにガラケーの名残が残って画面をタップして文字を打ち込んでいる俺にVRゲームはまだ早かったのかもしれない。


ーーーーー


《ステータス》


名前:オーキ=ペンデレエーク


年齢:17


種族:人族


性別:男


職業:傭兵


Lv:1


HP:100


MP:60


SP:140


STR:45(+5)


VIT:38(+8)


DEX:20


AGI:28(+3)


INT:15


MND:10


LUK:8


スキル:(斧槍:Lv1) (不倒:Lv1) (加重Lv1) (伸び代:LvE) (u@gxた:Lv1)


ボーナスポイント:0


《装備》


【武器】

メイン武器1:開拓者の槍斧(STR+5)

メイン武器2:なし

サブ武器:なし

【防具】

頭:なし

胴:開拓者の服[下級](VIT+5)

腕(右):なし

腕(左):なし

下半身:開拓者のズボン[下級](VIT+3)

足:革靴(AGI+3)

【アクセサリ】

スロット1:なし

スロット2:なし


ーーーーー


「わーお。対大型モンスター長期連戦用ビルドだ。初めて見た」

「オーカ殿、スクショプリーズでござる」

「あいあい~」


 スクショは流石に分かる。スマホでも良く使うからな。

 それにしても自分の見ている景色がスクショ出来るって便利だな。どちらかというと写真に近いかな?


「おおっ、面白い構成でござるな」

「前衛まっしぐらですね」

「この後、VIT(バイタ)STRスター伸ばしてヘイト系のスキル取れば壁殴り(タンクアタッカー)が無難?」

「運動神経がいいのであればAGI(アジ)SP(スタミナ)伸ばして遊撃に回すのもありでござるな。タンクアタッカー(タンカー)はバルクがいるでこざるから、ここでヘイトを二つに分けると支援のヲタ殿にヘイトが寄る可能性が…」

「それならVITのバルクさんと、MNDのオーキさんでタンクスイッチはどうですか?」

「あー、ヲタちゃん支援特化だから思ったよりヘイト食うんだよねぇ…魔法特化タンクも悪くないけど、傭兵との兼ね合いを考えるとなぁ…一撃特化もSTR極振り(ディフィ)がいるし、DPS最強もござるだしなぁ」

「これでも全プレイヤーの中でDPSだけは負けないと自負してるでござる。にんにん」

「あれはござるしか出来ないから…」

「正直、ヒーラー以外の役割は被りそうだもんねぇ」

「支援のヲタ殿、タンカーのバルク殿、STR極振り(筋肉バカ)のディフィ殿、殲滅特化のマーサ殿、手数押しの拙者、即死ガチャのオーカ殿…ここは敢えて器用貧乏というのはどうでござろうか」


 皆がウィンドウを見ながら口々に俺の立ち位置を決める為に意見を交わしているようだが、何を言っているのか分からない。

 一つ分かったのはディフィが筋肉バカということだけだ。

 いや、既に知ってたな。


「うーーーーーん…よし、オーキ兄に決めてもらおう。どうせ何選んでも役に立ちそうだし」

「全く話に付いていけて無いんだが……」

「槍斧があるからSTRを伸ばすのは前提として、もう一つ伸ばすなら何がいい?」

「えーっと…」


 話の中では守りを固めるためにVITにするか、速く動くためにAGIにするかって感じでいいのかな?


 どっちの方が俺に合っているか…だよな。


 取り敢えず一回、イリーちゃんからの説明を思いだそう。


 論外というか、現状有り得ないのはINTだな。

 次点でMND。マーサさんはオススメしてたようだけど、オーカの傭兵との兼ね合いを考えると素人的にもうーんだ。口振り的に尖ったプレイヤーになってしまいそうだ。

 初めてのネットゲームで素人の俺が使いこなせるとも思えない。


 後はそうだなぁ……。


「オーカ、一つ質問なんだけど」

「ん?」

「これってSTRともう一つしか選んじゃだめなのか?」

「そんな事ないけど…大変だよ?」

「どうしても一つに絞れなくて」

「取り敢えずその二つは何を考えてるの?」

「AGIとDEXだな」

「ほーーー……ん?んーー?ん?」


 俺の答えに何とも納得の言ってなさそうなオーカ。

 首を傾げて全蔵達と顔を見合わせている。


「遊撃系クリティカルアタッカー?」

「近接ビルドでDEXでござるか…ありなのでござろうか?」

「そりゃクリティカル出たらダメージ三倍だし、受け流し(パリィ)でもダメージ無しにら加えて硬直効果あるからありっちゃありだけど、弓士とかガンマン以外で取る人見たことないよね」

