第7回 ハルキ
今日もまた殴られた。
金を持ってこなかったからだ。
バイトもしてない学生が、どうやって毎週1万円もの大金を作ることが出来るというのだ。
ハルキは怒りに震えながらもどうすることも出来ない力に苛立ちを覚えていた。
元々が気弱に見える分、損をしていた。
不良どもに目を付けられるまではさほど時間はかからなかった。
いきなり呼びつけられて、金を要求された。
断ったら殴られた。
親には部活での傷だと言い訳した。
部活などやってはいない。
先生には階段で転んだと説明した。
明らかに殴られたものだとわかるのに、先生は当然のように納得した。
こんな学校なんで、もう嫌だ。
やめたい。
しかし、それよりも今は金だ。
足取り重く、ハルキは家路につく。
その間、最速の電話が鳴る。
電源を切ると、また殴られる。
無視すると、それでも殴られる。
一緒なら、電源を切ればいい。
ハルキは切った。
親に頼み込むか、それとも盗むか、ハルキは自分の部屋で考え込んでいた時、ドアをノックする音。
母親だ。
ウザイ。
子離れできない親。
心配したように、呼びかける。
お前に俺の何がわかるってんだ。
話しかけるな。
いい加減にして欲しい。
だがハルキの頭の中では金のこともあってか、ここは冷たくすることは出来ないと打算が働いた。
仕方なしに気のない返事をしてハルキはドアを開けた。
目の前に・・・・・「誰か」がいた。
良いことがある。
これからもうお金を渡すことはない。
悪いことがある。
これから1円たりともハルキはお金を見ることはない。
一生・・・。
永遠に・・・。
つづく。