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第18話


『ダンジョン結合を始めます。予定終了時刻12時00分』


「これで完了か……」

「だね、あとは気長に待とう」


俺は周りのモンスター達と雑談(ジュリアの通訳あり)をして暇を潰した。

へー、ストーンゴーレムの特技はパントマイムなのか。


そして12時。


『ダンジョン結合完了しました』


「おっ、やっとか」


俺たちはダンジョンコアの周りに集まる。


『【ダンジョン(2)】起動します』


ダンジョンコアはぼんやりと光った。


『ダンジョンマスター 【カケル】

保有DP 1億5507万240』


「1億!?」

「け、桁外れにもほどがあるね……」

「これってウルスとステンノーがやったんだよな……。どんだけ人間を倒したんだよ……」


戻ってきたら好きなだけ欲しいものをあげよう。


『【ダンジョン】破壊につき、モンスターの所有権が移動します』


「やっぱり元のダンジョンは陥落したか」

「だね、ダンジョンが壊れると特別な魔法も効かなくなるから元のダンジョンは崩落しちゃったと思うよ」


短期間とはいえ、住んだ家や2万DPの迷宮がぺっちゃんこ……。ちょっと寂しいような気もする。


『移動モンスター

F級

アカトカゲ×1

グリーンスライム×1

ミニアリ×10』


つらつらとダンジョンコアから機械音声が流れ出る。


『E級

ゴブリン×2

ホワイトウルフ×1

クレイジーフラワー×1

ストーンゴーレム×1』


俺たちはその音を静かに聞いていた。


『D級 バッドバット×1』

『A級 サキュバス×1』


そして




『SSS級 魔王【ジュリア】×1』




「え……?」


『以上 計20体を【ダンジョン(2)】のモンスターとして登録します』


ダンジョンコアはそう言い残すと、何も喋らなくなった。


「ま、ま、待てよ。ウルスは、ステンノーは!!」


身体中から冷や汗が吹き出る。頭がパニックを起こし、思うように言葉がでてこない。


「それに……リリーは……」


最悪の結末が脳裏をよぎる。

気がついたら俺はダンジョンコアを掴み、怒鳴るように問いかけていた。


「おい! ウルスとステンノーとリリーはどうした! あいつらもこっちのダンジョンに移せよ! なあ!!」


ダンジョンコアがぼんやりと光る。


『検索中………












































































S級モンスター

ミノタウルス【ウルス】

5分前に死亡。


ダンジョンサポーター

エルフ【リリー】

4分前に死亡。


S級モンスター

ゴルゴーン【ステンノー】

4分前に死亡』






ダンジョンコアは無機質にそう告げた。

俺は力なくダンジョンコアを地面に置く。

……死亡? あいつらが? 死んだ?


「ううっ………ううっああっ……あああっ……」


隣を見るとジュリアが大粒の涙を流して泣いていた。それを見て徐々に俺も現実を理解する。


「ああ…………」


どこで間違えたんだ。

俺はあいつらを救えたはずだ。

俺が止めておけば。

俺も一緒に残っておけば。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


狭い洞窟に俺の絶叫が響いた。




●○



あれから数時間が経過した。

泣き疲れたジュリアは眠ってしまった。

他のモンスターも眠っているか沈黙を貫いているかのどちらかだ。


俺は壁にもたられると目を瞑った。



●○


「……ケル……。カ……ル」


俺はぼんやりと目を覚ます。

ぼやけた視界に紫色の物体が映った。


「ごめん、カケル。お腹すいた」


紫色の物体はジュリアの髪の毛だった。


「ああ」


こんな状況でも腹は減る。

俺は適当に全員分の飯を見繕い、DPと交換した。

ウルスとステンノーがからだを張って作ったDPで。


外からの風が気になったので洞窟の出入り口に扉をつけた。

忘れずに【カンキークン(小)】も天井に取り付ける。


俺はサンドイッチを貪った。

あまり美味しくなかった。


「カケル」


ジュリアが俺の名前を呼ぶ。


「魔力が全回復したみたい。また【ちょうちょうちょうしんか】を使えるんだけど……」

「ああ、そうか……そうだったな」


俺は何気なく辺りを見渡す。


2人で身を寄せ合うゴブリン達。

食うを見つめるゴーレム。

壁を這いずるアカトカゲ。


いったい誰を進化させればいいのだろうか。


「ジュリア、進化させる相手はお前のさじ加減に任せるよ」

「……分かった」


俺は再び壁に寄りかかった。


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