第二十一話 あのスキルを見てみよう。その1
昨日、一昨日と繁忙期で疲れて帰ってきてから爆睡してしまいました。申し訳ない…。
「ふむ……」
オルガン・シェイクの後、各々が仕事や私用で落ちた後、俺は朝食を食べて再び《IPO》にログインしていた。
フレンドを確認すると、珍しく誰もログインしていない。(エミリアさんを除く)
「いい機会だから、あれを確認しておくか…」
先日釣りをした防波堤にアイテムボックスの中にあった簡易式の組み立て椅子を広げて座る。
確認しておきたい事は三つ。
アイテム一つに、スキルが二つだ。
この三つ共、オーカ達にはまだ何も言っていない。直感的な話だが、話すと面倒事というか、色々と不味いことになりそうなので一旦この場でゆっくり確認してから相談するかを決めようと思う。
「まずこれだな…」
まずはアイテム。先日、釣りをしていた時に偶然釣り上げた代物だ。
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«hOrあ1のたmAの枝»
【ー】の海、【ーー】という山にあるとある木の枝。
【ー】を根とし、【ー】を茎とし、【ーーー】を実とする木で大変珍しい。
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見るからに怪しい。
文字がグチャグチャに化けているし、説明欄も簡潔にも関わらず、見事に穴抜け。
海にある山…これが海底火山とかいうオチであるとは考えにくいし、わざわざこれだけして隠す必要性は無い。
分かることは先程の海にある山に生える珍しい木の枝と言うことだけ。
一度軽く検索をかけた所、『海の枝』では珊瑚が、『海の山』では力士がヒットした。どちらにしても、隠す必要すらないし、力士の枝ってどこだよ案件である。
つまりここから導き出されるのは…これヤバいやつ。
掲示板にスクリーンショットでも貼り付けて聞こうかと思ったが、見るからに嫌な予感がするのでやめておいた。
改めてアイテムボックスから取り出した枝を見る。
肘先くらいの大きさの随分と黒ずんだ枝。枝先にはに小さく実らしきものがいくつか付いている。
だが、所々に苔が付着しており、枝にも触りたくない類の海藻がべっとり。持っているだけで凄くぬるぬるします。
実であろう部分は完全に苔に覆われている。一つもぎ取って苔を剥がすと…
「思ったよりも硬い。ちょっとシワってしてるし、種だけ残ったのかな?」
うーーーん…分からない。漂流物のようだし、この感じだとかなりの年数が経ってそうだ。素人目じゃ分からないな。
オーカか、全蔵あたりに後日聞いておくか。いや、ミサキさんの方がいいかな?
まあ、これ一つで何か天変地異が起こるとは思わないし、覚えてた時でいいか。アイテムボックスに眠らせておこう。
「問題はこの二つだよな…」
俺はスキルの欄に存在する二つのスキルを見て唸るように呟く。
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«暴食の罪»
罪を重ねよ。重ねた罪は大罪と化す。
大罪を犯せ人の子よ。重ねた大罪は何れ神をも喰らう。
暴食度147/1000
スキルー1『変食』
MPを倍消費することでスキルの効果を三倍に引き上げる。
スキルー2『絶食』
満腹度(最大100)を全て消費することで満腹度×1秒、HP、MP、SP以外の全ステータスを任意のステータスに移すことが出来る。
スキルー3『悪食』
バッドステータスを受けた時に任意発動。バッドステータスの効果を反転。反転時間はプレイヤーLv×5秒。反転終了後、バッドステータスの効果に自乗。
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出たよ。このゲーム特有の一見説明してる風に見るけど、全く内容が何も無い説明。こっちは少ないヒントから謎解きしてるわけじゃないんだぞ。
『暴食の罪』、調べました。頑張って調べました。七つの大罪の一つで、キリスト関係で禁忌とされている行為の一つ。他にもベルゼブブだのバアルだの、色々出てきたけど、分かりませんでした。
確かに暴飲暴食は致しました。大食いチャレンジ七連戦しました。けど、それが原因で手に入るものなのか、そこが凄く気になる。
