第四話 拙者だ。お前だったのか、全く気づかなかったぞ。
☆ sideー二三桜樹
「ここで地下鉄に乗り換え…」
今日は転校初日。電車とバスで通学する俺は、現在一人で朝早くから家を出て学校へと向かっていた。
桜華は午前中に撮影がある為、午後から登校。全蔵は「顔合わせはクラスで…その方がいいでござろう?」と言っていたので別行動。なんで俺とお前が同じクラスの事を確定しているのかと問い詰めたいが…。
「やっぱり混むな…」
私立ルミーナ学園は始業が九時と少し遅い為、通勤ラッシュからは外れているように感じているのだが……最近では大手企業の始業が遅くなったりなどがある為、混むことに変わりはない。
桜華が所属している芸能科の多くが送迎車付き…桜華のようなトップモデルともなれば桜華一人の為に送迎車が一台用意されるくらいだ。
俺や全蔵のような普通科とは掛け離れた世界だな。送迎は素直に羨ましい。
「うわぁ…」
明日ヶ丘も大きかったが、ルミーナは更に大きい。敷地面積が倍くらいあるな…聖と名に付く位なので教会とかあるのかと思ったが、そうではないらしい。代わりに時計塔みたいなのはあるが…。
聖ルミーナ学園はコの字型の四階建て本校舎、実技棟と呼ばれる三階建ての建物、二階建ての武道場、体育館、野球部専用グラウンドに、サッカー部専用グラウンド、第一グラウンド、第二グラウンド、テニスコート、etc…本当に広いな。
学園内の各所に配置されている地図を見ながら職員室へと向かう。早めの登校だが、朝練や委員会活動を行っている生徒も見受けられ、ランニングをしている生徒なんかはすれ違う度に挨拶してくれる。人によると思うが、元気よく挨拶を交わすことは個人的には気持がいい。
歴史が古い学園だが、校舎は目新しく、中も想像以上に綺麗だ。新設校である明日ヶ丘とも遜色ないだろう。
そんなこんなで職員室に辿り着いた後、各種説明を受けて時間を使い、これから担任の先生と共に新しいクラスへと向かう。
「二年一組担任の幹だ。気軽にミッキー先生と呼んでくれると私は嬉しい」
「よろしくお願いします」
担任になったのはミサキさん風…と言い方は失礼だろうか。姉御肌な感じのする気さくな先生だ。肩甲骨下くらいの黒髪を一つに結んでおり、まだ二十代半ばだろうか、年齢も近く親しみやすそうで一安心だ。
「うん、うん、いいな!今年は不作続きで困っていたんだが、今日から二三、私の推しな!」
「はい…?」
「安心しろ。私は推しを見守るだけで十分だ。ただ、二三の私生活を眺めていたいだけだ。危害は加えない。むしろ独身公務員の財力を貢ぐから安心してくれ」
「安心出来る要素が無いのですが…」
「早速で悪いんだが、盗聴器を仕掛けさせて貰ってもいいだろうか?」
「本当に悪いですよ!?本人の許可あれば盗み聴きしていいって訳じゃないですからね!?ていうか、何で盗聴器をポケットに忍ばせているんですか!?」
「最近…教頭先生が……あれでな……」
「あれ…?」
「決して悪いことに使おうと言うわけではないのだが、弱みでも握れないかな~と」
「弱みは使った時点で全部、悪ですからね!?」
怖い。超怖いよこの人!?最近VRゲームで頭のおかしい人と関わることが多かったが、更に上を行くんだけど!?VRやって耐性付けてないあの頃の俺なら通報してるんだけど!?
