#3
「初恋」第3話です。
楽しんで読んでいただけると嬉しいです
「返事してくれー!」
僕は瓦礫の山に向かって叫んでいた。
少しでも彼女から反応があれば、すぐに駆けつけるつもりだった。
「返事………して…」
僕は待ちきれなくなって、瓦礫に突っ込んでいった。
焼けた木材たちは僕の体にまとわりついてなかなか前に進ませてくれなかったが、それでもかき分けかき分け進んでいると、微かな叫び声を聞き取ることが出来た。
「どこ……どこ?!」
僕は良くもない耳を澄まして彼女を見つけ出した。
幸い彼女は怪我をしていなかったが、瓦礫が取り囲むように積まれていて出られないようだった。
「やっぱり、来てくれたんだ……!」
「当たり前だよ……」
僕は彼女の周りの瓦礫を取り除き始めた。ヘタに振り回すと彼女に当たってしまうので、慎重に動かしていく。
やっとの事で、小柄な彼女がやっと通れるくらいの穴を作り出した。
「………これで通れるかな?」
彼女は頷いて、僕の方へ出てきた。
「ありがとう」
彼女の笑顔を見たら、僕の疲れは飛んでいってしまった。
彼女によると、今ちょうど引越しの途中で、荷物は何も無かった上に家族も出かけていたのだという。
彼女は少し寂しそうに言った。
「ちょうど良かったよ……私は新しい家に帰る………」
「うん……気をつけて」
僕は彼女の背中を押して、自分は反対方向に歩いていった。
実はまだまだ続くんです。
次回もお楽しみにノシ