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#4

読んでいただきありがとうございます。



不定期更新作品 注意です、よろしくお願いします。

夜襲の翌朝、起きると陣の周りに沢山の馬が繋いで有りました。

これは鹵獲の騎馬でしょうか?40頭ほどいます。

その近くの天幕の周囲の杭に十数人の帝国兵が手枷足枷で繋がれています。

天幕を出たり入ったりと衛生士隊が慌ただしいところを見ると 怪我人も多数収容している様子ですね。


ヴェルン様から落穂拾いのついでにユウ様を掘り起こすから手伝えとの指示を受けました。

………正直言ってめんどくさいです。

撃った私が言うのも何ですが、あんな高威力過ぎる術を使わなくても良かったんじゃ無いでしょうか?


ユウ様から教えて貰う魔術は私たちが戦場や生活で目にする物とは何もかもが違います。

普通、炎系の魔術は燃え上がっても破裂なんかしません。ファイアボールを相手にぶつける、燃え上がらせる、そう言ったものです。

ユウ様の世界の魔術体系は一体どれほど進んでいるのでしょうか。

想像するだに空恐ろしいです。


こちらの魔導は師匠が弟子に口伝で教えるので ユウ様の魔術の様に文字の羅列を読み上げるだけで素養があれば誰でも使える、という訳には行かないのです。

飽くまでも商売のタネなので弟子は身内が基本。子がいなければ幼い甥姪や身内の無い幼児を養子に取るのが普通で 他人には決して教えたりしません。

私も祖母が魔導師でしたが母の幼い頃亡くなった為、そこで伝承は途絶えました。


『ドーーーーーーーン!』

あ、火柱。

どうやらユウ様が起きられた様ですね。

これで仕事は落穂拾いのみになりました。良かった。


ユウ様も使えるんだから 昨夜みたいな時は自分でして欲しいんですが

『俺ばっかりが働くのは絶対に嫌だ!』

と言って聞き入れてくれません。



帰還されたユウ様は食事の後、捕虜の尋問をされるそうです。

やり過ぎても大丈夫な様にルチカちゃんも一緒だそうです。

そこに何故私までが呼ばれるのか、理由が今ひとつ分かりません……。


拷問部屋…違った、尋問部屋は組み立て式の木造の小屋で、窓は無く灯りは篝火を焚いています。

一般の団員に見られる訳に行かないので、陣でも少し奥まって 森の木立ちの中に建ってます。


口の堅い古参の団員が見張りや捕虜の入れ替え等行います。

彼らもまた命懸けの任務で随分と緊張している様です。


「じゃあ、尋問始めるから二つ程持って来て。」

ユウ様の言葉から推察するに、埋まってた鬱憤ばらしが加味される様です。

最初から人扱いしないつもりが伺えます。


情報としては主に先遣隊の数とそれぞれの部隊規模、本隊の位置情報と規模を聞きたいそうです。

尋問対象が二人づつ、首だけ出して特製の樽に詰められて持ってこられました。

先ずは軍人と軍属のペアからです。


「じゃあ、サクサクっと行こうか。」

何ともにこやかなユウ様の宣言で始まりました。

「じゃあ、君から名前と年齢、所属、軍での役柄、身分を言ってくれるかな?」

軍人然とした態度の捕虜さんはしれっとしてそっぽ向いてます。

ユウ様は早速、篝火に差していた先の方が赤くなっているレイピアを樽の隙間に挿し入れました。

「ぐああっ!」

ジュウっと肉の焦げる匂いがしてきます。


普通の尋問と違うのはここからです。

ユウ様は追加の質問などせず無言で一本、また一本とレイピアを増やして行きます。

五本目で「解った喋る!喋るから!」と言っていましたがそのままレイピアは増え続けました。

頃合いを見てルチカちゃんが特製の回復の法術札を額に貼り付けます。

これで暫くは死ねません。じわりじわりと死なない程度の速度で傷を嬲る様に回復します。

この方はレイピア十四本で気絶したので交代です。

軍属の方は「えーっと、」とユウ様が言うが早いか よく喋ってくれました。

気絶した方も合間を縫ってルチカちゃんの法術で回復した後 そのまま再び尋問です。

次は随分と口も滑らかでした。

最後にユウ様が「これで他の捕虜と食い違い出たら次は手加減しないからねー。」と言うと情報の訂正がありました。嘘はいけません。


そんなこんなで皆さん気持ちよく喋ってくれました。

お陰様で樽に放り込む予定の餓えたねずみさん達の出番は今日はありませんでした。

「うふふふふ〜残念ですね〜、導師様〜。」

ルチカちゃんは意外とねずみ風呂がお気に入りなのでしょうか?

私、あれは何度見てもさぶいぼが立ちます。


こんな尋問は軍の関係者やうちの一般団員にだって とても見せられません。

ユウ様の世界ではこう言う尋問は当たり前なんでしょうか?

きっと魔導や法術が進んでる所為で人が中々死ねないから尋問もこんななのでしょうね。



「じゃあ、行ってくる。」

ヴェルン様が補佐と二騎で比較的近い、別の帝国先遣隊に使者として赴きました。

手土産は 今回の生贄先遣隊の隊長さん、先日お会いした使者の参謀さん、の首の塩漬けとタグや遺品です。

生き残ったのは割と身分の高い人達で帝国側の別の先遣隊に身代金と交換で売る事になりました。


徴兵された平民の歩卒は例の夜襲の失敗で壊滅だった様です。

生き残った捕虜は騎士が18名、軍属22名。 先遣隊50騎300名としては多いのか少ないのか………。

うちの団が戦うと相手の生き残りは大体いつもこんな感じなのですが、他の団や軍と繋がりが無いので良くわからないのです。


返還する捕虜への教育をユウ様が行うそうですが、これについては私は呼ばれる事は無いので とても楽チンです。

尋問の後でもまだ元気のある捕虜の皆さんが、教育が終わった後は 何時も死んだ様な虚ろな目になってとても無口なので余程の教育なのだろうと思います。


この方達が高く売れたら臨時給与が出るので団員皆が浮かれています。


敵本隊800騎 5000名が来れば流石に面倒ですので撤収準備は完了済みです。

輜重隊が念のためマンドレイク40株の促成栽培を開始しました。

捕虜の販売がすんなり行けば必要無くなりますがどうでしょうか?


捕虜の皆さんの為にも商談が上手くいって欲しいです。

勇者が余り壊れて無いかもですね。


頑張りますので今後ともお付き合いください。

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