「しっ!ここから先は教室に聞かれてしまう。転校初日の大事なアピールの時間。大声を聞かれて友達関係を崩壊させたくなければ静かにするんだ。優しい先生からの忠告だぞ」
「忠告は有難いんですが、大声出してる理由の十割が先生のせいです。それとさり気なく盗聴器をポケットに入れないでください。気づいてます。あとGPS発信機ぽいのもお返しします」
「馬鹿なっ!?前推しにすらバレたことの無い私の完璧な技術が破られただと!?」
あっ…うん、忍者に心当たりしかないや。
全蔵、盗聴器とGPS発信機を一般人に仕込まれてるぞ…。傷つかないように後でこっそり取っておいてやるか。
「じゃあ私が今から教室に突入する。スリーコールで入ってこい。まず私が左側の生徒を殺るから二三は右側を制圧してくれ」
引き戸を挟んでチラリとドアの小窓から中の様子を探るミッキー先生に、俺は取り敢えず溜息を一つ零す。この人は一体何と戦っているのだろうか。
「3、2、1で行くぞ…3…突入!!」
「2と1は!?」
「おはよう諸君、速やかに両手両足を上にあげるんだ!抵抗する素振りを見せた瞬間、内申点を下げる。今日は転校生を紹介……メディク!メディーク!!エマージェンシー!生徒全員が110番の画面をこちらに向けている!助けてくれ転校生!」
あの人は何がしたいんだろうか…。
「はぁ…」
俺は再び溜息を零すと、無言でスマホに『1』『1』『0』と打ち込んだ。
☆
「えー…また教頭先生に怒られました。転校生を紹介します。一年生の二三桜華のお兄ちゃんである二三桜樹君です。はい、一発芸をどうぞ」
「二三桜樹です。知っている人もいるかもしれませんが、元々大阪で野球をやっていました。怪我を切っ掛けに地元の愛知県に戻ってきました」
「はははっ、早速先生の扱いが分かってきたようで何よりだな!」
「……」
「……」
「間に困ったら盗聴器仕掛けようとするのやめてください。壊していいですか?」
「はい!みんな、桜樹くんに質問ある奴はいるかな!?おっといっぱいいるみたいだから橋本、なんか質問しろ」
「誰も手を挙げてないんですが…」
何となくこの人の扱いが分かった。全蔵とか『ジェノサイド』の面々と同じ扱いをするのが正解なのだろう。発言は全て虚言と受け取り、寛容な心で全てを受け止める。後は流水の如くボケをスルーして放置しておく。あまりスルーすると拗ねるのでたまに構うことも大事。
「俺、橋本っていいます!彼女はいますか!!」
「いません。今まで野球漬けの人生だったので……これからは少し自由な時間があるので出来ればいいなとは思ってます」
「はい!俺、高梨っていいます!好きな女性のタイプはなんですか!?」
「よく食べてよく笑う人ですかね…」
「はいはい!私、浜崎っていいます!自称でいいので受けと攻めどっちが向いてると思いますか!?」
「腐り朽ちるといいと思います」
何だかんだで質問が飛んでくるので無難に返していく。ちゃんと名前を名乗ってくれる辺り、顔と名前を一致させて覚えやすいのでありがたいのだが、途中から腐向けの質問が多い気がする。マーサさんが喜びそうだなぁ…。
「俺、桜大門って言うんだけど、無人島にもし一つ持っていくとするなら何持っていいますか!?」
「そうだな…辿り着く無人島にもよるけど、食材や水の確保は経験あるし…衣食住に関してはあれだけど、衛生面や怪我、病気が怖いので一つ持っていくなら抗生物質ですかね…」
「お、おう…実感が籠ってる」
朝のSTも終わり、俺への質問タイムが終わると俺は席へと案内される。
俺の席は、廊下側の一番後ろの席だな。前の方が黒板が見えやすいが、俺の身長じゃ一番後ろが妥当だろうな。
それにしても全蔵の姿を見ていない…あ、あの窓側の一番後ろ、影を潜めてる黒髪のあいつぽいな。前髪を伸ばして目元を隠している辺り、凄く日常に忍ぶ忍者ぽい。ふふふ、ネットでは散々な性格をしているが、リアルではあんな感じなのか、後で話しかけて弄ってやろう。
俺の隣は…うわ、金髪…染めてるんじゃなくて地毛だなこれは。芸能科にいないのが不思議なくらいのイケメンだな…。金髪碧眼の王子様って感じで女の子はこういう人に憧れるんだろうな。
凄いニコニコしてるけど日本語通じるのだろうか。取り敢えず様子見で英語を…。
「Hi ! It's my pleasure to meet you.」
「よろしくでござる」
「お前が全蔵かぁぁぁぁぁああああ!!?!?」
見た目に似合わないでら流暢な日本語で返してきやがって!!超ビビったわ!!人生で一番声が出たと思うくらいデカい声でたよ!!
