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第29話 TUEEEEEEEEEEEEE!!

「世界の管理者!?」


ジュリアが目を見開く。


「まさか直接介入してくるなんて……カケル、早く作戦を中止して!」

「いや、ここで世界の管理者を倒したらもう俺たちに敵はないんじゃないか?」

「確かにそうだけど、絶対それはダメだよ!世界の管理者はそう簡単に倒せる相手じゃ……」


ジュリアが反駁し終わらぬうちに爆音が響いた。

どうやら真紅の樹海からのものらしい。


「なんだ!?」


俺はダンジョンコアを覗き込む。

そこに映ったのは宙を舞うモンスター達。


宙を舞うのは翼の生えたモンスターではない、地を歩くモンスター達だ。

高レベルモンスターが石ころのように吹き飛ばされている。

その中心にいるのは世界の管理者。金髪の髪をなびかせ、踊るようにモンスターを蹂躙する。


「あいつ!味方まで巻き添えに……」


見れば吹き飛ばされているのはモンスターだけでなく人間達の姿もあった。

モンスターならともかく人間はあの高さから落下したらまず助からないだろう。


「グラオン! 撤退だ! 撤退しろ!」


グラオンとの通信回線を開いて怒鳴る。


「くそったれが!!!消し炭にしてやる!!!!」


通信回線から流れ込んできたのはグラオンの叫び。その叫びは俺の声を簡単にかき消した。


「まずい、冷静さを失ってる!」

「ゴブリン達は!?」

「それだ!」


グラオンと同じく作戦に投入された【ゴブリンキング】と【ゴブリンクイーン】に通信を開く。


「ゴブリン! 聞こえるか、俺だ!」

「マスター!」

「聞こえます!」


少し掠れた2匹の声が聞こえた。通信の向こう側から生物の断末魔や爆音が聞こえる。


「撤退しろ、相手は世界の管理者だ! 指揮権はゴブリンキングに移す!」

「了解!」


ゴブリンキングの小気味良い返事とともに通信が切断される。

俺は再びグラオンへと通信をつないだ。


「グラオン! グラオン!」

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!」


だめだ、聞いちゃいねえ。


「【業火の焔】!!!」


ダンジョンコアを見るとグラオンが上空からブレスを世界の管理者に向かって噴射した。


凄まじい炎が地表を焼き尽くす。


数十秒後グラオンがブレスをやめる。どうやら息切れを起こしたようだ。

あたり一帯には黒煙が立ち込めている。その隙にモンスター達は次々と戦線を離脱して行く。


「ぜえ……ぜえ……ざまあみやがれ! ヒャーハッハッハ!」


黒煙が風で流される。


そこには焼き焦げた大地が広がっていた。

草木は焼き尽くされ、死体は骨も残っていない。


しかしその中に唯一の色彩。


他でもない世界の管理者だった。


「【       】」


世界の管理者が何かをつぶやきグラオンを睨む。


「グラオン、逃げて!!!!!!」


ジュリアが叫んだ。


その刹那、世界の管理者の両目が光り、光線がその両目から発射された。


グラオンはとっさに身をよじるが右翼を光線が貫通する。


「ガアアアアアアアアア!!!!!」


グラオンは断末魔をあげ地面に落ちて行く。


「グラオン!」


俺は思わず叫んだ。


その時。


「ダーリン!!!」


聞き馴染みのない声が響く。


真紅の樹海の木々の上を滑るように飛行してくる白い龍。


「【暗黒山脈】の【アイスマジックドラゴン】!!!」


アイスマジックドラゴンは地面すれすれでグラオンをキャッチする。


「ダーリン! 大丈夫!?」


グラオンは気絶しているのか返事をしない。


「アイスマジックドラゴン、聞こえるか?」

「ダーリンのご主人様ね。聞こえるわ」

「グラオンを連れて【ジョーフンタウン跡地】に来てくれ」

「分かったわ! ダーリン……今助けるからね!」


アイスマジックドラゴンは翼をはためかせた。


●○


【ジョーフンタウン跡地】。大陸中央部にある廃墟だ。元々大きな街だったそうだが、領主の後継問題と宗教上の対立が激化し、紛争が勃発。40年前に滅亡した。

人間がいなくなると、モンスターが住み着き、ますます人足は遠のく。


そんな廃墟に目をつけた俺たちはその町全体をダンジョンとした。ダンジョンコアはかろうじて形の残っている教会の中に設置してある。


大きな穴が空いた天井から光が差し込み、顔のない石像を照らしている。おそらくこの教会が祀る神なのだろう。


「ジュリア、MPは残っているか?」


フワンそうに眉をひそめるジュリアに尋ねる。


「うん、満タンだよ」

「よし」


ジュリアの使える技の1つ【かんぜんかいふく】。生きてさえいればほとんどの怪我を治すことができる技だ。これでグラオンの治療も可能だろう。


