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悪役(?)お嬢様は流されやすい。

悪役って……誰のこと?

作者: 刹那零

 紀伊視点のお話。

 紀伊が当初のイメージから大きくずれているため、注意。

 おっさん属性は伊達じゃない。

(読んで気分が悪くなられても、責任は負えません。謝罪ならできるんですが……)

「今まで、申し訳ありませんでした!!」


 皆様こんにちは。私の名前は、青蘭紀伊です。

 ……現在、目の前でフランス人形のごとき美少女に思いっきり謝罪されています。……何故?

 驚くと思考回路が全く働かなくなるって聞いたことあったけど、ホントにあるもんなんだね……初めて知ったよ。


「い、いきなり謝罪されるなんて、迷惑に思ってしまいますわよね……。わたくしの顔なんて、見たくないでしょうし……」


 ちょ、泣きそうな顔がめちゃくちゃ可愛いんですけど! 潤んだ目とかヤバイですよ、奥さん! 持って帰っても良いですか!?

 ……や、そんなことしたら確実に斎条君に殺されるから、やらないけど。

 というか、さっき勢いで奥さんとか言ったけど、噂によるとホントに奥さんらしいじゃん? 行動早っ! 確か、ついこの間が誕生日だったはず……。

 っといかんいかん、つい目の前の美少女を放置してしまった……。この失態は、万死に値するレベルだわ……

 。前の学校の友達に知られたら、サバトの生け贄にされかねない……気をつけねば。


「許して欲しい、などと虫の良いことは言いませんわ。……ですが、もし貴方が許してくださる時が来たら……」


 うん? 話がいまいち見えないけど……許せるときが来たら? その前に、何を許せばいいのかわからないんですけど?


「……わたくしと、友達に、なっていただけませんか……?」

「喜んで!!!」


 っしゃあ!! 美少女ゲットだぜ!!!


「え、ええ!? 正気ですの!? わたくし、貴方を虐めてましたのよ!?」


 驚いたときの台詞、表情、仕草――どれ一つとってもわざとらしさが全く感じられない。うわー、純天然って初めて見たー!!


 ……は置いといて。

 雅ちゃん(友達になってって言われたし、名前呼びしちゃってもいいよね!?)に虐められたとか、ホントに記憶がないんですけど?

 他の人になら、虐められたこともありますが。


「えーっと、そのことなんだけどね? 私、全く心当たりがないんだけど……?」

「そんなはずありませんわ! 今までのわたくしとのやりとりを思い出して下さいませ!」


 うーん、そうまで言うなら、ちょっと思い出してみよう。



 ――――――――――――――――――――



 例えば、あるときのテスト順位の結果発表の掲示の前とか。



「ちょっとそこの貴女! 邪魔でしてよ!」


 おっと、お隣は噂の美少女、篠宮雅さんでしたか。


「篠宮さんは2位でしたよ~」

「まあ、教えて下さってありがとうございます」


 先に見た結果をにこやかに(あまりの美少女っぷりににやけそうになりましたが)告げると、きれいなお辞儀と共にお礼のお言葉をいただいちゃいました! なんて良い子!

 ちなみに、1位は斎条要君で、私は3位でした。

 ふふふ、私は成績まで空気が読める子のようです。2人の名前の間に割り込むなんて、とてもじゃないけどできないよね(斎条君が怖いからね)!


「……ではなくて! 貴方が邪魔なんですわ! 背の高い貴方がそこに立っていたら、彼女が結果を見られないではありませんか!」


 そう言いながら指さされた、最後尾にいた小柄な女の子は目を見開いて……え、なんか泣き始めたけど!?


「ちょ、どうしたんですの!?」


 びっくりした~。篠宮さんも慌てて駆け寄ってるし。私もフラグを見逃さな――げふん、美少女同士のほほえましい様子(え、言い直してもあまり変わってないって? まあ、そういうこともたまにはあるよね!)を見に行かねば!