「なに、二人は知り合いなの?」
「ちょっとゲームで…」
「今時だね~、先生も良くゲームやるけどいいよね。もっぱら一人用の乙女ゲーなんだけど。後はFPS。あれはいいよ、全部教頭先生の顔に出来たら最高なんだけど」
「どれだけ殺意高いんでござるか」
「それにしても服部、今日はやけに静かだと思ったらこれを狙ってたのか?」
「カッカッカッ!サプライズは大事でござるからなぁ」
高笑いする全蔵に近くから「いつもそれくらい静かならいいのに…」とクラスメイトからの本音が聞こえてくる。早くも全蔵のクラスでの立ち位置が分かった。気の毒と言うべきか、自業自得と言うべきか。
「取り敢えずもうすぐ一限が始まるから皆、準備しろよ~。私は夏休みの課題の採点をしなければならない。面倒だ…酷く憂鬱だ…だが、推しの為なら私は頑張れるぞ!うん、頑張ろう!」
「先生新しい推しが出来たんだ」
「もしかして桜樹殿?」
「残念ながら。お前も前推しだったんだろ?なんで推し変されたんだ?」
「見た目と中身のギャップがプラスに作用してないらしいでござる」
「言い当て妙だな。」
金髪碧眼と忍者を掛けるとマイナスになる。人類史に残る新たな公式の誕生だな。いや、この場合、 忍者というより全蔵のダメな性格が問題なのか。
☆
キーンコーンカンカンカコンコカコカコンコン
「なんだこのリズムを刻んだノリノリなチャイム」
「オリジナリティでござるよ」
変なリズムと共に一限目を終えると、10分の休憩を挟む。この学園は40分授業の7限まで。かなり特殊な時間割だが、まぁ後は慣れだろう。
「二三くんで良かった?」
「いや呼びにくいだろうし、良ければ桜樹って呼んでくれ」
「オッケー、俺は佐久間、下は亮な。好きに呼んでくれ」
「じゃあ、佐久間さんで」
「よそよそしいな、おい!?気軽に亮って呼んでくれよ」
「冗談だ。よろしくな、佐久間さん」
「そこは変わらねぇんだ!?冗談ってどの部分が冗談だったんだよ!?」
机の上に散らばった消しカスを集めていると、前に座っていた男子が振り返って話しかけてくる。
これまたイケメンだ。体格もガッチリとしており、運動部だろうか。口元のホクロが特徴だな。
「佐久間さんは何か運動部に入ってるのか?」
「いや、帰宅部だ」
「それにしてもガッチリした体格だな」
「俺、ミリタリー系が好きでな。将来は自衛隊に入るために鍛えてるんだ。趣味はサバゲーと筋トレ、後FPS」
ハンドジェスチャーで銃を作ると、俺に向けて撃つふりをしてニッコリと笑う。気さくな良い奴だな。
「それにしてはかなりの鍛え具合だな…」
「分かるか?親戚の叔父さんが元自衛官で、色々と付き合って貰って鍛えてるんだ」
「上腕の鍛え方が特にいいな。これは腕立てやベンチだけで鍛えたんじゃないな…日常的に使ってる感じだ」
「そ、そこまで分かるのか。家が酒屋だから朝と夕方は手伝いで重い酒をえっちらほっちら運んでるのさ」
「桜樹殿、最近筋肉への執着凄くないでござるか?」
「男子高校生の嗜みだ」
筋肉があれば全てが解決出来る。例え悪の組織に誘拐されても問題無い。ヒーローの登場を待たずに解決出来る。素晴らしい。筋肉は偉大だ。我が家が仏教で無ければ、宗教の自由を理由に俺は筋肉の神を崇めたい所であった。
「所で忍者と桜樹は何のゲームで知り合ったんだ?」
「《IPO》でござるよ」
「あー、あの今話題の奴な。俺のVR機三世代前の奴だから出来ないんだよなぁ。買い直したらやりたい所だけど」
「亮殿はFPS専門でござるよね?」
「専門ってわけじゃ無いけど、FPSに偏るな。最近のFPSはいい出来だからなぁ…」
「FPS系でござるか、暫く触れてないでござるな。桜樹殿、今度やってみるでござるか?」
「いいな。少し気になる」
「なら俺のオススメいくつかピックアップするから、買ったら一緒にやろうぜ」
FPSか…あの銃で撃ち合うゲームだよな。血とかあんまり好きじゃないんだが、興味はあるかな。大人気コンテンツの一つだし。
☆
「こちらではお初お目にかかります。服部ママ、今日から桜樹様と主従契約により、身辺警護をさせて頂きます」
「クーリングオフは可能ですか?」
「法的適応外でござる」
「まあ、プライバシーは守られてるし、身の安全も守られるから楽ではあるよ?」
「相手が全蔵なら俺も何も気にしないけど、マーちゃんじゃ気が引けると言うか……」
昼休み。登校してきた桜華と、マーちゃんと合流し、全蔵も合わせて四人で中庭に用意されたテーブルの一つで俺達は昼御飯を食べていた。
俺と桜華は俺が昨日の夜に作った弁当を。中身は桜華仕様でかなりヘルシーな物だ。全蔵は購買で買ったパン、マーちゃんは自前のお弁当だ。全蔵、ハブられてないか?
