緋碧(ひへき)の眼球
ファンタジー系の本とかアニメとか、神話に出てくるやつな。
海焰怪恐巨妖幻獣。神をも恐れるっていう超強い龍、強いてはドラゴン。
炎と嘘を吐くって有名らしいが、俺は生憎神話についてはそんなに知らんのだよ、子供の時はよく、かっけえって思ってたけどな。
「逃げろ!!早く里から出て行くんだ!」
家の外からその声が聞こえて来て、思わず俺は外に飛び出した。
俺の今いる所は恐らくこの『里』の一番高いところで、家は寺っぽい雰囲気だった。下には階段があり、階段を降りた先にはそれぞれ住宅や店の様な家が並んでいた。その先には鳥居の様な門がありこの里の出入り口であろう場所があった。
里の周りは竹林に囲まれており、少し暗い印象を受けた__。
ほんの数十秒後、獣の様な大きい咆哮が聞こえた。それが、この戦いの萌しであった。
すると明は__
「水妃姉、降りよう、里の皆を助けるのが龍伊一門の掟だよ…」
いつにも増して暗い表情で言った。
すると水妃は言った。
「皆は逃げて。お姉ちゃんだけで戦うよ、犠牲は少ない方がいいからね」
それを聞き飛來は過敏に反応した。
「っな、何言ってんだよ!そんなのできるわけな__」
「Vrryyyyyyyyyy!!!」
第二の方向に水妃はこれ以上は危ないとわかったのか、家から出、駆け出した。
俺は咄嗟に水妃を追いかけた。
屋外へ出ると、さっき見た家は焼かれ、緑も消え、残っていたのはこの家のみだった。
「っっ!!!」
すると水妃は自分の手で長い裾を破り離そうとし、バリッと、綺麗な布が破れ、落ちた。
両方の裾を切り離し、白い肌が露わになって、俺は目のやりどころに困った。
また次に着物の下部分を捲り上げ、水妃の足が見えた。
「み、水妃、何やって__」
止めようとしたがダメだった。明が言っていた『里の皆を助けるのは龍居一門の役目』と言うのは本当だったらしい。
守れなかった自分に起こっているのか、里を焼き尽くしている龍に怒っているか、それともその両方なのか、それは俺にはわからない。
「…」
水妃は黙ったまま龍に向かって歩き出した。
——すると。
「「「「「 『大いなる波よ、電雨となり刺し穿て』 ッッ!!!」」」」」
その声が話されたと同時に、『あの』五人を中心とした巨大な魔法陣が創造された。
「な、なんだあれぇ!?」
魔法陣の色が天色へと変わり__
「「「「「 『レビン・レイン・ダイダルウェイブ』 ッッ!!」」」」」
__衝撃波とともに、リヴァイアサンへ強大な魔法が襲い掛かった。
バチバチと稲妻が走り、直線方向にリヴァイアサンに向かって行った…が。 その攻撃は無かったのかのごとく、バリアの様なものでかき消された。
その直後、前にいる國刺と思われる声が聞こえた。
「 『鬼化』 」
「 『水に委する刀よ我元に還るべし、海川湖に属する刃よ我に力を与えるべし、天と地での表裏一体、青は空、青は海、委ねる自然に尽くすべし、会釈を行い使い給う。妖を存じず利かすは悪し。実践躬行こそ我自身の道である。道を外すは死ぬも同然。保ちは疎か、日々進化を続けるべし。妖こそ人の表れ、我は人なり、妖である、用いるは、我の心、我の刀』 」
その長い詠唱らしきものを終えた國刺は次に__
「 『リーベラーティオー・リバー・ザ・エッジ』 ッッ!!」
ドゴォっと解き放された様な物凄い気を感じた……國刺は、頭から角が生え、両手には蒼い結構な長さのある、反り返っている刀を持っていた。
俺はもう色々ありすぎて頭おかしくなりそうだ。
すると國刺は覚醒後の第一声を放った。
「ぁぁああああ……久しぶりだなぁ…蒼双刀としてもっと活躍しなきゃなぁ…ククク…」
國刺の髪の色がだんだんと色褪せ、その色褪せた蒼と黒紫色が混ざった様な色に変わっていた。
俺は驚怖を感じ、ちょっと引き退った。
それに対して他兄妹達は一寸も退かなかった。
すると__。
「ケケケケケッケケッケケケッケケケッケケケッケケケケケ!!アァァッハッハアァアアアア!!」
何このひとこわい。
國刺は人が変わった様だった。奇声を上げ、精神は確実に狂っている。
あゝ…絶対なんか言ったらブッコロリーされるよ…と俺も精神を落ち着かせようと必死だった。
「 第一の攻撃ィ!! 」
む…!?来るっ…!
__咄嗟に逃げようとはしたが……
「ん…?おいそこのお前ェ…協力しろよォ!」
振り向かれ、オーマイガー、見つかってしまった。
完全に変わってしまった國刺に捕らえられ、呆気なく俺は戦闘に参加した。
「__改ィ!第一の攻撃ィ!! 」
「 『蒼刀獄國殺迅水滅斬』 ッッ!!」
今まで稀に見ない凄く反り返った刀を斜十字にし、そんなどっかの豪k…ゲフンゲフン、格闘家みたいな奴が言いそうな発言をした。
そして__。
「にぬねよぬにねねのにぬねなぬにぬにぬにねなねなににねののにねななななににねににななななひななぬにぬねのにねねぬにのになぬねのなぬねのななぬのぬなねなななんのにぬねねねのにぬねねににのにぬののにねののねぬにぬにねねぬななにぬねのにねぬのにねのな」
__頭狂ってんのかこの人。
「國刺だけに活躍させるわけにもいかねえなぁ…」
…は?なんなのこの人達。マジで頭大丈夫かよ……
立ち上がったのは影狼だった。
「__なぬぬの…うおらあああああ!!」
國刺は腕を後ろに回し、物凄い空気の圧とともにスタートダッシュで走り出した。
岩から削れ出た細かい塵が飛び散ったが、俺は咄嗟に自分の腕で目に塵が入らぬ様防いだ。
するとやっと(?)