「一体どうしたんですの? 具合でも悪いのですか?」

「……み、みやびさまがぁ……わたしの、ためにぃ……」

「何をおっしゃってるんです? たたくし、何かいたしましたか?」

「うわあぁぁぁん……みやびさまぁ……!!」


 ひしっと抱きつく小柄な女の子と、それを戸惑いながらも抱きしめる女の子の図(どっちも美少女です!)――トキメキをありがとう!!



 他には……あれだ、他の子に牛乳ぶっかけられた日とか。



 私、お嬢様学校に入学しちゃった庶民なんで、わりと虐められるんだよね。

 さっきも裏庭歩いてたら、一回も話したことのない先輩達に、思いっきり牛乳ぶっかけられて(携帯とか持ってないときで助かったけど)。

 いや、牛乳持ってきてるとかどーゆーこと!?とか思ったけど、それよりもどうやって家に帰ろう……制服に思いっきりかかってるし、このままじゃ電車乗れないし、それ以上に地味に寒いし……。


「まあ、なんて牛乳臭いんでしょう! 耐えられませんわ!」


 あー、これは篠宮さんですか。牛乳嫌いなのかな?

 ……まあそう言われてもどうしようもな「さあ、いきますわよ!?」

 ……ちょっと待ってね? そのポリバケツの中身は一体何かな!? 嫌な予感しかしないよ!?


「えい!!」


 ―――ザバァッ―――


「うぇっ! あったかい!?」


 え、ちょ、待って!? 程良い温度のお湯なんですけど!? いやいやいや、意味わかんないよ!?

 追い打ちかけたいとかじゃないの!? むしろ私的にすごくありがとうだよ!?


「ふぅっ、これで牛乳臭くなくなりましたわ!」


 ホントに待って! そんな良い仕事した!みたいな顔してないで私に説明して!?


「ちょっと、いつまでそんな濡れたままでいるつもりですの!? 目障りですわ! さっさとシャワーでも浴びに行きなさいよ!」


 えー、理不尽!

 でもシャワーって……どこにあるの? 使ったことないから、場所がわからないんですけど…… 

 あ、ちょ、やりきった!みたいな顔してるのは可愛いからいいんだけども! お願いですから置いていかないで! せめてどこに行けば使用許可降りるのかだけでも教えて!!


「あはは~、ごめんね~」

「雅さん、だ~いぶ変わってるから~」


 っと、この2人は篠宮さんの取り巻きの双子さん! 顔も性格もすっごいよく似てるって噂の双子さんじゃあないですか!

 ……いや、まあそれはいいとして。

 確かに篠宮さんは変わってるよね……結局今さっきの謎すぎる行動は、牛乳を流してくれたっていうこと……いや、まあ制服はびしょびしょになったけど……


「これ~、シャワー室の鍵だよ~。ど~ぞ~。使用許可も取ってあるし~」

「え、あ、ありがとうございます……許可って、お2人が?」

「「違う~、雅さん~」」

「ええ!?」


 ハモった!


「雅さんはマメだから~、さっきのあったかいお湯も~、雅さんが自分で準備してたし~」

「はぁ……」


 ……何がしたかったんだろう……


「シャワー室は~、あっちの校舎の1階だよ~」

「スペアの制服も用意してあるよ~」

「……もしかして、それも……」

「「雅さんだよ~」」


 ハモった(再び)!!

 ……っていうか、篠宮さんはホント何がしたかったんだろう……?



 ――――――――――――――――――――



「……っとまあこんな感じ?」


 私からすると、微笑ましいエピソードか謎なエピソードしかなかったんだよね……まあ、その辺があったから友達になりたかったってのもあるんだけど。


「ええ!? 嘘ですわよね!? だって、全部虐めてるつもりで……」

「いやあ、全然そんな気はしなかったよ? 私の神経が図太かったってのもあるのかもしれないけど」

「そ、そんな……」


 あ、なんかすっごい落ち込んでる?


