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  作者: 七英雄
26/30

第26回 母

静まりかえった暗い部屋。

あの子がいなくなって。

もう3ヶ月経つ。

もうそんなに経つの?

まだ線香の香りが部屋の中に充満している。

この匂いも心地よいものになってきた。

慣れることはこういうことだ。

でも今は身体が動かない。

動かそうともしない。

立ち上がる気力もない。

あの子はいないの?

もうこの世にいないの?

いなくなったの?

私の前から・・・。

いえ。

いいえ。

そんなことはない。

そんな子じゃないわ。

いる。

いるわ。

気配を感じる。

あの子を感じる。

娘を感じる。

いる。

いるわ。

あの子は間違いなくいる。

間違いなくどこかにいる。

そうよ。

あの子は生きている。

死んでなんかいるものか。

死んでるわけない。

私の子がそんな簡単に。

あっけなく死ぬわけない。

この度の事件・事故。

最近ニュースを賑わしている不可解な死。

全てに娘が関わっている。

絶対に関わっている。

感じるのだ。

わかるのだ。

あの子を感じる。

あの子の存在を。

もっと感じていたい。

だからこそ探偵に調査を依頼した。

その調査報告書を読むだけであの子を感じることができる。

早く情報を持ってこないだろうか。

早くして欲しい。

早く来て欲しい。

早く。

早く。

早く。

早く。

あの子が死ぬなんておかしい。

信じられない。

きっと何かの間違いだ。

娘は悪者に巻き込まれたんだ。

意図的に狙われたんだ。

娘は殺された。

いえ・・死んでない。

死ぬわけがない。

でも、殺された。

犯人がどこかにいる。

いえ・・娘は生きている。

いえ・・・。

でも・・・・。

いえ・・・・。

でも・・・・・。


つづく。

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