「…ぁ…龍伊…一門…皆んな……出撃…!!」
と、水妃は怒りを堪えながらも声を絞り出し言い放った。
その後その龍伊一門はこの長い階段を壕速で駆け下りた。というかむしろ飛んでた。人間じゃねぇよ。
結局自分も焦って走ってすっ転んだと思ったら明は大きいシャボンのようなものを出し、不思議だが上手く包まれ助けられたが、危うく死ぬところだった。
助かった…「ありがとう御座います」と明に投げかけると、「どうも」と暗い声で返してきた。まぁいいか。
焼け焦げた草の混じった砂が広がる野球ができそうなぐらいの広いドームが四つほど入りそうなとても大きい広場に出た。
つまりは……………………リヴァイアサンの目の前。
あゝ、生きれる気がしない。あゝ、神様、どうか私をお助けください。
広場…そう、この際決戦場と呼ぼう。決戦場は火花と焼け焦げた木の灰がふわりふわりと飛び、熱い。暑いが、熱い。計7人揃ったな。
「 ——『マスケッティア』! 」
『マスケッティア』とはつまり銃士のことを指すのだろう。
影狼がそう言い放ったまたその後は__
「 『我に力を勁き鷲よ・鋼の弓矢・大いなる水の素に剛力を』」
「 『ゲネシス・ハイドロリック・デザートイーグル』 ッ!!」
!?…デザートイーグル!?
吃驚し、「あっ!?」という声を出してしまったのだが、それには理由がある。
特には関係のないことだが、昔、10歳位の時、狩りをしてる爺ちゃんから勝手にデザートイーグルを奪って、遊んで調子に乗って森の木に撃ったらすっ転んで右肩を骨折したっけ…あん時は爺ちゃんにうんと怒られたなあぁ…
と、俺は昔の悪ガキの時の思い出をあ探っていると__。
「 『戒心強化』 ッッ!」
魔夜が言い放った。恐らくだが、バイ○ルト的な強化魔法だろう。
続けて魔夜が__。
「みんな、戒心強化は掛けたけど、リヴァイアサンの動きには気を付けて、防御、攻撃を怠らぬ様に!」
体格は小柄なのによくここまで喋れるな。…だがそう、油断は禁物だ。
魔夜の言葉に全員、それぞれ「わかった」の合図を送った。
一方國刺は跳び続け、さらにリヴァイアサンへの攻撃は増し、紫色のどす黒い竜の血飛沫が飛び散る。
「どうだ、どうよおおおお!?!?この刀捌きはよォ!目が追いついてねえぇぞォォ!」
ンンンン、あいつは相変わらず気狂いだ。
「ほらほらほらほらァ!遅い遅い!そんな鈍い攻撃じゃ無・意・味!遅すぎるんだよォ!無駄無駄無駄無駄ァ!アッヒャッヒャ!アアアア!!」
はいはいタンクローリータンクローリー。
蒼刀と言っていた刀、その容姿といえば全体的に青く、水の様で常にキラキラとその刀身で蠢き、時に形を変えたり、水が時々『ブシャッ』と吹き出したりと、奇想天外な動きをしたりするが、國刺はそんな扱いにくそうな刀を物の見事に使いこなしている様に見える。その刀は恐らく、いや大太刀だろう。いや待て。待てよ、大太刀って長くても7尺4寸(2m24cm)って言うのにしかも大太刀って馬に乗ってから扱うモノじゃねえのかよ!?
一方その國刺というと、音速…というとわかりにくいが、その動き一つ一つに全部、力が入っている様に感じた。
常に地面を踏みしめなければ吹っ飛ばされそうな位、力強い風が伝わる程速かった。
リヴァイアサンの足をぐしゃぐしゃと荒く斬るってどんな感じだよと聞かれればそれは説明が実に難しい。
突進の様に真っ直ぐ動くのはわかる。斬り方はそんなに細かくは説明できないのだが…強いて云うと、突進撃、回転斬り、など他諸諸有る。ありゃ絶対筋肉量どうかしてるよ…重すぎるって…両刀大太刀とかほんと人間じゃねえって…
今更だがリヴァイアサンの大きさといえば、うーん、ゴジラの二分の一位か。そうだな、それぐらいか、結構でかい。
また影狼はというと、『あの』デザートイーグルで撃って…ってあれ、なんか違うぞ、碧い矢みたいなのを銃口から発射してる。
『カチッ、バーン』とかいう典型的な銃音ではなくて、魔法を使う様な圧縮される様な音を出して発射されている。リロードというのがないのか、延々と撃ち続けている。
ただ次に__
「 『大鷲の魂よ吠え狂え・烈火の流法』! 」
「 『ブレイズ・モード』 ッッ!」
1、1、1、1、と4拍子で撃たれていた弾は、影狼のそれで、
ダダダダッと連射に切り替わった。
デザートイーグルがデザートイーグルじゃない…なんかもう…やだ…
俺が頭を抱えてため息をつくその直前に
「gryyyyyyyyyy!!」
「っぐ、みんな危ない!」
水妃が先行して言い放った。
リヴァイアサンはとてつもない咆哮を上げると同時に灼熱の炎が吐き出された。唐紅の火花が咲き誇り、その真っ赤な炎が龍伊一門の衣や髪が水面と成り、それを茜色に染めた。
「避けてっっ!!」
『緋碧の眼球』
ここまで読んで頂き誠に有り難うございました。
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