空と海を結んだ景色の物語
少年は天からの遣いで、雨を降らす特技があった。。。彼の雨は優しさに満ちていた。
少年の嘘さえ愛せるくらいの眩い神聖さに魅せられていたのかもしれない。
大きな試験を控えた大学卒業の年の海は、来年のChristmasに龍がプレゼントしてくれると話してくれた手袋を心待ちにしていた。海は昼間は学校に行き、学校が終わるとその足でバイトへむかう生活を続けていた。大抵帰宅は21時頃。家族とは離れて暮らしていたが寂しくなかった。それは海には龍がいる。その存在だけで、心が強くなったし龍の心はいつも温かい。その温かく居心地の良い場所をとても気にいっていた。海は、独り暮らしのアパートに戻るといつものように龍に一番にメールをする。それが毎日の日課となっていた。その日の出来事を聞いてもらうのだ。この日は、ミゾレが降っていた。海は「今日は帰りにミゾレが降っていたから、明日は雪になるかもしれないね。まだ、手がカチカチで冷たくて感覚がないよ。」と龍に伝えた。
「ミゾレって何?初めて聞いた。手袋はどうしたの?」
「ボロボロになって捨てちゃった。」と答えた。
「ダメだよ。ちゃんと手袋しないと?!そうだ来年のクリスマスはプレゼントに手袋を買ってあげるよ。」
龍は言った。
海は、すごく嬉しかった。それは、手袋を買って貰えるという話しよりも。。。もう一年、龍の心を眺めていられる保証が出来たという事にホッとして。龍は卒業まで待ってくれる。そして、最後の学生生活が終われば、もっと大人な女性に変身して、龍に会える。そんな未来を胸に抱いたのだ。