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第32話 最終決戦五分前!

中央広場にダンジョン関係者が勢ぞろいしていた。

円状の広場に沿ってぐるりと円になっている。


俺は周囲を見渡す。


まず目に入ったのは二階建ての家くらいのサイズのスライム。

薄い緑色の【ゴッドスライム】はブルリと体を震わせた。


その隣にいるゴッドスライムと同サイズの巨大なアリ。【ジェネラルアント】は真っ黒な瞳を俺に向けているようだった。


さらにその隣に並ぶ8匹のアリ。【ジャイアントアント】達は触覚をピクピクと動かしつつも大人しく整列している。


【ヴァンパイアロード】のシャーロックは見た目相応の落ち着きっぷりを払っていた。俺の視線に気がつき片眉をあげる。


【サキュバスクイーン】のリンダはぼんやりと空を見つめていた。その鬱らげな姿は絵画のようだ。死んだシロのことを思い出しているのかと思うと心が痛くなる。


眉間にしわを寄せつつまっすぐに直立している【ゴブリンキング】と【ゴブリンクイーン】。屈強な肉体を持つ2人はまさしく戦士、という表現がふさわしい。ゴブリンキングの首からはその太い腕に入らなくなった腕時計が紐を通して下げられていた。


ゴブリン達の隣に並ぶ植木鉢。そこからは見慣れた真っ赤な花が咲いている。最初は最も大きなモンスターだった【クレイジーフラワー】は周囲のモンスター達はの陰でひっそりと咲く小さな花のように見えてしまう。


メタリックボディを輝かせる【オリハルコンゴーレム】のギガ。その表情からは少しも感情は読み取れないが、体全体から緊張感を放っていた。


ダンジョンモンスターではないものの、俺達と戦線を共にする【アイスマジックドラゴン】。彼女は少し悲しげな表情でしきりに自分の右側に注意を寄せていた。


いつもの自信家な様子を見せることなくガックリとうなだれている【ファイヤーマジックドラゴン】。ダンジョンモンスターの中で最大の火力を誇っていたグラオンは年老いた警察犬のようだった。


それから俺は自分の隣にいる小さな幼女に目を向けた。


【魔王】ジュリア。あの時ガチャでこの幼女を引くことができなかったら俺はもうこの世にいなかっただろう。心も体もまだ未発達な子供は緊張した面持ちで視線をせわしなく動かしていた。


最後に俺は思い出す。

【ホワイトフェンリル】のシロを。

【ミノタウルス】のウルスを。

【ゴルゴーン】のステンノーを。

そして【ダンジョンサポーター】のリリーを。


死んでいった仲間達の顔がまぶたの裏に現れた。


死んだ仲間のために。

今いる仲間のために。


俺は再び決意を新たにする。


俺は目を開けた。


「みんなも分かっていると思うが、恐らくこれが最後の戦いだ」


全員の視線が俺に集まる。


「まずみんなに礼を言わせてくれ。神様を敵に回してまでここまで生きてこれた。ありがとう」


俺はぺこりと頭を下げる。


「まあ、相手が本当に神様かってのは眉唾ものだがな」


頭を上げつつそう言うとシャーロックがニヤリと、リンダが鼻を鳴らして、ジュリアが声を立てて笑う。


「敵は今、【最果ての迷宮】からここ【ジョーフンタウン跡地】に移動してきている。どうやら連中は死に急いでいるらしい」


俺がそう言うと場の雰囲気が少しだけ和む。しかし、誰もがその両目に闘志の炎を燃やしていた。


「予想では2時間後に敵が到着する。俺たちは勝つ!死んだ奴らのためにも命を繋ぐ!絶対にだ!絶対に勝つぞ!!」


俺が拳を突き上げると仲間達も拳を突き上げ吠える。


物音一つしない廃墟に俺たちの声が響き渡った。


●○


小さな丘の上に位置する【ジョーフンタウン跡地】には518の廃墟が並んでいる。


俺はその廃墟の一つであるもともと教会だった場所にダンジョンコアを設置していた。


ダンジョンの中には俺とジュリア、そしてリンダとシャーロックが滞在していた。


世界の管理者の狙いはジュリア。そして人間の狙いは俺とダンジョンコア。不測の事態に備えられるようにリンダとシャーロックが付いている。


教会周辺にはギガが廃墟から生み出したたくさんの【ストーンゴーレム】が闊歩している。意思疎通はできない上に戦闘力もさほどないが敵を見つけると大声を出して周りに知らせる、優秀なガードマンである。


