#1
不定期更新……というか書いたら上げる、な感じの更新で行く予定です。
書き溜め等も全く有りません。
有るのは結末までの大筋だけという 行きバタ企画です。
申し訳ないです。
「ああっ! ユウの野郎、また無謀な突撃してやがる!………ちったあ 援護する身にもなれってんだ!」
また従騎士のヴェルン様が敵陣の方を見ながら文句を言ってます。
援護に向かわない所を見ると もう間に合わないと判断なさったんでしょう。
その視線の先では シルエットからすると2本ほどの槍で貫かれた勇者様が高笑いに吠えつつ 自身に生えた槍の穂を根の辺りで切り落とし、その勢いのまま帝国兵数人の首を飛ばします。
人の首って斬ったら 本当に良い感じに 『すぽーん! 』って飛ぶんですよね。
初めて見た時には卒倒しましたが今ではもう慣れてしまいました。
因みに勇者様は 結局そのまま帝国兵に囲まれて 直に姿が見えなくなってしまいました。
多分、今頃は鱠斬りの目に遭ってるでしょう。
仕方ないので打ち合わせ通りに、勇者様から教わった覚えたての魔術で囲まれた勇者様ごと敵を吹っ飛ばします。
どごーーーーん!!
どごーーーーーーん!!
ずががーーーーーーーーん!!
1発目、2発目、そして3発同時。
巨大な五本の火柱と共に土砂が降り注ぎ、 勇者様が居た辺りが大きな穴ぼこになりました。
◆
「勝ったな。」
「『勝ったな。』じゃ無えわ! ちったあ考えろつってんだろうが。」
勝ち戦後の落穂の拾い時の何時もの光景。
勇者である傭兵団長のユウ様と副団長で従騎士のヴェルン様の毎度の遣り取りです。
「毎度毎度毎度毎度!死なねえからって突っ込み過ぎだってえの! 敵にも味方にもお前の事は秘密だってテメエで言っておいて隠す気あんのか!? ぁあ!?」
「ああ、そうだな。悪かったよ。 あ!おーい衛生士隊! 帝国兵で生きてる奴は死なない程度で治療しろよー。それと!落穂拾いはタグと落穂の内容を回収時にキッチリ記録しとけよ! 銅銭一枚でもくすねたら即 頚落とすからなー!」
「「「アイサー!!」」」
「サファ! 炊事班に飯の用意させとけー!」
「はーい!」
私の名はサファ=ルヴァスト。16歳。
三ヶ月前にヴェルン様に戦場となった村で窮地を助けられ、その後、瀕死で担ぎ込まれた夜戦病院で 勇者様に命脈を繋いで頂きました。
それ以来、勇者付きの魔導士として働いています。
駆け落ちでの新婚ほやほやだったのですが 夫は以前の戦闘で帝国兵に拐われて行方知れず……帝国の男爵家の三男なので殺されては居ないと思うのですが………。
「サファ、食料はどれくらいだ?」
「あ、ユウ様。 そうですねー今のペースで10日は持ちませんね。」
「そうか…。」
勇者様は とても珍しい濡羽色の御髪に闇夜のような黒い瞳。
お名前はカブラギ=ユウイチロウ様。私やヴェルン様は ユウ様とお呼びしています。
ファミリーネームが先に来るという 珍しいお名前なのも当然、こことは違う世界から召喚されたのだそうです。
以前、魔術を教わる際に 異世界の文字と共に『俺の名は【鏑木 優一郎】と書くのだ』と教えられました。
なんだかカクカクしていて変な文字です。
「お頭ぁ!帝国側から使者ですぜ!」
「おう!今行く! サファも来い。」
「あ、ハイ!」
◆
ユウ様の傭兵団本営の天幕へ向かうとその中には甲冑では無く帝国の軍服を纏った騎士らしき堂々とした体躯の男と従者の可愛らしい少年がいました。
「其方がこの傭兵どもの首魁であるか?」
「………お前…誰?」
あ、ダメ。この使者様は多分死にます。
「下賤の者に名乗る名など無い。」
