前略、契約しました。
こんにちは。月そらまめです。
今回は短編となります。契約篇は、次もあります。
この回で少し、投稿数も稼いどこうかな、と、あと、迷っていたので一旦投稿しました。
では、お楽しみください。
「んあぁー…頭いてぇ…」
今までを振り返ってみると…一日目、異世界転移、二日目、ラミュと出会い、そのあとに初、戦闘…そして…
三日目の、朝…あ…さ…
「あ…」
なななな、なんでソラリスさんがここに寝てるんだ!?
——二回目…
「あ、えっと、う、海?お、起きたか?」
「ヒイッ!?」
あ、ラミュか。
「お、おはよう、もう風邪は治ったのか?」
横のベッドでは、本を読むラミュが。
「ああ、もう元気だ!」
病みあがりの癖にいい笑顔しやがって__。
「お、おう、元気で何よりだ…で、なんでこいつがここで寝てるんだよ…」
俺は指でこいつの頭をツンツンしてると…
「こ、こら、寝てる人を、ツンツンするんじゃないぞ」
「そんなことよりなんでこいつがここにいるのか教えてくれ!」
「それが………」
ラミュの話によると、ソラリスがここだと寝にくいだろうと、自分のベッドへ移したそうだ。
「だからって…完全に余計なお世話じゃないか…」
「すまん…迷惑だったか…」
いいえ?全然?
下心は出さない主義だ。
あえて他人には言わない。
『——さすがラミュさんッ!俺達のできないことを平然とやってのけるッ!!そこに痺れるッッ!憧れルゥゥ!!!』
「いいよ、別に」
せっかくここにきたんだし、ちょっとぐらい、いつもと違うことしてもいいよな。
「海、質問だ」
「なん?」
「今日の予定は決まってるのか?」
そんな嬉々(きき)として子供みたいに言わなくても…
「今日は…まだ決まってない。とりあえずこいつが起きたら決めるか」
「そ、そうだな!ソラリスが起きてからだな!」
あはは…と苦笑、こういうやつはどうも苦手だなぁ…少し…
——改めて観ると、うん、確かに可愛い!
眼は金色の貴族といった雰囲気の感じ、髪は真緑、なかなか黄金色の眼もいいものだな…
「うんうん…」
「な、なんだ急に、こっちを見ながら、う、うなずきおって……」
「いやただ、こんなにも近くに美人さんが二人もなんてそうそうないなぁ…とこの幸せな状況に浸っているだけなんだが…いやラミュ可愛いし」
「え」
ラミュがベッドから降り、自分のベッドへ、ん…?
あ、やべ、地雷踏んだ?あー…どうしよ、ああああ、顔が近いですラミュさん、ちょ、ちょっと、
「ああ、すいませんラミュさん、これちょっとやばいんじゃないでしょうかね、ああ、えっと、可愛いというのは皮肉とかではなくあの…」
「貴様!いいセンスじゃないか!私のことをそこまで褒めてくれるとは、惚れた!お前に惚れたぞ!」
ちょろい、この姫君チョロい。チョロ姫、このチョロ姫め。
「惚れたとか、またまた、ラミュさんご冗談キツいですよぉ〜おっほっほ〜」
これはもうさすがの俺でも苦笑いを通り越してちょっと引いてる。
「冗談など一言も言ってない、ただ純粋に褒めてくれただけで私はお前に惚れたと言っただけだ!」
「えっと…はい?すいません、惚れたとは?」
急展開すぎませんかねぇ?思いますよね?
それを見つけたのは__
それは、一日目の夜……
——異世界。そう、現実ではないんだ!(多分)
「ねえー…もう帰って寝よ?」
「まだだ、まだやることがある!」
「まぁ、いいけど……」
宿をとり、時間があるので街の巨大図書館で俺たちは本を漁っていた。
主に……契約について。
契約について、それはここにきて、『 契約I 』という本を見た。
それは、この世界の冒険者は必ず一人、他の誰かと、一生、一緒に居ることを決める『契約』を交わさないといけない、という物だった。
その契約について、その他魔法についてなどを、読み漁っていた。
「契約は一度交わすと、場所は離れても必ず運命に導かれ、すぐ元に戻るよう、決められている……『神の導き』…?」
神…この世界に信仰はあるのか、そもそも、ここの神って?
「神…懐かしいね…」
本棚の上に腰掛け、何か本を黙々と読んでいたソラリスは急に一変し、神妙な面持ちになり、声のトーンも低くなった。
「え?」
「今から少し前、この国では、国教として、『クュリオス』という神を崇めていたんだよ、でも突然、何もなかったようにその宗教は抹消された。それは一般の人しか感じていない」
「誰か、何か行動を起こしたりとかはしなかったのか?」
「殺されたんだよ」
——!?なん…だと!?
「殺された、正確にはそう。いわば抹殺された」
「抹殺…じゃ、じゃあ、この神の導きとやらは、どうなったんだよ」
そのクゥリオス神の信仰が切れ、どうなったのか、
「なくなったのは信仰の行動だけだよ、信仰心、崇める人々自体は消えてないんだよ」
「つ、つまり…」
「つまり、まだ全然、神様のお仕事は止まってないの」
ん、だから、組織は壊滅、教会なども破壊され、宗教的行動も一切の禁止が出された、そういうことか。
だがまだ人の心の中では崇拝されている。
「なんで崩壊したかは謎のまま。解き明かそうとする人も出ないんだ、行動に移したら、必ず殺されるんだもの」
も、もういい、十分わかった、もう宿に帰ろう。
「ソラリス、き、今日のところは宿に行くぞ、疲れたし、早く寝よう」
少し寒気がしてきた…
「あ、ちょっと怖い?震えてるよ?大丈夫?今日一緒に寝てあげようか?」
「な、なにをおお!?お、おおお、俺が怖がるとか、な、なわけないじゃん!?い、一緒に寝るとか、寝る…とか…」
歳は18、もうそろそろ彼女ができてもいいと思うんだ、もういっそのこと、さっきの『契約』、交わすかぁ!?
