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悪だくみの誘い

 時は流れた。


 僕は中学2年になっていた。ただ、あの事件のショックと言う事で、僕は受験勉強の気分になれず、私学を諦め公立に通う事になっていた。その間、ずっとあのような経験をすることは無かった。

 あの時まで。

 2015年10月18日、事件は起きた



 僕のクラスには柔道部所属と言う事と、学年一の身長に物を言わせ、3年生たちでさえ一目置くと言われる不良 南君がいた。上級生でさえ一目おく相手なのだから、クラスの中は何でも自分の思い通りにさせている。逆らえる奴なんていやしない。

 僕は元々かかわらないようにしているので、実害は無いがクラスの中には、殴られたとか、持っている物を脅し盗られたとか、結構被害者がいるらしい事は知っていた。


 僕の学校は東西に走る私鉄の沿線にある。

 その日、僕は一人で帰宅しようとしていた。学校から僕の家まではしばらく線路沿いに歩く。その途中にはまず広い墓地がある。その墓地を抜けると、その先に県営住宅跡地が見えてくる。ここには住人がいなくなった平屋の県営住宅がまだずらっと並んでいる。人がいないため、かなり傷んでいる家屋もあって、夜ならちょっと不気味である。

 僕がいつものように、そこを歩いていると県営住宅と道路を仕切る金網の切れ目から出てくる友人たちの姿が目に入った。

 おいおい、こんなところから出て来るなんて、何やってんだ。

 子供じゃあるまいし、秘密基地ごっこなんて言うんじゃないだろうな。

 そう思っていると、向こうも僕に気付いた。

 一人はまずそうな表情を、もう一人はにこやかに僕に手を振った。


 「お前ら、何やってんだ、こんなところで。

 秘密基地か?」


 僕が半分笑いながら、そう言うと、手を振った友達が駆け寄ってきた。


 「よ。

 今、帰りか?」

 「ああ。

 で、秘密基地ごっこなのか?」

 「ははは。ある意味な」


 何だか、ちょっとこいつテンションがハイである。何をここでしてたのやら。

 どうせろくなことではないだろう。僕がそんな雰囲気で、少し鼻で笑うと、彼は僕の肩に腕を回し、耳元でささやいた。


 「お前も、仲間に入るか?

 なら、南に俺が話しをしてやってもいいんだけど」


 はっきり言って、南君が絡んでいるんだ。ろくな事ではないだろう。けど、こいつがこれほどハイになる企みってなんだ?


 「仲間?

 何の?」


 こいつらの仲間になっていい事はなさそうだ。最初からその気は無いが、そもそも仲間に誘うのなら、その目的を言わなければならんだろう。

 俺のその問いかけに、彼はいやらしい笑みを浮かべて、僕の耳元に左手を当てて、さらに小声でささやいた。


 「この子、知ってるか?」


 そう言って、自分のスマホを取り出し、うちの学校の制服姿の女の子の画像を見せてきた。

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