第28回 私8
コソコソと嗅ぎ回っていたのはこいつだ。
このオヤジだ。
何を調べている。
私のことか。
私の過去か。
私の知られたくない昔のことか。
私が誰に犯され、誰に騙され、そして、どんなに惨めに死んでいったことを調べているのかっ!
調べてなんになる。
何がわかる。
何かできる。
くっ・・ふっ・・。
くふふふ。
うふふ。
私を一目みて理解したようね。
私が何者なのか。
どうしてここにいるのか。
自分に何をする気なのか。
あの怯えた顔。
恐怖の顔。
今にも逃げ出したい顔。
少しずつ、足が後ろに下がっていっている。
でももう遅い。
逃がしはしない。
勝手に私のことを調べやがって。
憎い。
憎い。
憎い。
憎しみが増加する。
殺してやる。
殺してやる。
殺してやる。
・・・。
何を言ってる?
私のお母さんに頼まれた?
くくく・・うふふ。
あははははは。
それがどうした!
私は襲い掛かった。
オヤジは恐怖に引きつった顔を浮かべて倒れた。
息苦しいのか、何度も胸を掻き毟りながらバタバタと暴れている。
まるで虫みたい。
くふっ・・くふふふ。
ぴくぴく痙攣をしていたが、やがてそれもおさまり、静かになった。
死んだ。
魂は闇へと向かったのだ。
ざまあみろだ。
それにしても・あのババア。
私のこと調べさせてなんになる。
ふざけやがって。
憎い。
憎い。
憎い。
憎しみが増加する。
殺してやる。
殺してやる。
殺してやる。
今すぐに殺しにいってやる。
つづく。