「クリティカル単体が存在するゲームなら良くあるでござるが、命中率補正のDEXにあくまで副次効果のクリティカル目的で振るのは危ないでござるからなぁ…」


 あれ、やっぱり素人意見じゃダメだっただろうか。

 予想はしていたけど、反応は著しくないな。


「オーキさん、何か意図があるんですか?」

「私も、鎖骨下筋(ファンシー)も気になっています」

「AGIに振りたいのは目には自信があるからかな?耐えるというよりも、避けるって方が俺に合ってる気がする。DEXに振りたいのは、全蔵も言ってたけどクリティカル目的かな。足で避けて加重でダメージをプラスした状態でクリティカル出たらホームランくらい気持ちよさそうかなぁと」

「中々ぶっとんだ理由でござるな」


 そんなことは無いと思うけどなぁ…。


 体がカチリとハマる感触、手に残るずしりとしたボールの感触、バットとボールが触れた瞬間に分かる入ったという確信、打者として相手投手に勝ったという高揚感、ベンチやアルプスからの歓声、全てが合わさった時の気持ちよさ(爽快感)は何とも言えない。


 体を壊してからもうすぐ二ヶ月。常日頃動いていた体を動かさず、リハビリに努める毎日。

 二度と野球が出来ないかもしれない。出来たとしても打者としてバッターボックスに入れるかも分からない。


 なんというか…ストレスが溜まっている。体を動かしていないイライラが最近とても酷い。


 人生の中で喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも、全て野球から与えられてきた。それが今は全くと言っていいほど無い。

 ストレスがある日なんかはシートバッティングで生きた球を打ってスカッとするのが昔からの習慣だ。

 思い切り走ってクタクタになるのも好きだ。試合じゃ使えない変化球を使って遊ぶのも好きだ。


 だけど今は野球はおろか、運動が出来ない。


 ストレスの解消法を俺は野球以外で知らない。

 だが、今は野球の事を考えるとズキリと心臓が痛む。

 このゲームを始めたのも野球を忘れられるかもという、ふとした考えからだ。

 せっかくオーカが勧めてくれたゲームだ。新しい出会いもあった。やるならなるべく長く続けたい。


 喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも、出来るならこのゲームで見つてみたい。野球の代わりになる何かを見つけたい。


「よしっ、オーキ兄の提案通りにしよう」

「いいんですか?」

「2ステ伸ばしはまあ、ネトゲじゃ王道だし、役割分担が明確に決まってると最強だし、ボーナスポイントの上限が見えない現状は3ステ伸ばしは邪道だし、このゲーム(IPO)じゃクリティカルは確率じゃなくて8フレームにタイミング捩じ込むクソゲーだし、DEX上げたところで8フレームが10フレームになるだけだし…」


 オーカは苦虫を噛み潰したような表情をしながら俺の方針への駄目だしを続ける。


 そんなに駄目なのかDEXとAGIを追加で伸ばすの。


「色々言いたいことはあるけどっっ!」


 オーカは仁王立ちで腕を組んだまま、んーっと顔を空へと向けて、今までのダメ出しを飲み込むように大きく一度息を吸う。


「うちってそういうパーティーじゃん?」


 諦めたような、呆れたような表情を浮かべて正面に向き直ったオーカ。


「確かにそうでござるな…困ったら拙者たちがサポートすればいいだけでござるし」

「やれやれ、リーダーの決定には逆らえませんね」

腹横筋(ナダル)も賛成していますし、私から言うことはありませんよ」


 なんだか「仕方ないなぁこの人は」みたいな表情でオーカを見つめる全蔵達。

 見覚えのある一体感。シニア時代に三点差のまま最終回、ツーアウト一、二塁で敬遠された俺が甘めに外された敬遠のスローボールを身を乗り出して同点ホームラン打ってベンチに帰ってきた時の雰囲気と同じだ。

 あの後、必死こいて逆転して勝ったあとの帰りの焼肉は人生で一番旨かったなぁ…。


 全蔵達も同じ気持ちなのだろうか。

 周りがいい雰囲気になってる時に、最初から状況があんまり飲み込めていない俺は置いてきぼりを食らった気分だ。いや、置いてきぼり食らってるのか。


 でもまぁ、取り敢えず認められたようで良かった…のかな?