「はいはい、過ぎたことは気にしない! それよりも、斎条君ともう入籍してるっていう噂、ホントなの!?」

「え!? ど、どこでそれを!?」

「……ホントなんだ?」

「っ!! あ、あの、だからそれは!!」


 うろたえてるのも可愛いな……ダメだ、顔がにやけちゃう。


 ……ふふふ、これからが楽しみになってきた。取り敢えず、斎条君の嫉妬してるところとか見てみようかな~。



 ――――――――――――――――――――



「……なーんてこともあったね」

「……聞きたくありませんわ。黒歴史ですもの……何もわかってなかった頃が恥ずかしいですわ……」


 ……落ち込んでため息ついてるけど、今も大して変わってないと思うのは私だけか?

 むしろ、なまじ斎条要の束縛に慣れきた分、悪化してると思うんだけどな……


 ちなみに、今は出産を控えて暇を持て余してる雅の家に、遊びに来ている。

 気分転換に出掛けることを提案したら、「外出は許可されてませんの」だそう。……まあ、予想の範囲内ですけどね。

 前にここに来たときは、外出させないために鎖で繋がれてたくらいだもんね。


 ……鎖に繋がれた美女……まあ、ときめきますよ? そうしたくなる気持ちもわからなくはないですよ?

 でも、ねぇ……いくらなんでも、限度ってもんがあると思うんだけどな……。合意ならいいとか、そういう問題でもないと思うんだけどな……。


「そういえば、この前来たときのことだけど。鎖はどういう経緯でつけられたの?」

「えっと……朝起きたら、もうつけられてましたわ」

「…………」


 合意ですらなかった!? ちょ、それ良いの!?

 ごめん、それはもう私何も言えないよ……。


「? どうかしましたか?」


 イイエ、ドウモシテナイデス。


「それよりも! ベビー服は気に入ってもらえた?」

「それは勿論ですわ! 貴方がくれる服は、全部可愛いんですもの! 要も、誉めてくれますのよ」

「へえ、そうなんだ?」


 それは割と意外……でもないか。雅が着てる服を貶したりしないだろうし。


「それは嬉しいな。じゃあもっと作って、また持ってくるね」

「え、でもそんなにしてもらってしまって……」

「良いの良いの! だって、私が持ってきたいんだから!」


 にこにこ笑ってる雅は多分、気付いてないよね。そういうとこ、ホント可愛いな~。



 う~ん、内面は斎条要一色だから仕方ないとして。

 取り敢えず今は、外側を私色にしてるし、この距離でも満足かな♪

 紀伊ちゃん、もっと普通の子になる予定だったんですけど……いつの間にか全力で壊れてました……何故……。


 ちなみに、今作におけるサバトはおっさん属性な女の子達で構成された、美少女を心から愛でる団体(勿論、紀伊も所属)による、制裁の場です。

 美少女に害をなす(蔑ろにするのもNG)ヤツは団内裁判にかけ、罰を与えるという、何とも恐ろしい集団です。

 可愛い子に手を出せば、それだけ罪は重くなります。

 ……という隠れ設定(結構どうでもいいネタですが……)。

 あと、シャワー室は生徒会の許可が必要です。多分、紀伊は一人で行っても許可もらえないです(選民意識が強い生徒会ですので)。


 後日談は……前半に比べれば、紀伊が大人しめでしょうか。圧倒されてるとも言えますが。

 雅の気付いてないことは、「持ってきたい」=「要の邪魔がしたい」の方程式です。

 紀伊は愛でてるだけ(ラブでなくライクの延長)ですが、既に結構危ない子です。

 きっと体内におっさん飼ってるに違いありません。




 ….さて、このシリーズはとりあえずここで終わる……予定です。

 読んでいただいた方、本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] ワ タ シ ヲ モ エ コ ロ ス キ カ ☆ ヘンタイ光臨の後はモエモエが光臨するとは、お主中々や り お る な。 紀伊ちゃんの気持ちが分かってしまう。 なんて可愛いんだ雅さん。生…
[一言] 紀伊ちゃん視点だと、雅の残念感が溢れでて面白かったです。 絶対に体内におっさんを飼ってますね(笑)
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