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第14話 モンスターの力

私はアビシア王国第3連隊特殊先行工作部隊隊員、ジャヴァウォック・スティフィンガー中尉であります。みんなからはスティと呼ばれているでありますよ。


5日ほど前、皇帝陛下直々に我らに命令が下されたであります。

その内容は『ダンジョンを壊滅させよ』とのことでありました。


詳しく話を聞くと目標のダンジョンはわずか数日前にできた新しいものだそうであります。


しかも、この作戦は国連軍が総力を挙げて挑むというではありませんか。

なんというオーバーキル。

蚊を殺すのに禁断の暗黒魔法を使うが如しであります。

隊長達も内心困惑しているようでありましたが、所詮我々は兵隊アリに過ぎないのであります。

命令に従って長い時間をかけてここまで歩いてきたのであります。


到着するとすぐに我々の部隊はダンジョンに投入されたのであります。

ダンジョンは迷宮型になっており、小癪なことにトラップが多数仕掛けられていたのであります。

更にダンジョンは一定時間経つと形を変えるのであります!


私はこの隊では下っ端なので入り口でロープを持ちながらあたりを警戒しておくという係でありました。

ダンジョンの壁が移動し始めた時は度肝を抜かれたでありますよ。


確かに、ただのダンジョンではないのかもしれん。

と、隊長殿がおっしゃっていたのであります。


しかし我々は国連軍。この程度のダンジョンなどおそるるに足らず。

すぐさま国連軍高級参謀機関がダンジョンの攻略をしたのであります。


なんでも、ダンジョン内に雨を降らせるという奇想天外な作戦。

さすが、人類の頭脳と言われる機関であります。


我々はランドール王国の隠密行動部隊と、国連軍特殊魔法小隊の力を借りて続け様に2階層を突破したのであります。


特に魔法小隊の活躍はめざましいものでありました。

崖の下に敷き詰められている棘を全て溶かしてしまうのですから、魔法は偉大だと改めて感服したのであります。


さらに第二階層の出口の前で魔法小隊は転移陣を作り出したのであります。


これで煩わしい第1、第2階層を通らなくても直接地上と行き来できるのでありますよ。


魔法小隊はさすがに魔力消費が激しいらしく地上へと戻って行きました。我々は敬礼でそれを見送ると第3階層に乗り込んだのであります。


特別に合流した追加の10人には転送陣の介護を任せ、我が先鋭部隊のみの偵察であります。


第3階層は迷宮でも細い道でもなく、巨大な部屋でありました。


「……なにもないでやんすね」

「気をぬくなでごわす。上の階層からも分かる通り、ここのダンジョンマスターはなかなかの切れ者でごわす」


それにしてもうちの部隊は変な語尾のやつが多いでありますな。滑稽であります。


「12時の方向に人影発見でござる!」


副隊長の声に反応し、我々は前を向いたであります。

あまりに遠くてよく見えないであります。

確かに、言われてみれば米粒大の何かが……。


「うわあああああああああああでござるぅぅ!」


不意に副隊長が悲鳴をあげたであります。

見ると副隊長がだんだんと石になっていくではありませんか!

数秒と経たないうちに副隊長が石像に変わってしまったであります!


「石化解除だぜぇ!」


アンコール先輩が魔法を使い、副隊長の石化を解除したであります。


「ぐうっ!かたじけないでござる。隊長殿!あれは拙者の見立てによればゴルゴーンでござる!」

「ゴルゴーンでありますか!?」


確かゴルゴーンは伝説の魔物じゃ……。


「上なんだな!!」


私はその声を聞いて反射的に右に転がったであります。

その刹那、私の立っていた場所に巨大な斧が落ちてきたであります!


「モー。外したんだモー」

「み、ミノタウロスでやんす!」


なんと、天井に牛の化け物が張り付いていたのであります!


「次は殺すモオオオオオオオ!!」


ミノタウロスは天井から降りてくると斧を担ぎ上げ振り回し始めたのであります。


「リーチの差に気をつけるでごわす!」

「回り込め的な!!」

「斧ニ気ヲ取ラレチャダメ」

「戦線を保つんだぜぇ!」


私達は突如現れたミノタウロスに気を取られるがあまり大事なことを一瞬忘れていたであります。


「石化解除を使えるのはアンタだったねぇ」

「ぐっ!」

「石化」


ゴルゴーンがいつの間にか此処に現れたのであります。


「すまん、ヘマ踏んだぜぇ……」


唯一石化解除を使える先輩がゴルゴーンの餌食になったのであります。


「気をつけろ! ゴルゴーンの目を見るな!」


隊長の声に従い、ゴルゴーンから目線を逸らすと……。


「モオオオオオオ!」


ミノタウロスの襲撃からも目をそらすことになるのであります。


「こんなん、戦いにならんぜよ!!」

「ぐわぁっっ!」

「ルシアがやられた的な!」

「石化」

「なっ! くそおおおおお!」


どんどん仲間がやられていくであります。


「撤退だ!撤退しろ!」


隊長の声に従って、私達は出口に足を向けたのであります。

が、


「石化」

「にゃぁっ! みんなダメにゃ! ゴルゴーンが入り口に……にゃあああ!体が石に……」

「ちきしょおお! 体が動かないでやんす!」

「ニャルファーネ、スタンティオ!言い残すことは!」

「ジュランに!約束を守れなくてすまにゃい!」

「マイクへ!約束通りお袋を頼むでやんす!」


2人はそれだけ言うと剣をゴルゴーンに向かって投げたのであります。


「チッ!」


ゴルゴーンはそれをしゃがんで避けた隙を見て、私は入り口に滑り込んだのであります。

どういうわけかはわからないでありますが、ダンジョンのモンスターは階層を超えての移動はすぐにはできないのであります!


「脱出成功であります!」

「よくやった! 応援を呼んでこい!」

「了解!」


私は第二階層へ駆け上がり、警備部隊に応援を要請すると転送陣を使って地上へと戻ったのであります。



「それにしても先輩方変わった語尾が多いでありますね」

「お前が言うなでやんす」

「お前が言うなでごわす」

「お前が言うにゃ」

「オ前ガ言うナ」

「お前が言うなぜよ」

「お前が言うなでござる」

「お前が言うな的な」

「お前が言うなだぜぇ」


隊長(誰が喋ったかわかりやすい)

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