第一話 (^o^)/←この絵文字ってどうやったら予測変換に出ますか?
このまま第二話も更新します。
『空高く舞い上がった白球が青空へと舞い上がるー!伸びる、伸びる!!入ったー!!逆転!満塁!!ホームラン!!明日ヶ丘学園!見事!春の雪辱を晴らし初優勝ー!!』
テレビの中から大興奮な実況の声が部屋の中に響く。
「……」
ベッドの上に四肢を投げ出し、ラジオ代わりに聞いていたテレビを消した少年は静かに目を瞑る。
テレビを消した事で急に喧しくなった蝉の声を聞きながら、少年は腕で目を覆う。
隠された瞼の裏では『もしも』の光景が何度も再生される。
もしも、自分があの舞台に立っていたら…。
二三桜樹。
私立明日ヶ丘学園二年、『元』野球部。
今年の春、選抜高校野球で日本を震撼させた天才投手。
最速百五十六キロの伸びのあるストレートと球速差三十キロオーバーのフォークのような落差を見せるスプリットを武器に奪三振記録を塗り替え、打者としても一流の成績を残し、新しい二刀流選手として名を馳せた。
だが、選抜高校野球の決勝戦、決勝戦までをほぼ一人で投げ切った桜樹。元々の豪快なフォームは肩に負担を与え、無理な連投が仇となって桜樹は肩を壊し、投手生命を絶たれた。
それでも打者としてと足掻いた桜樹だったが、元々抱えていた爆弾は肩だけでなく、桜樹を嘲笑うかのように膝、腰、靭帯、様々な場所へと次々誘爆していった。
そして完全に選手生命が絶たれた夏の大会前、桜樹は野球部を辞めた。
プロ野球選手である父の影響で三歳から玩具のバッドを振り、いつかは親子で同じスタジアムでバッテリーを組むことが桜樹の夢だった。
人生の大半を賭けていた野球から離れた桜樹を待っていたのは胸にぽっかりと穴の空いたような虚無感。
死ぬまで野球に関わっていくと疑わなかった桜樹は、野球を失い、何に対しても気力が湧いてこなかった。
うつらうつらと睡魔がほどよく桜樹を襲っていたそんな時…。
「ん…?」
不意に枕元に置いてあったスマホがバッターボックスで慣れに慣れ親しんだピンクなレディーの曲を奏でる。
桜樹はスマホを手に取ると、ディスプレイには数多くのメッセージが表示されていた。
『見ててくれたか?勝ったぞ!』
『お前の気持ち乗せて打ったぜ』
『俺の華麗なる逆転!満塁!ホームラン!このウイニングボールはお前のもんだ!』
かつての仲間からのメッセージ。
トロフィーと賞状を抱え、満面の笑みで写るメンバーの集合写真と共に。
「っ……」
忘れようと思っていた『野球』が桜樹の胸を締め付ける。
仲間からの気遣いの言葉も、励ましの言葉も、全てが『野球』へと繋がってしまう。
たまらず桜樹がスマホを投げ出そうとした時、もう一通、ディスプレイにメッセージが表示される。
『さく兄、ゲームしよ!(^o^)/』
《後書きのコーナー》
桜樹「初めまして桜樹です」
桜華「桜華です」
桜樹「今回は《IPO》に目を通し目を通して頂き誠にありがとうございます」
桜華「さく兄、かたいよ」
桜樹「後書きのコーナーでは、本編で書ききれなかった設定や」
桜華「さく兄にアニメを見させたり、自由にやっていく予定です」
桜樹「では、今後とも《IPO》~一般人の兄が妹にオタクに染められる~をよろしくお願いします!」
桜華「サブタイトルは仮決定なのでいいのを思いつき次第変更する場合があるから把握お願い(^人^)」