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第24話 仲良く喧嘩した結果

4時間後。炎と地震が止まった。


「終わった……みたいだな」

「ねぇシャーロック。どっちが勝ったと思う?」

「ファイアーマジックドラゴンかと」

「そう? 私的にはオリハルコンゴーレムかと思ったけど」


シャーロックとリンダは先にダンジョンの中に入っていった。


しばらくして2人は戻ってきた。2人の顔には困惑の色が見て取れた。


●○


「ひゃあーーーっはっはっは! やっぱり良いやつだな、相棒!」

「笑笑! オ前コソ!」


2体のモンスターは肩を組んで笑いあっていた。


「おう! マスター。さっきは悪かったな」


3メートルほどになり、後ろ足で立ち上がったドラゴンが俺に声をかける。

マジックドラゴンは体の大きさを自由に変えられるらしい。もちろん上限や下限はあるようだが。


「謝罪!」


ゴーレムもぺこりと頭を下げた。あれだけの炎を浴びたはずなのに傷一つない。オリハルコンの融点は何度だっけ?


「何が起きたんだ?」

「おそらく、拳で語り合って和解して仲良くなったものかと」

「男は単純でいいね。脳細胞3つでできてんじゃねーの?」


リンダはわざとらしくため息をつく。


「それにしても……勿体無いことしてしまったなぁ……」


俺は悲しげに灰を見つめた。


「……………」

「……………」


急にドラゴンとゴーレムがおし黙る。

この灰は元々図鑑だったものだ。もちろんもう一度買えば良いのだが、それにはDPがかかる。


「す、すんません、マスター……」

「……謝罪……」


さすがに2人も申し訳なさそうだ。

だが、この機会だしもっと虐めてやろう。


「この損害は体で払ってもらうとするか」

「ま、待て! 俺様はオスだぞ!」

「同上!」

「何を考えてんだ馬鹿」


変な勘違いをする2人に俺は命令をした。


「【トスベレエ山】、【レプー山】、【レートロセ山】に登ってきてくれ。飛んだりしちゃダメだぞ。ちゃんと(ふもと)からな。どんなモンスターが出るのか、どの山が一番登りづらいのか、記録してきてくれ」


俺は【ノートと鉛筆(100DP)】を押し付けた。


2人は汚名返上と言わんばかりにすぐにダンジョンを飛び出していった。


○●


意外にも時間がかかり、2人は1週間後に戻ってきた。


2人はノートを俺に手渡すと自分たちの苦労話を涙ながらに語ってきた。罰にしては重すぎたか。


2人の冒険は語り出したら20話分は消化しちまうのでダイジェストでお届けしよう。


●○


「高温……」

「確かに熱いな。火属性の俺様でも少し応えるぜ」

「敵襲!」

「なにっ……ってレッドスライムか。雑魚モンスターだな。倒す価値もねぇ」

「同意」

「……なんの音だ?」

吃驚(びっくり)!」


山の向こうから現れたのは何万という巨大なレッドスライムの群れだった。


○●


「ようやく山頂か……」

「……振動……」

「確かに揺れてるな。なんだこりゃ」

「警告! 撤退!」

「あ? どうした相棒……ってうぎゃああああああああ!


火口からマグマが噴き出した。


○●


「寒い………寒い……」

「…………………睡眠」

「馬鹿野郎! 寝たら死ぬぞ!」

「仮眠」

「同じだボケ!」

「永眠」

「死んどるわい!」


○●


「お、おい。相棒。なんの音だ」

「…雪崩」

「逃げろおおおおおおお!」


○●


「うふふふふふ。待ってた……この時を……」

「………………」

「………………」

「仲間がいなくなって200年。閉ざされた氷の中で待ち続けた甲斐があった…………」

「………………」

「………………」

「私はアイスマジックドラゴン。さあ、私とともに子をなしましょう」

「受ケ入レタラ……ドウダ?」

「結婚は人生の墓場だ。俺様は逃げる」


○●


「おい、相棒。なんだありゃ」

「S級モンスター。【スノーゴーレム】」

「巨大な雪だるまじゃなくて?」

「S級モンスター。【スノーゴーレム】」


○●


「雪ウメェ! 雪ウメェ!」

「落ち着け相棒!」


○●


「すり替えもどきだと……? なぜだ!なぜすり替えなかった!!」


○●


「ア、雪崩」


○●


「やばいやばいやばい! イエティの群れだ!」


○●


「ソウダ。裏切者ハコノ俺ダ」


○●


「ねぇなんで逃げるの!ねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえ」

「相棒!助けてくれ! この()メンヘラだ!」


○●


「敵と戦う時はな、誰にも邪魔されず自由でなんというか救われてなきゃダメなんだ」


○●


「サッカーやろうぜ!」


●○


回想終わり。

ずいぶん苦労したみたいだな。


「すまんがマスター、少し眠らせてもらうぜ」

「休眠……」


2人は気絶するように倒れる。

ドラゴンは小さくなってるとはいえ2人は3メートルを超える巨体。ドスンと地が揺れた。


「とりあえず休ませてあげましょう。話を聞くに相当眠れてないみたいですから」

「そうだな」


シャーロックの意見に同意して俺はしばらく2人を放っておくことにした。


代わりに2人の残したノートを開く。

ノートは几帳面な字で事細かに三つの山のことが書かれてあった。


半日ほどすると2人は目を覚ましたのでご褒美に名前をつけることになった。


「ひゃあーーーっはーーー! カッケェ名前を頼むぜ、マイマスター!!」


寝て起きて元気になった残念ドラゴンが叫ぶ。小学生か。

だが腐ってもドラゴン。『五衛門』とか『ムニュムニュ』なんて名前はつけられないな。


「じゃあ『グラオン』なんて名前はどうだ?」


正直言葉の響きだけで考えた名前だ。


「ひゃははははは! いいぜいいぜぇ!地上最強の俺様にふっさわしー名前だ!」


グラオンはぴょんぴょんと飛び跳ねた。隣でリンダが単細胞、と呟いた。


「そして、オリハルコンゴーレムは……『ギガ』でいこう!」

「御意」


ギガは軽く体を折り曲げて忠誠の意を示した。


○●


それから数ヶ月の月日が流れた。


「ひゃーっはー! 腕がなるぜぇ!」

「闘魂」

「英姿颯爽とはこのことですな」

「それな。ちょーテンション上がってきた!」

「カケル、いよいよだね」


「ああ、死んだ3人のためにも……俺たちは明日を生きる!」

「グラオン……グラオン……ひゃはははははは! イカした名前だぜ!なあ、相棒」

「同意」

「苦労して山に登った甲斐があったってもんだな」

「同意」

「俺様的に一番きつかったのはアイスマジックドラゴンの襲撃だな。あの(メンヘラ)、最終的に噛み付いてきやがって……」

「俺ハ『スノーゴーレム』トノ戦闘。壮絶。死ニカケタ」

「ふーん(雪合戦じゃなかったのか)」

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