間も無く教会の外から大きな音が聞こえて来た。パラパラと天井から埃が落ちる。

アイスマジックドラゴンが着地したのだろう。


「ダーリンを助けて!」


外に出るとアイスマジックドラゴンは両目から滝の様な涙を流して俺にそう懇願した。

グラオンは目を閉じ、荒い呼吸をしている。翼を見れば右翼の半分がえぐり取られていた。


「もちろんだ、ジュリア!」

「うん!」


ジュリアは地面に横たわるグラオンの元に駆け寄ると彼の破れた翼に手をかざした。


「【かんぜんかいふく】!!」


グラオンの翼が光に包まれる。

あまりの眩しさに俺は目を覆った。


十数秒後、光が弱まり、俺はグラオンに目を向ける。


グラオンはすでに立ち上がっていた。

翼はさっきまでのことが夢であったかのように元どおりだった。


真っ赤な瞳がぐるりと俺たちを見る。

しかし、その両目にいつもの光はない。


「俺様は……俺は負けたのか……」


ガックリとうなだれるグラオン。


「ダーリン……」


そっとそこに寄り添うアイスマジックドラゴン。

しかし、彼女をグラオンは弱々しく振り払う。


「少し1人にしてくれ……」


20メートル近いグラオンの体がみるみると小さくなり、3メートルほどのサイズになる。

グラオンはトボトボと廃墟の奥へと消えて行った。


「ダーリン……」

「気を落としちゃダメだよ。きっとあいつのことだからすぐに元気になるって」

「ええ……」


落ち込むアイスマジックドラゴンを励ますジュリア。


その時、ゴブリンキングから連絡が入った。


「もしもし、ゴブリンキングか?」

「マスター、こちらを真紅の樹海です」

「無事だったか、被害の状況は?」

「野生モンスター、人間共に多数の死傷者を出しています。現在怪我をしたモンスターの救護と人間の残党狩り中です」

「ゴブリンクイーンも無事か?」

「はい、私も無事です」


落ち着いた女性の声。ゴブリンクイーンのものだ。


「良かった。そっちが落ち着いたら帰還してくれ」

「はっ。それともう1つご報告を」

「なんだ?」

「世界の管理者の行方を見失いました」

「そうか……」

「しかし多数の目撃情報も。最後に目撃されたのは真紅の樹海西部の方です。まっすぐに西の方向へと走って行ったと……」

「西部!?」


嫌な予感が頭をよぎる。


【真紅の樹海】は大陸東部にある。

そして大陸西部には【最果ての迷宮】。リンダがいるダンジョンだ。


「それでは私はこれで」

「ああ!」


俺は通信を切断し、リンダに通信をつなぐ。


「は〜い? マスターどうしたの?」

「リンダか! 今すぐそこから逃げろ!」

「へ、なんで?」

「世界の管理者がそっちに向かってる」

「ええっ!? まじで!?」

「早くしろ!真紅の樹海はもうやられた!」

「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!」

「ああ、ヤバイんだ! 早く逃げろ!」

「来てる!」

「は?」


俺は耳を疑った。


「もう来てる!!!」


数回の爆発音が聞こえたかと思うとリンダとの通信は途絶えた。

「むっ……久しぶりのあとがきですな。と言うことはリンダ殿もここに……」

「リンダ不在」

「なっ、誰かと思えばギガ殿! どうしてこちらに……」

「オソラク、出番ガ少ナイ俺達ニ、気ヲ使ワレタ」

「なるほど、余計なお世話ですな」

「最近 キャラクター多イ」

「ですな。切りも悪いので登場人物紹介も入られそうにないですし、少し整理してみましょうか」


「【】はダンジョンモンスター。[]は野生モンスターですぞ。単純明快とはこのことですな」


北『暗黒山脈』

SS【ヴァンパイアロード 】シャーロック

S【ジェネラルアント】

A【ジャイアントアント】×8

SS[アイスマジックドラゴン]

S[スノーゴーレム]


南『毒の湖』

SS【オリハルコンゴーレム】ギガ

S【ゴッドスライム】

その他ポイズン系モンスター多数。


東『真紅の樹海』

SS【ファイアーマジックドラゴン】グラオン

S【ゴブリンキング】

S【ゴブリンクイーン】

その他野生モンスター多数。


西『最果ての迷宮』

SS【サキュバスクイーン】リンダ

S【ホワイトフェンリル】


中央『ジョーフンタウン跡地』

【ダンジョンマスター】カケル

【魔王】ジュリア


「ナルホドナ。ネームドモンスター達ガ東西南北ニ分カレテイルト」

「ええ、それにまだ名前のないモンスター達がサポート出回っている感じですな」

「ソウイエバ、【アイツ】はどこに行った?」

「…………確かに」


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