マーちゃんはゲーム内とほとんど変わらず、現代の女子高生と言った感じだ。緩く巻かれた長髪を明るい茶髪に染め、化粧も軽くしている。スカートも規定の長さよりも上に折っている。顔立ちも全蔵と同じく整っている。こちらは日本人の血が濃いのだろうか、ハーフと言った印象が強い。全蔵に関しては大和の血は何も感じない。
マーちゃんも言葉遣いに女子高生らしさは感じないけど。
それにしても主従契約か…桜華と全蔵が結んでいるようだが…まあ、簡単に言えば主人の安全を守ると。全蔵もわざわざ愛知に引っ越して来たと聞いているし、現代的に言えば非常識だが、四六時中見張っている訳じゃないと考えると安全面が上がると捉えた方がいいのだろうか。
桜華に関してはかなり安心だが、俺はなぁ…正直、俺のような男を誘拐する気もしないのだが…。
「うん、ほどほどによろしく頼む」
「ほどほどですね。分かりました。取り敢えず、こちらをチラチラ見ている輩を殺しますか?殺しますね。殺しました」
「確認と共に断定、事後報告やめようね。目立っているのはマーちゃんだけがベンチに座らずに片膝を付いて俺に頭を下げてるからだと思うよ。変な噂が立つ前にやめて欲しいかな」
「五体投地で良かったですか?」
「ほほう、マーちゃんは余程俺の新生活を壊したいようだ。頼むから穏便に、普通に、もし俺に危機が迫った時だけお願いします」
桜華、全蔵と同じ学園になった時点で覚悟はしていた。うん、胃薬をこの歳で購入するくらいの覚悟はしていたが、まさかマーちゃんが一番の地雷原だとは思ってもいなかった。
悲しみを背負って俺は新生活を始めるよ…。
「さく兄、これ残していい?」
「駄目。全部食べて栄養素を補えるんだ。ちゃんと食べなさい」
「ちぇ~…あ、さく兄があ~んして食べせてくれたら食べれるかも」
「俺のあ~んには特殊効果は存在しないから、あ~んで食べられるなら今も食べられるぞ」
「飲み込むのは?」
「ちゃんと噛んで食べて」
「そう言えば、桜樹殿は何か部活とか入るご予定は?」
「今のところは無いな」
「色々あるでござるから、興味があるなら覗いてみるのもいいでござるよ」
そう言って全蔵に渡されたパンフレット…あれ、今そのパンフレット、どこから出した?え?空間転移か何か?
疑問を飲み込み、パンフレットを見ると『部活・同好会一覧』のタイトルとアニメチックな表紙が描かれている。隅の方にライトノベルイラスト同好会一同と書かれている。
パンフレットの厚みから見てもかなりの量がありそうだな。
ページをめくると、一ページ目には…部活と同好会の違いね…他にも部活動や同好会の規模や成績、学園への貢献度でランクが付いていると…なんかフィクションみたいだな。
「硬式野球部は…へぇ、県ベスト16なのか。軟式野球部、サッカー部、フットサル部、陸上部、ラグビー部、ハンドボール部、硬式テニス部…文化部は、吹奏楽部に、軽音楽部、ジャズ音楽部…音楽系でも複数あるのか」
チラホラと全国大会に出場していい成績を収めてる部活もあるな…。部活動だと目新しいものもあるが、予想外と言ったものはあんまりなかったな。
同好会の方は…うわ、なんだこの数……。
「部活は顧問が二人以上、部員が十五人以上で成立するでござる。その条件を満たせていないのが同好会でござるな。部費や同行会費は規模とランクに寄って出るでござる。例えば囲碁同好会は部員二人で顧問一人でござるが、部員の二人は…んー、簡単に言えばプロと学業を兼任してるのでランクは最高ランクのA10。部員数八十人、顧問三人、専属のコーチと監督がいる野球部と部費は同じになるでござる」
「やりたい事で結果を残せば得をするってことか」
「逆に結果を出せなければ烏合の衆という事で損ばかりでござるな」
「変わったところだと、学期テスト対策同好会とか凄いよね。先生達の授業の癖や過去問から傾向を探って赴任してきた先生や、新任の先生にヤマを張って当ててるんだもん」
「そんなのがあるのか」
「あそこは上位の大学を狙っている人達が多いでござるな。いい成績とはそれだけで大学の合格に直結しやすいでござるから。ちなみに、同好会メンバーの平均点によってランクが変わってくるでござるよ」
