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前編


ある一人の男がその峠に自分の車に腰掛けていた。男は何もないかのような振る舞いだった....

気にくわない。 ここは峠だ。そういう場所じゃないって思うのに.....。

そしてその男はこちらに気づき、こっちにやってきた。 いかにも古参の顔であるが何か喋りたそうである。

「やぁ! 君もここに走りに来たのかい? 俺は滝沢リョウ。本業はGTとかのレースのメカニックをしてる男だ」

これは驚いた、まさかそういう関係の人が来るとは......と。

「いやぁここも随分がらんになっちゃったねぇ......若い頃が懐かしいよ......」

なんなんだよと一瞬思ったが中年になったりするとこうなるらしいと親父が言っていたのをなぜか思い出した。

「ん、まぁ今日は金曜ですからあまり来ないと思います。みんな大抵土曜ですから....それとあなたのそのマシンって....S30のZですか....? 」

「おお〜まさかこの車を知ってるとは思わなかったよ。けどね〜この車はS130なんだ....ハハハ....」

確かに俺が知っているS30とは何か違うと思ったがS130とは....しかしかなり改造してると思う。何かオーラみたいなにかが違うと思った。

「実は.....この峠にある伝説があるのは知ってるかな?」

「いや.... 知らないですけど....どういうものなんですか...?」

滝沢は咳払いをしてこう続けた。

「今から20年前になるんだが.....その当時僕のS130は凄いって有名で【Zのタキザワ】って呼ばれていて、この峠だったら負けなしだった.....だけど、ある日一台の車に挑まれて負けた。 車種はRX-7 今でいうSA型のセブンだった.........






198X年


「クソっ!なんてコーナーリングしてやがる! あのセブン! コーナーをあんな風に駆け抜けていくなんてなんて奴だ!」

NAで200PS近い数値の俺の自慢のL型エンジンを積んだZは直線では追いつくものの、コーナーでギリギリまでアクセルを踏む奴の走りにビビりながらもZを走らせていく.....しかしセブンのテールランプはずっと同じ距離にいて追いつく気配がない。

「くう....ちくしょう.....離される.....もうゴールが近いってのに.....」

そう思った瞬間だった.....僕の車は後ろのトラクションが抜けてそのまま回った.....。


少し経ったらセブンが戻って来て、中からドライバーが出てきた。

「大丈夫か?....大丈夫そうだナ。 まぁこんな結果になってしまったがナ」

......その時自分は悔しくってならなかった.....風又峠で負け無しと言われた自分がこんなにあっけなくセブンに負けるとは、と。

「ククク....まだまだ甘いなァ.... ざっと見て200psくらいか。 ワリィがこっちのセブンは250psは出てるんでな。 見たところコーナーのウマさは同じくらいだったがもっと大事な部分が欠けてるゼ」

その時また不覚にも驚いてしまった。まさかコーナー自体ではなく出口で負けているとは.....そういうことだったのかと分かった。

セブンが余裕そうにしているのが妬ましいとも思った。

「まさかヤられるとは思わなかった.....アンタは....?」

そうすると相手は「コウイチだ....それとお前エンジンと足だけじゃダメだぞ、車体がヤレている。」

そういうとコウイチと名乗る男は行ってしまった。

自分には車体がヤレているなんて言われてもわからなかった。 ただ走れば速くなるし、いじれば速くなる....とだけ思っていた。

のちにそれがよくわかった……だがああなるとは当時の僕には考えられなかった....。

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