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#6

お読みいただきありがとうございます。



昨夜はあれからもうしばらくユウ様相手に飲みながら団の今後を話しました。

もう少し準備が整ったら帝国領内に食い込み食い荒らすそうです。


その為にも ちゃんと団長の言う事を聞いて、それぞれが勝つ為の努力を怠らない団にしないといけない、と。

なるほど、そう言った意味では酒場でペラペラと情報を流されると それがどんな些細な情報でも漏れたら困りますもんね。


そんな話では余り盛り上がらないので エールを二杯ほど追加で切り上げて街の外の駐屯地に帰りました。



さて、そんな出来事の翌朝の尋問タイムです。

綱紀粛正の意味も込めて、今朝の尋問は特別に『アレ』と一緒に酒場に繰り出した事のあるメンバーも鑑賞出来るそうです。

尋問部屋の小屋は小さいので それを一定の距離の円で囲うように天幕が立ち並んでいます。

小屋と天幕の間には10人ほど所在無さげに立っています。

これはきっと『アレ』が以前から同じような事を繰り返して居たのを知っているのでしょう。

尋問が始まったら頃合いを見て一人づつ中に入るそうです。

これを以前に経験したのは尋問の時に警備を担当している古参の方たちだそうです。


昨夜も『アレ』の情報漏洩の内偵を進めていた末のあの騒ぎだったとかで彼らも大変なんだなと同情を禁じ得ません。

きっと問題になる前に止めたかったのでしょう。ユウ様に見つかった事で全て無駄になりましたが。


「じゃあはじめよっか? 」

私とツヤツヤのルチカちゃんを引き連れて小屋に入ったユウ様の明るい声で始まりました。


小屋の中には四方からロープで四肢を引っ張られ立った状態の『アレ』さんが居ます。


「えーと、名前はーまあいいか。どうせ忘れるし。」

ユウ様は第一声から軽やかに絶望を振り撒きます。

どうやら『アレ』さんは助からない様です。

「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺は団長の話はして無えよ!」

「うん。直接的にはそうだね。 でもね、サファちゃん使う魔導が随分と特殊なのは知ってるよね。」

「……でも、だからって!」

「あれを使えるのは 今現在、この世界でたった二人なんだ。」


「あ……あ…。」

言い訳を聞いてもらえず『アレ』さんは粗相をしてしまいました。

もう少しだけ考える頭があれば忌避できたはずの絶望に気がついた様です。

「でさ、君に聞きたいのは[いつから][誰に][どこまで]話したかなんだけど。」


「しっ知らねえ!喋って無え!昨日偶々! ぎゃ!」

早速 右の二の腕にナイフが立ちました。それほど深くはありません。

ユウ様は鼻歌を歌いながらナイフを手前に引きます。

「ちょ、やめて!話す!話しますから!」

「あ、べつにもう良いよ。こっちで勝手に調べるから。」

そう言うと、肘と手首の半ば辺りまで引いたナイフを抜き、今度は切り傷の両端で横に一周切り込みをいれます。

この時点で気が付きました。剥く気だ。

「さて最初の連中に入って貰おうか。」


案内役の古参が三人連れて来てサッと足早に出て行きます。やはり経験者は反応が違います。

実際、私は初めてなので立って見ている事しか出来ません。

「やあ、待ってたよ。君たち三人は特によく一緒に飲んでたそうだね?」

「はい……。」「………。」「………へぇ。」

「彼さ 昨夜、余り他所で話して欲しくない事を酒場で大きな声で女給のお嬢さんに話しててさ。」

「「「…………………。」」」

『喋っ喋るから!許して!』

「以前からこうだったのか知りたくてね。」

『アレ』さんの懇願の声が響く中、三人とも黙っています。

「まあ、せっかくだし手伝ってよ。」


『ぎゃあああああああああ!』

「うるさいから猿ぐつわしようねー。」

ユウ様はそう言って口にロープを三周ほどまわしました。

その傍で三人の内二人が皮を捲り一人が皮と身の間にナイフを入れて行きます。

『アレ』さんにとっても力尽くで剥ぐんじゃなくて良かったのではと思います。

『むぐーーーーー!!』


作業の終わった三人も『アレ』さんもあちこちから色々体液を垂れ流していました。

私も以前だったら前も後ろも上も至る所から垂れ流しだったと思います。

慣れって怖いですね。

三人の尋問はヴェルン様と古参の方の一部が引き継いで周囲の天幕で行うそうです。

「じゃ次の三人行こか。」


こんな事を四肢全てに施し終わる頃には昼も回っていました。

「ちょっと遅いけど腹減ったし昼飯にしよう。ルチカ『アレ』死なない だけの法術で生かしといて。」

「うふふ…ふふ。 やっと出番です。もう退屈で退屈で〜。…………『アレ』さんから血を抜いてこっそり遅回復の法術札五十枚も作っちゃいましたよ〜。」

小屋の隅でなんかごそごそしてるなーと思ってたら『アレ』さんに貼った札経由で血を抜いて法術札書いてたらしいですね。



「そういえばユウ様は魔導を使うのに法術札作れるんですよね。」


さっきまでの光景を払拭する為、『アレ』と関係の無い話題で盛り上がろうとする昼の食卓です。

「ああ、法術札ってサファに教えた魔術と殆ど同じなんだ。」

「え!それは初耳でです!」

見るとルチカちゃんも食い気味に話を聞いてます。多分初耳なんでしょう。

ヴェルン様が居たら退屈するかもですが 彼は今尋問の真っ最中で 今日はお昼は天幕で食べるそうです。


「魔導にも魔方陣ってあるじゃん。アレも実はそう変わらない。」

私は祖母の死で伝承が途絶えたので殆ど見た事が有りませんが[スクロール]と呼ばれる魔方陣を書き込んだ羊皮紙の存在は知っています。


ユウ様は説明を続けて下さいます。

「簡単に言うと、魔方陣はこちらの文字で構成されていて 法術札は俺の世界の文字や図案で構成されてる。」

「え〜、それ初耳ですよ〜。」

流石のルチカちゃんも衝撃を受けてるのか、ちょっとふらふらが止まって見えます。


「俺も気が付いたの最近でね。……二年くらい前だったかな?」


そして一番衝撃の発言。

「こっちに呼ばれて以来 20年以上掛かったよ。」


ユウ様、貴方一体お幾つなんですか!?


これくらいなら18禁じゃないよね? ね?

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