第8回 刑事
刑事は机の上に投げてある書類を手に取り溜息をついた。
煙草に火をつける。
煙を吐き捨てるように吐いた。
書類に目をやる。
もう何度も読んだ書類だ。
再度手に取り、パラパラとページを捲る。
ウンザリしていた。
再度書類を投げた。
今度は手をのばしても取れないくらい遠くへ。
ありえない事件。
不可解な事件。
事故なのか、殺人なのかも見当がついていない。
7人もの男女が時間は違えどほぼ日を空けずに死んでいったのだ。
それも調べてみれば・どこかで誰かが必ず繋がっている。
学校の同級生同士であるハルキとリュウジ。
ハルキは家で、リュウジは学校帰りの道で死んでいた。
彼らが通っている学校の教師とその娘。
キヨミとカズユキだ。
キヨミは家での心臓発作。
カズユキは帰る途中の交通事故。
その学校の卒業生のコウジ。
コウジの恋人ミカと昔の恋人ユキエ。
それぞれ、家で、そして外で死んだ。
事件性は全くない。
それもそのはず、傷ひとつないのだ。
交通事故のカズユキは別として。
しかし。
この死んだ彼らが、全てが細い糸で繋がっているのだ。
かといって何かの接点が死んだみんな全てにあるのか。
恐らく答えは「ない」だろう。
顔は知っているかもしれない。
名前も知っているかもしれない。
それだけだ。
それ以外につながるようなものはなにもない。
これは連続殺人なのか。
彼らの繋がりが狙われているのか。
他にも出てくるのか。
予想しようにもあまりにも多い選択肢を刑事は選ぶことなどできるわけなかった。
つづく