学期テスト対策同好会か…志望大学には余裕な偏差値はあるものの、成績が上がるのなら入っても損は無さそうだな。
「あ、桜樹様、入るならやめた方がいいと思いますよ。あそこはのめり込み過ぎてテスト対策というより、テスト問題をどれだけ予想できるかを当てる同好会なので」
「え~っと…?」
「テスト範囲を全て網羅した上でその先生なら、教科書のどこを使い、どういう言い回しで、どのような答えで出題するのかを考えているんでござるよ」
「あ~……」
「それに神経を費やしているので、下手な運動部よりも下校時間は遅いです。土日も研究に抜かりがないと聞いてます」
「先生が対策の対策でわざと出題傾向を変えた時でも完璧に当てた時は戦慄したよね…」
思ったよりも本気の部活のようだ…そこに熱意の無い俺が水を刺すのもどうだろうか。うん、辞めておこう。
「他は……古典同好会…隣人同好会…?囲碁サッカー同好会…学園生活支援同好会、ゲーム製作同好会(仮)、ツインテール同好会、自演乙の同好会…地球防衛同好会、ホスト同好会、食品研究同好会…なんだこれ?」
「さぁ、何するんだろうね。原作見ようね」
「原…作……?」
よく分からないけど取り敢えず他に興味を唆られるようなものは…
「筋肉愛好同好会…だと…!?」
「さく兄、怪我してるんだから駄目だよ」
「ちぇっ」
かなり運命を感じたのだが、桜華に即否定されてしまった。残念だ…。
「自分で同好会を作るのもありでござるよ」
「自分で作るか……作るとしても何作るんだ?筋肉宗教同好会?」
「筋肉から離れようぜブラザー」
「それは無理だ。人には生まれてから死ぬまで筋肉は体に寄り添うんだぜ、シスター」
佐久間さんも帰宅部と言っていたし、別に帰宅部でも問題無いのだろう。そのうち、気になるようなものがあれば入れば良し、作っても良しだな。今は保留にしておこう。
「皆は何か部活や同好会入ってるのか?」
「拙者は特に」
「私は忙しいからね~」
「私も特に入ってないです」
「じゃあみんな帰宅部か」
「「「あんな危ない部活入るわけない(でござる)(じゃないですか)」」」
「あ、危ない?」
帰宅部って俺の知る中で最も怪我率の低い世界一安全な部活なんだが?俺が漢字を間違えているのだろうか。いや、そんなはずは無いんだが…。
「帰宅部って自宅に帰る部で帰宅部だよな?堕ちた鬼を駆逐するとかで鬼堕駆部とかじゃないよな?」
「何言ってるの?帰宅部は帰宅部でしょ」
「でもあれは忍者の拙者でも遠慮したいでござるな」
「一流の戦士でも危ぶまれますからね…」
「よく学園も許可してるよね、生徒が死ぬかもしれないのに」
「ふむぅ、あれは拙者達とはまた違う種類の狂気の兵士。負けるとは言わないでござるが、厄介この上ないでござるな」
「帰宅部が3人集まれば自衛隊の一小隊と同等と言われてますからね」
「1人より2人、2人より3人、1人相手なら多少強い程度でござるが、帰宅部は群れると手が付けられなくなるでござるよ」
忍者に厄介と言われている帰宅部。それに入っている佐久間さん。帰宅部とは一体なんなんだ…。
俺の知らない所で何か、大きな何かが世界を動かしている…?
そう、この時俺は気づいていなかった。
帰宅部があんなものだったなんて───────
《後書きのコーナー》
[今話の感想&次回予告]
桜華「ようこそ聖ルミーナ学園へ」
桜樹「キタクブコワイ。キタクブアブナイ。キタクブ…キタクブ…」
桜華「まあ、最初は誰だってこうなるよね。帰宅部なんてものを見たら…まぁ、すぐに慣れるよ。いや、慣らされるよ。帰宅部は精神にも介入してくるから」
桜樹「もしもし国家権力…助けてください」
桜華「帰宅部は合法です!ごくごく普通の部活でたまに死人がでるとか噂があるけど合法です!!」
桜樹「じ、次回は《IPO》の世界に戻ります…」
桜華「次回、『絶壁にし──絶壁にしようぜ──絶壁に─絶壁にしようぜ──絶壁にしたら──絶壁にしようぜ──かなり絶壁だよコレ!』」