さらに教会の上空にはアイスマジックドラゴンが旋回している。グラオンも同様に上空を飛んでいるが遠目に見ても元気が無く、あまり警戒にも身が入っていないようだった。


残りのモンスター達はダンジョンの西側に集まっている。敵は西から迫ってくる。正面突破でくると言う保証はないが警戒しておくべき場所はやはり西側だろう。


西側の現地リーダーはゴブリンキング。その補助にゴブリンクイーンが付いている。

ゴブリンキングの指揮下にジェネラルアントとゴッドスライムが付いている。


そして忘れてはならないのがクレイジーフラワー。いや、今は【クレイジービッグツリー】になっている。


【ちょうちょうちょうしんか】により進化を遂げたクレイジーフラワーは自らの意思で姿を変えることができるS級モンスター【クレイジープラント】になった。


雑草のようにしか見えない【クレイジーウィード】から全長100メートルを越える【クレイジービッグツリー】にまで姿を変える。心強い仲間だ。


「カケル! 敵が来たみたい!」


見ればジュリアがダンジョンコアを指差していた。


敵陣営の総戦力は5121人。平均レベルは8172。


「またレベルが上がってますな」

「……世界の管理者か……」


ダンジョン側はモンスターとはいえ20匹足らずしかおらず、平均レベルも4000にも満たない。


しかしその戦力差は今更覆すことができない。


「頼むぞ、ゴブリンキング」

「はっ!」


ダンジョンコア越しにゴブリンキングの声がした。


○●


ゴブリンキングはクレイジービッグツリーの太い枝の上に立っていた。その視線は遠くに現れた小さな人間達に向けられている。


「いよいよだね、キング」


ゴブリンキングの背後からゴブリンクイーンが話しかけて来た。


「ああ、相手に不足はない」

「緊張しているの?」

「当たり前だ」


ゴブリンキングは正直に答える。

短い時間とはいえ、生まれた時から共に過ごしていたゴブリンクイーンに虚勢をはることなどしなかった。


「あら、大丈夫なの? リーダーを代わってあげよう?」

「馬鹿言うな。緊張が悪い事だと思ってるような奴にリーダーは務まらない。それに」

「それに?」

「お前は女だ。俺より弱い」

「それって差別?」

「区別だ。履き違えるな」


ぷくりとほおを膨らませるゴブリンクイーン。


「だから、お前は俺が守ってやる」


ゴブリンクイーンは少し目を見開くとプッと吹き出した。


「何がおかしい」

「女は男の気持ちをわかってるのに男は女の気持ちをわかってないんだなって思って」

「差別だ」

「区別よ。履き違えないで」


ゴブリンクイーンはニヤリと笑い、ゴブリンキングは顔をしかめて頭をかく。


「そろそろ行きましょう。みんな待ってるわ」

「ああ」


足元を見下ろすと枝々の隙間からせわしなく動き回るジャイアントアント達の姿が見えた。


「作戦は?」


木からするすると降りながらゴブリンクイーンがゴブリンキングに尋ねる。


「12対5000。まともにやっていては勝ち目はない。だから俺たちはクレイジービッグツリーの根元に固まって防衛を行う」

「クレイジービッグツリーは近づく生物を捕食できる。確かに根元は安全圏ね。でも、敵が私達を無視して本拠地に突っ込んでいったらどうするの?」

「ある程度なら本拠地のメンバーで対応できるはずだ。それに背中に敵の拠点を抱えたまま本拠地を狙いに行くとは思えない」


ゴブリンキングとゴブリンクイーンが地面に降り立った。


「後はやれることをやるだけだ。死んでも守るぞ!」





西部防衛ライン


【ゴブリンキング】

【ゴブリンクイーン】

【ジェネラルアント】

【ジャイアントアント】×8

【クレイジープラント】

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