だって素人が見ただけでも分かる。このスキルの能力は凄く尖った性能をしている。ときんときんだ。
※ときんときん・・・愛知県の方言で、凄く尖ってる。
俺が思いつく限りで、取り敢えずジャンプして空中へ、ヲタキングのバフを受けた状態で絶食を発動してSTRへ、デバフを使ってもらってSTRを下げて悪食でバッドステータスの効果を反転。加重のスキルを変食で強化。最大の一撃をズドン。
うん、今のレベルでもディフィとタメ張れる攻撃力がありそうだ。
まあ、その後満腹度が0になった時点でHPの減少があるし、悪食のせいで減少HPが凄いことになってすぐ死にそうだけど。
「運用に困るな…それにしても暴食度ってなんだ」
『暴食の罪』にはスキルレベルが存在しない。種族スキルである『伸び代』にすらLvEという、多分成長限界みたいな表示があるのに…。
しかし、代わりに存在する『暴食度』。
これはひたすらご飯を食べればいいのか?だとしても、説明欄には神を『喰』らうと書いてある。
食べるは常用漢字、喰は国字、より動物的、生物的な強調性を出すために用いるんだったかな?普段から『喰』は余り使わないから詳しことは分からない。
だが、物を『く』う、蚊に『く』われる、歳を『く』う、強敵を『く』う、時間を『く』う。
どちらの『食』、『喰』にしても、使われる場所は多い。何を|食『しょく』すれば暴食度が貯まるのか要検証だな。
それから、暴食の罪に関しても攻略サイトや掲示板で調べた。
『暴食の罪』では無いが、『憤怒の罪』をNPCが、『怠惰の罪』をプレイヤーの一人が持っているらしい。
『憤怒の罪』はエミリアさんと同じく近衛師団第一部隊部隊長が持っているという情報が攻略サイトの主要人物の紹介で載っていた。機会があれば話してみたい。
そして俺と同じくプレイヤーの一人で『怠惰の罪』のスキルを持っている人がいるらしい。なんでも有名なソロプレイヤーの俺と同じ傭兵職の女性で、色々なパーティーを渡り歩いて力を貸しているそうだ。
能力として戦闘中に、何もしていない時間蓄積し、その蓄積分、大きなダメージを叩き出すこと主としていると掲示板には書いてあった。
この『七つの大罪』は何らかの条件を満たしたプレイヤー、NPCに発現する早い者勝ちの単品スキルと掲示板では最終的な結論とされていた。
…確実に公表したら目をつけられるな。ただでさえ、『ジェノサイド』の新メンバーとして注目を集めている。全蔵も言っていたが、俺の事を良く思っていない人もいる。ビギナーズラックでたまたま手に入っただけだが、この『暴食の罪』を公表したり、外で使えば絶対目立つ。
これに関してはこっそりオーカに聞いておこう。上手く対処してくれると信じよう。
「うむぅ……」
大分考え込んだので疲れてきた。
だけど、最後のこれは…正直考えたくも無い。
暴食の罪よりも嫌な予感が半端ない。
このゲームを初めた時から何故かあったスキル。
ゲーム開始時、イリーちゃんと共に選択した三つのスキル以外の…俺以外誰にも見えないスキル。
(u@gxた:Lv1)
枝同様、文字の全容が掴めなかったこのスキル。一度、俺のステータスをスクショで見たオーカにそれとなく確認したが、見えていなかった。
いわゆるバグかな?と思ってお問い合わせインフォメーションにメールを入れてみた。
二秒で返ってきた。バグではなく、お使いのアバターは正常ですということだった。
本当にメール確認したのかよ…って一言呟いた瞬間、『ちゃんと確認しましたよ^^』と追加でメールが送られてきた。怖いよ。その日、夜中にトイレ行けなかったよ。後ろが気になって仕方なかった。
そして問題のこのスキルだが、先日、文字化けが無くなった。
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«裏切Lv1»
『ーー』は『ーー』を知る。
『ーー』は『ーー』を嫌う。
『ーー』は裏を返せば『ーー』となる。
汝、裏を見よ。裏は悪では無い。裏とは時に無慈悲なる善となる。
スキルー1『嘘吐き』
NPCの好感度上昇補正。
嘘を吐くと、NPCの好感度が倍になる。嘘が対象NPCに発覚されると好感度が最低値になる。
スキルー2『反転』
『ー』を殺せ。『ー』を生かせ。『ー』、何を望む?
