第40話 激突
ダンジョンコアを通して映し出される四天王達の様子。
一瞬の隙をつかれリンダが世界の管理者の攻撃をくらった。そのままリンダは右肩から左腰にかけて世界の管理者の斬撃を受け地面に沈んだ。
「リンダ!!」
「いやぁぁぁっ!」
俺とジュリアはその様子を見て激しく動揺する。
シャーロックがリンダに走り寄り、ギガとグラオンは世界の管理者に臨戦態勢をとる。
シャーロックが上着を脱ぎ、リンダの傷口を抑える。
「死ね死ね死ね死ねシネェェェ!」
「諦めろぉぉぉ!!」
「キャハハハハハハハ!!」
3人に分裂した世界の管理者が次々に攻撃を繰り出す。徐々にギガとグラオンは押されていた。
ここでファイアーマジックドラゴンのグラオンが賭けに出る。大きく口を開け、顔を振り回した。
「【業火の炎】!!」
四方八方に放たれるブレス。炎が世界の管理者を包む。
少なくとも世界の管理者の猛攻を食い止めることができた。
はずだった。
「相棒!上空!!」
グラオンはギガの警告に反応し、上を向いた。そこに居たのは3人の世界の管理者。
「【ビーム】!」
「【ビーム】!!」
「【ビーム】!!!」
迫る三本の光。
「くそったれ……が」
グラオンが誰にも聞こえない声で呟く。
刹那、グラオンの体はビームに貫かれ、その巨体を地面に倒れ伏した。
「相棒!!」
ギガが叫んだ。
倒れたリンダと倒れたグラオン。一気に2人のSS級モンスターが刈り取られた。
「……ギガ殿。2対3ではどうにも部が悪いとは思いませんか?」
シャーロックがリンダの傷口を抑える手を離し、ギガに話しかける。リンダは動かない。ただの屍のようだ。
「同意」
「しかし、我々が引くわけにも行きますまい。我々の後ろ盾は……もう無い」
ギガとシャーロックが上空を見上げる。3人に分裂した世界の管理者は余裕有り気に2人を見下ろしていた。
その時。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
地面に横たわっていたグラオンが飛び上がった。
「くっ!」
「なっ!?」
大きく口を開けて迫るグラオンを2人の世界の管理者が避ける。
「あ」
1人の世界の管理者は一歩も動けないままグラオンに食らい付かれた。
肉片と血液が飛び散る。
「死に損ないが!」
世界の管理者が吐き捨てる。
「【ビーム】!!!」
「【ビーム】!」
残った2人の放つ光線。再びグラオンの体を貫く。
「相棒!!」
「グラオン殿!」
グラオンの体が重力に従い落下して行く。
文字通り大地を揺るがす衝撃音。
グラオンは大量の血液の海に倒れた。
「くっ、まさか私の一人がやられるとは」
「大きな誤算ですわ……」
世界の管理者は苛立ちも隠すこともない。
「……これで数の利は無くなりましたな」
シャーロックが上空をにらんだ。
「ふん、その程度で勝ったつもりとは……」
世界の管理者は冷たい目線でシャーロックを見下ろす。
2人の世界の管理者。
オリハルコンゴーレムのギガとヴァンパイアロードのシャーロック。
両者が激突した。
○●
破壊し尽くされた街並み。
モウモウと舞う砂埃。
その中に佇む2つの人影。
また、その側で倒れ伏している人影も2つ。
煙が徐々に晴れて行く。
倒れた1つの人影が露わになる。
目を見開いた世界の管理者。瞳孔は開ききっておりその顔に生気はない。そもそも腰から下がぐちゃぐちゃに潰されているので生きているはずもないが。
もう1つの倒れた人影はやけに大きなものだ。オリハルコンゴーレムのギガ。3メートル近い彼の胴体に大きな風穴が空いている。怪しげに光っていた目玉の発光は消え、破壊し尽くされた鉄人形へとその姿を変えている。
立ち尽くす2つの人影は互いにまっすぐに立ち睨み合っているかのようだった。
人影の1つは最後の世界の管理者。頭から血を流し、服もビリビリに破れている。しかし今だに息はあり、無理やり余裕げな表情を作っているかのようだった。
もう1つの人影はシャーロック。いつも温和なシャーロックの眉間にはシワが寄せられている。しかしその眼光は鋭く世界の管理者を射抜いていた。
シャーロックの乾いた唇が開く。
「残念至……極」
シャーロックは右肩を中心に体の大部分を吹き飛ばされていた。
シャーロックがその場に崩れ落ちる。かつてないほどの沈黙が戦場を支配した。
「くっくっく………」
世界の管理者が肩を震わせる。
「あははははは」
世界の管理者は天を仰ぐ。
「あーっはっはっはっはっ!!!」
世界の管理者の顔は醜く歪み、その両目には狂気の色が見て取れた。
「ついに終わりの時が来ましたわね。あとは魔王ジュリアさえ殺せば全ての証拠が隠滅される……私の身も安たっ」
世界の管理者の懐に何かが飛び込んで来た。
「ぐっ」
世界の管理者が後ろに倒れる。
世界の管理者の前に立ちふさがるのは小さな小さな少女。
「……魔王ジュリア」
SSS級モンスター【魔王】ジュリア。ダンジョンモンスターの最後の1人が立ちふさがっていた。