契約の方法、それは……あれだ、口付けとかそんなやつらしい。
契約はそもそも男女二人で契約成立とする、微々なる幸せを共有することで成立となる。
ここの世界はなぜか上手く出来ている。いわゆる、あまり可愛くない、カッコよくない男や女がいないのだ、でも、それぞれ特徴がある。つまり、『非リア充』がいないとなるんだ。巡り巡って、巡り会える運命というのはすでに決まっているのだ。
なんだその設定。
いいのか悪いのか全然判らん。ここの神様は一体何してくれとんじゃ。
「捻じ曲げんじゃねぇ!!」
「ファッ!?どうした海?」
ソラリスはビクッと驚いた。
「別になんでもない…」
俺は少ししょぼんとした。
——いいか?
これから、こいつと付き合うんだ、守るんだ。そうだ。
一生非リアだと思っていたけど、こんな奴に巡り会えるとは。本当に人生とはすげぇな。
俺達は未知だ、まだ見ぬ未来に向かって突き進むのみだ。
いい、これがいいんだ。やるぞ、やってやる、俺を舐めんな!
宿に着き、少し経って……
『空歌 海、18歳。土属性錬成師です、『ソラリティア・リスニィーア』と、契約します』
「 『コントラクトゥス』 」
「 『契約を』 」
契約を、と言い放ったと同時にソラリスをこの体で包み込んだ。
「海…ね…ぬぐっ…」
ソ:!?
「ソラリティア・リスニィーア、俺と、契約してくれるか…?」
契約!?ってかなんで海が私のフルネームを…い、一応言ったけど、い、今はそれじゃなくて、契約、な、なんて言うんだったっけ、ああそうか、『認めます』でいいのか、でも、い、いきなり、どうしよう、契約は………………
「ち、ちちち、『誓います』!!」んぐっっ
「な、なんでいきなり言ってくるのよ、言っちゃったじゃん!まだ、まだ一日しかっっ」
海:
「一日でも何年でも何万年でも一秒でもいいんだよ、今はただ、幸せを分かち合うんだろ、こんな時ぐらい静かにしろ…」
ぎゅっと…なんだ、これがリア充ライフってか、何かはわからないけど、温もりと懐かしさが有る。
「ね、ねえ、もう…いい…?」
「ダメだ…俺はお前を信じる、お前は俺を信じろ。俺はお前が何者なのかは知らない、お前が俺のこと、知ってるかもわからない。未知な俺は、お前が巡り合った相手だと思う。もう一度言うが、『一日でも何年でも何万年でも一秒でも一分でも、いいんだよ』…遠回しに言い過ぎたか?俺はお前が好きだ、だからお前も俺を好きになってくれ」
あはは、やべえ、何好きとか言ってんだろ。もういいや、流れに身を任せよう。
「っぐ……離せぇ!離してよ!離してって!」
んなの聞くか。
ソラリスが離してもらおうと必死に足掻く。
すると……
「後悔…しないでね…」
少し力を抜いただけでするりと逃げられた。
「お、おい、どこ行くっ…」
そのまま外へ向かうソラリスに手を伸ばしたが届かない。
バタン…と、扉は閉ざされた。
下を向いたまま言ったその言葉は、重かった。
一つの小さな部屋に声と扉の閉まる音が余韻を残し、すぐ、静かになった。
「もしかして…」
何故かはわからないけど、ソラリスの行く場所がわかった。
ンフフ…この時間帯(深夜)なら…貸切となる…あそこの銭湯は結構広いしな…
行くか…
女子を泣かせたあとにすぐにどっか行くとか、下衆の極みな感じもするが、この手しか思いつかねえんだよな
正確には謝りに行く、だからな、なにを謝るのかは知らん。
ここの銭湯は無料だからいいな…と思いながらも男湯へ行った。
こーっそーり…こっそーり…
「……何なのよ…あいつ…あんな好き好き言われたらどしようもこうしようもないじゃん…」
入ったと同時に壁の向こう側から声が聞こえてきた。
「女の子は言われすぎても困るだけだよ…」
……っふ、分かるわけねぇだろ、鈍い俺はこれぐらいしかできねぇんだよ。
湯船に浸かり、俺は裏声で__
「ソラリスちゃん!」
「ひいいいい!!??」
ええええええ、そんな驚かなくても!!
バシャバシャと水の音に、コーンとバスチェアの落ちる音が響く。
——と、そんなことできるわけないので、ソラリスとは指切りげんまんで契約しました。
どうも、月そらまめです。
今回はこの世界の宗教、そして、ソラリスちゃんの本名も書いてみました。
えっと、契約篇は時々あると思います…多分。
また…主人公とソラリスちゃんとの距離が近くなってくると…契約篇で…ちょっと違う雰囲気を作る(と思う)ので
読んでくれると嬉しいです。
それと、感想、ご指摘など、どしどし、コメントしてってください。
読んでくださった方、本当にありがとうございました!