『ーー』には対価を。対価を払えば世界すらも反転する。
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安定の説明の無さと穴抜け。
『嘘吐き』もそうだ。このゲーム、ステータスというものが存在するのにも関わらず、詳細情報を見ても明確な数字が記載されていない。
今度から詳細情報『風』にして欲しい。こんなふわふわしたの詳細でも何でも無い。
「あっ、オーカからメール来てる…。集合ね、行くか」
ふと時間を見ると一時間半くらい経っている。オーカも俺と同じく夏休み。まだ午前中だし、何かと暇しているのだろう。
最後に適当に放り投げておいた釣竿を回収して…
「ん?何か引っかかってる…」
«dあt江ンz1の涙»
「またかよ………」
《後書きのコーナー》
[登場人物紹介](アニメを見ようが再開するまでの代わり)
パーティーメンバー
名前:眞壁紅佳
キャラネーム:クレア
性別:女
年齢:19(大学二年生)
誕生日:2月14日
出身地:神奈川県某市
好きな食べ物:スモークチキン
初恋の相手:中学時代一番モテていた男子(二日で気の迷いだと気づいた)
交際相手:無シ
好きな人:無シ
家族構成:父、母
備考:《やべー性癖詰め合わせ》の二つ名を持つやばい人。
現在は某大学の薬学部に入学し、試験勉強に励む。
中学二年生の時にネットゲームにハマり、後衛職を好む。腕は確かで、VRゲームが流行してからはレイピアを好むようになるが、《IPO》で触手に出会う。
現実でも物静かでクール。口数が少なく、感情の起丈も少ない。下ネタの方はネットほどオープンではなく、同人誌や官能小説などを見て欲求を解消するタイプ。
性癖は基本ドSとドM。気に入った相手にはドM。オラオラ系の面食い。前髪長いもやしキャラが前髪上げるとギラついた瞳をしているみたいなギャップに弱い。
見た目は清楚な美人だが、本人が無頓着なのだが、取り敢えずコンビニで立ち読みした女性誌の体型が似ているモデル『二三桜華』を参考に服を買っている。化粧は薄め。
最近の目標は純粋なイケメンを自分好みに染め上げること。
オーカとは前々からネットゲームの知り合いで、オーキの話を少なからず聞いていたので、顔を見て普通に『あり』だと思った。恋愛感情は無い。サブヒロインくらいの予定。
[次回予告]
オーカ「これってハーレムものなの?」
オーキ「取り敢えず最後は一人に絞る予定はしてるけど、絞った相手はキメてない。取り敢えず候補として馬鹿みたいにフラグ立てとけ感」
オーカ「あれだよね、周りの女の子が主人公に意味も分からず惚れてハーレム形成しつつ、全蔵の恋愛を丁寧に書いてハーレム嫌いからのアンチを防ごうと……」
オーキ「凄くメタいな」
オーカ「いいじゃない!ルートが存在しないサブキャラの女の子の方が好みなのに攻略できない挙句、主人公の友人Bと付き合った時のあのモヤモヤが嫌いなんだから…!!次回、『社畜はゲームの中でも仕事からは逃げられない』」
オーキ「とんでもないタイミングで次回予告入れてきたな…」