「取り敢えずオーキ兄はSTR、AGI、DEXを2:1:1の割合で伸ばす方針で行こう」

「よくわかんないけど了解した」

「ちょっと長くなっちゃったけど、まだ何か質問ある?」

「質問……質問かぁ……あっ」

「ん?」

「さっき全蔵でみんなのビルドを話してた時にクレアさんがいなかったのはなんでだ?」

「「「「あ~~~」」」」


 え?え?

 全員が気づいちゃったか~って顔でこちらを見てくる。

 聞いちゃだめなやつだったのか?


「なんというか、うん、クレアさんは趣味に走ったビルドだよ…」

「VIT最低値とか…?」

「……クレア殿の職業は調教師(テイマー)。モンスターを使役して扱うのでござるが、そのテイムしたモンスターが中々…」

「何か問題あるのか?」

「スライムと、触手いっぱいイソギンチャクと、アイアン・メイデンとか…うん、あんまり人にお見せできないモンスターばっかりでね」

「強いことは強いんでござるよ?」

「ですが…」

「絵面が……」


 あーー…なんとなく理解した。

 うん、これ以上追求するのはやめておこう。

 ゲームのやり方は人それぞれ。そう思って心の中に留めておくのが一番だ。

《後書きのコーナー》


[今話の感想]


オーカ「本当に読む意味無いよね」


オーキ「俺がホームランと似た感触欲しいからDEXも上げるぜ!って話だからな」


オーカ「凄い、五千文字が一行に変わった」


オーキ「次こそはゲームらしいことを…!」


[質問のコーナー]


オーカ「感想じゃないけど、Twitterの方に質問が来たのでお答えしまーす!」


オーキ「まだ増えるのか…」


オーカ「質問内容は伏字についてだね。後書きまで〇で隠す必要あるの?って」


オーキ「正直、他がやってるから〇で伏せればいいんじゃない?くらいにしか考えてないから詳しい人がいたら教えて欲しいくらい」


オーカ「後書きだけだも伏字使わずに済むなら有難いよね~…以上!」


[オタク化計画・アニメを見よう]


オーカ「ということでオーキ兄、ノラ〇ミどうだった?」


オーキ「まだ途中だけど面白いよ。けど、アニメを見る習慣が無いから暇を見つけながら少しずつって感じ。キャラクターも格好よくて、俺でも知ってるような神様をモデルにしてるから何処と無く親しみ易いし、物語も考えられてそんな発想があるのか~とか結構楽しめたよ」


オーカ「おぉ…!もっと「ヒヨリカワイイ。ヨメニシタイ」とかカタコトになるかと思ってた」


オーキ「その段階は俺には早すぎる…!」


オーカ「じゃあそのまま続けてみてね☆見終わる頃には次のアニメ決めておくから。あと、この人好き!っていう推しキャラクターを決めておくこと!」


オーキ「決めると何かあるのか?」


オーカ「同担拒否以外なら「そのキャラ私も好きです!」って感想が届くかも知れない」


オーキ「本音ガバガバだな。絶対にお前とは契約したくないと思ったよ、刺されそう」


オーカ「そういう時は神社のお水で清めてね」


[次回予告]


オーキ「長いな、後書き」


オーカ「少し後悔してる」


オーキ「あんまり長いと飽きられるので早速次回予告!」


オーカ「第九話『知性的な野性味溢れるぱわぁれべりんぐぅ』です!お楽しみに!」


オーキ「タイトルから矛盾してるんだよな…」


オーカ「ぜってー見てくれよな!」

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