勝ち戦で機嫌が良かったのか、太股に投げ釘を打つだけで一度目のお仕置きは済みました。
「ぐあっ! …貴様、仮にも帝国の使者に何を…。」
「お前さあ。負けたのまだ今日の事だぞ。敗軍の使者の態度か?それ。」
「ぬう!」
「サファ、こいつ 腕の一本も捥いだら大人しくなるかな?」
「え!? またですか!? ユウ様絶対一本で終わらないでしょ? 前みたいに、気がついたら右脚だけになっちゃってて、このまま返したら拙いからって首だけで返還する とかになりますよ?きっと。」
「…………うーん。面倒だからさっさと首落として帰ってもらおうか?」
一応は声を落として喋っては居るのですが、同じ天幕の簡易テーブルを挟んだ近距離。
内容はまる聞こえです。
そんな遣り取りを聞いてか、帝国の使者は随分と大人しくなりました。
従卒の少年なんて顔色真っ白で震えちゃってて 今にも泣きそうになってますよ。
「……私は南方派遣騎士団第4先遣隊参謀のケルン上級騎士である。こちら側の要求は遺体収容の為の明日1日の休戦、である。」
「俺は傭兵団【死神の剣】の団長カブラギだ。早速の返答だが 明日ではなく明後日なら受け入れても良い。譲歩は無い。以上だ。」
帝国の使者さんは頑張ってますが ユウ様から譲歩を引き出すなんて至難の業です。
「貴様ら!死者の懐を漁る時間稼ぎか!卑しい盗っ人風情が!」
「勘違いするな。戦さ場の習い通り戦利品を回収しているだけだ。金品等の遺品に関しては正規兵手数料三割、軍属二割で回収記録の写しと共に返還に応じる。」
「そんな記録が当てになるか!」
「信用して貰おうとは思ってない。気に食わんならもう一度仕掛けて勝てば良いさ。そうすれば休戦の必要すらなくなる。」
「80人程の規模の傭兵団が一戦のまぐれ勝ちで大きく出たものだな!」
「……西方戦線の帝国の騎士団本隊400騎2800名が行方不明だろ? うちが単独で潰したんだ。そこの団長の首の塩漬けに遺品付けてやるから持って帰れ。」
「……ぐっ…………わ、分かった。その条件での休戦をお願いしたい。」
「誰か衛生士官!ペンと紙!あと治療一人!」
「は〜い。」
「はい、団長〜 紙とペン。 あ〜 本当に治療でした。使者さんが生きてるの珍しいですね〜。てっきり事後処理するのかなー〜って……………使者が死者に……ふふ…ふふふ。」
台詞の途中からちょっと壊れました。
ひと月半前に助けられて、まだ間がないので壊れてても仕方ないですね。私もそうでしたから。
入ってきたのは見事な白金髪のゆるふわ乙女 ルチカちゃん。純白の神官服がとても似合ってます。
12歳の[元]神官見習いさんで こう見えて凄腕の法術師です。
なんと瀕死の人を完全蘇生が出来るとか……まだ見た事は無いので 本当かどうだかは判りません。
◆
使者さんがあちらに戻ったあと、早速ユウ様の指示が飛びます。
「サファ。落穂拾い急がせろ。恐らく夜襲が来るぞ。陽が落ちたら篝火残して後ろの森の傍に下がるぞ。瀕死の捕虜は荷物かっ剥いで陣幕に寝かせとけ。それも落穂と同じだ。」
「あの、元気な捕虜は……?」
「帝国に帰りたい奴は持ち金の半分で保釈。うちに来たい奴は二割でうちの流儀教えてやれ。」
色々と慌しくなって来ました。
陽が落ちるまで二刻半(5時間弱)……言うほどは時間も有りません。
ともかくやる事やって腹拵えです!
お読みいただきありがとうございます。
先日書いた短編の続きみたいなものです。
恋愛要素とか入れてハッピーエンドを目指して書くつもりです。
ただ、自分は恋愛感や人生観がかなり歪んでるのでおかしな事になるかも知れません。
この前日譚もその内書きます。多分。