許せない計画
嫌な計画の話が出てきます。
特に女性の方で、悪い事嫌いな方はご注意ください。
(私も悪い事、嫌いですけど)
女の子を横から、振り向いた瞬間を撮ったのか、長く真っ直ぐな黒い髪がなびいた感じで映っている。その少し丸く感じる顔はカメラを正面に捉えてはいないし、大きくぱっちりした瞳もカメラには向いていない。この写真を見る限り、制服の上からでも、胸はそれなりにある。
学校で盗み撮りした。そんな感じじゃないか。
僕はこの子を知っている。いや、正確に言うなら、この子に好意を抱いている。中1。僕より一つ下。
名前は岡本優奈。かわいいだけでない。成績は学年トップらしい。小柄なとこも、僕の好みだ。
「この子をやっちゃうんだよ」
その言葉は僕には衝撃だった。一瞬、思考が停止した。
「ここに連れ込んでな。処女は南がもらうって言ってるんで、どうしようもないけど、その後は俺たちも」
そこまで言って、またいやらしげな笑みを浮かべた。
僕の大好きな岡本さんをやっちゃう?僕だってしたいけど、そんな無理やり、しかもこんな奴らになんて、許せる訳はない。
僕の握りこぶしに力がこもった。そんな事に気付いていない彼は、得意げに話を続けた。
「いいだろう」
「腐った脳みそ潰れて死にやがれ!」
僕は一度目をつぶり、心の中で思ったが、彼は元気なままで、僕を誘い続けた。
「で、どうする?」
僕は無力感にさいなまれた。好きな子の危機さえ救えない。
いや、自分の力で救えばいいじゃないか。と思い直しもしたが、相手があの南君に、他にも男の子たちが一緒になっているなら、勝ち目はない。それでも、黙ってなんていられない。
警察に言うか。それだな。
しかし、事件を起こす前にうまく捕まえられるのか?
などと、悩んでいる内に、彼は肘で僕の脇腹をつついた。
どうするんだよ?
と言う催促だろう。
「ここでか?」
僕が目線を県営住宅跡の一番近くにある家屋に向けて、たずねた。
「おうよ。
さっきまで、中で予行演習してたんだぜ」
まじかよ?こいつら、かなりマジでやる気になっていやがる。
「犯罪だぜ」
「大丈夫。俺たちまだ13だ」
そこまで考えているとは完全に悪質じゃないか。こんな奴らの手に岡本さんを渡してなるものか。それまでに何か策を考えなければならない。
「いつ?」
「もうすぐ」
その言葉に僕の顔色はきっと変わっていたに違いない。策を練る時間もないじゃないか!




