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第16話 終わりの始まり

「モオオオオオオオオオオオオオ!!」


『4300DPを獲得しました』

『2700DPを獲得しました』

『3600DPを獲得しました』

『1700DPを獲得しました』

『4000DPを獲得しました』


「石化!」


『6500DPを獲得しました』

『4700DPを獲得しました』

『2100DPを獲得しました』

『6500DPを失いました』

『2300DPを獲得しました』


第二階層の転送陣から津波のように人間が溢れ出てくる。槍、弓、剣、杖、斧、ハンマー、鎌。武器も鎧も多種多様。馬にまたがっているものさえいた。


それをステンノーとウルスを正面から迎え撃つ。言葉で語るほどができないほど壮絶な戦いだった。


あっという間に100万DPはたまった。


「では、今日の夜の11時に」

「ああ、また後でな。……死ぬなよ」

「わかってます」


俺はクレイジーフラワーの植木を抱えた。

ダンジョンコアはジュリアに持たせてある。

他のモンスターたちもいろんな方法で俺についてくる予定だ。


リリーのベッドの下には大きな穴が開いていた。ダンジョンサポーターの権限を使って内密に抜け穴を作っていたらしい。全く知らなかったな。


高さが1メートルほどしかない通路が200メートルほど続いていた。俺は腰を屈めて進む。少しこの体勢は苦しい。


「カケル、大丈夫?」

「あ、ああ。なんとかな」


クレイジーフラワーは少し申し訳な誘いに葉っぱをしおらせていた。


「みて、もうすぐ出口だよ」


前を見ると明るい光が差し込んでいた。


●○


「はあ、外の空気はうまいな」


青い空がどこまでも広がっている。

俺たちは広い草原に立っていた。

考えてみれば俺は一週間近くダンジョンに引きこもっていたことになる。なんだか新鮮な気持ちだ。


「早速新しいダンジョンを探そう」


俺は5000DPで購入した【ぶっ飛びの羽】を取り出す。手のひら大の真っ白な鳥の羽だ。

これは人里離れた場所に使用者を連れて行ってくれる優れものである。まあ、人間にとっては必要ないものだろうが。


「ぶっ飛びの羽、頼むぞ」


そういうが早いか羽は1畳ほどの大きさに膨らんだ。俺たちがそれに乗り込むとぶっ飛びの羽は天高く上昇し猛スピードで進んだ。

不思議なことGはかからなかった。


●○


2時間後。俺たちはダンジョンから遠く離れた山のふもとに立っていた。

あたりはもう暗くなりかかっていた。


「ゴブリン、時計を見せてくれ」

「ゴブゴブー」


ゴブリンが短い腕を差し出す。


時刻は午後6時を回ったところだ。


「急いで拠点となる場所を探そう。バッドバットとゴブリンはダンジョンになりそうな場所がないか探してきてくれ」

「キーーーーーーーー」

「ゴブ」

「ゴブ」


●○


1時間後。


「ゴブゴブー……」


ゴブリンたちが帰ってきた。


「めぼしいところは見当たらないって」


ジュリアが通訳する。


「そう簡単には見つからないか……

「キーーーーーーーー」


頭上からバッドバットの声がした。


「山の上の方に大きな洞穴があるだってよ!」

「急いで向かおう」


俺はクレイジーフラワーを担ぎ上げるとバッドバットを追って山を登って行った。

「石化!」


ステンノーが走りこむ新たな増援部隊を睨む。


「ぐうっ!」


前衛の十数人が石像になる。


「石化解除!」


増援部隊の後ろから声が聞こえた。

前列の石像たちがすぐに動き出す。


「っち! 厄介だね!」


ステンノーは数十メートルの距離をひとっ飛びで後退した。


「断罪の刃!」


ウルスが薙ぎ払った斧の衝撃波が増援部隊の前列に激突する。何人もの手足がちぎれ、ようやく増援部隊の勢いが止まる。

攻撃を受けたものは仲間に担がれ、後ろに引くか、もう死んでいるかのどちらかだ。


「悪いね。足引っ張っちまって」

「モー。ステンノーには相性の悪い相手だモー」


ステンノーは一撃必殺の『石化』を主力としてる以上、多数の敵相手には効果が発揮できないのだ。


「いま何時か分かるかい?」

「午後9時……約束の時間まであと3時間だモー」


ウルスとステンノーが第3階層に出る前、リリーに呼び止められた。


「どんなに相手が強くてもどうか今日の12時までは耐えてください」


余裕だ、とウルスとステンノーは笑ったが、正直行ってかなり苦しい。


戦っている時間はおよそ8時間。倒した相手は1万から先は数えていない。


「もう一踏ん張りさね」

「敵のレベルもだんだん下がってきている気がするモー」

「だが、代わりに飛び道具が増えてる」


そう話している間にも矢やら魔法やらが飛んでくる。


「また、増援だモー」


第二階層から何百人単位で人がなだれ込む。

死んだ人間がダンジョンに吸収されるため、あたりは意外にも綺麗だ。


吸収システムがなかったらあたりは血の海だろう。


「うて!!」


何百本の矢が飛んでくる。


「見え見えだよ!」


ウルスとステンノーはすべての矢を紙一重で避ける。

はずだった。


「!?」


軌道を変えないはずの矢。

その矢はステンノーの目の前で突然にして軌道を変えた。


(マジックアロー!)


マジックアローは魔法が込められた矢のこと。軌道が獲物に当たる直前で軌道を変える効果を持つ。

しかし、矢野曲がる方向は弓使いにもわからないため非常に使いづらい代物だった。


(油断した……)


矢がステンノーの右目を貫いた。

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