第25回 探偵3
なんてことだ。
見落としがあった。
探偵はいきなり思いついた。
7人もの突然死とそれに続く死。
もはやそれは事件と呼ぶにふさわしい死。
そこだけに集中していた。
調べる時も死んだ人間だけを調べていた。
極めて細い糸で繋がっている程度で、何も確信することはでなかった。
だが、誰が、決めた?
この7人の事件が最初だと誰が決めたんだ?
この7人から全てが始まったと誰が決めたんだ?
もしかしたら。
そう、もしかしたら。
その前にも同じようなことがあったかもしれないではないか。
同じような理解不能な死があったのでは。
その前を調べることを探偵は怠っていた。
自分自身に舌打ちする。
自分に喝を入れて、探偵は調べ直した。
7人の事件から2・3ヶ月前。
すると。
出てきた。
女子生徒が一人、交通事故死していたことがわかった。
赤信号の飛び出し。
信号確認をしなかったための事故。
自殺でもない、完全なる事故である。
本当に事故か?
本当の始まりはこの女子生徒の死からではないのか?
探偵は長年の直感で思った。
更に遡ったがその前には何もない。
事故も何もこの辺りでは起こってないのだ。
ここに何かがある。
当時は事故として簡単に処理されたのだろうが、今となってはそうもいかない。
この死にも何かある。
探偵は死んだ女子生徒のことを調べようと決めた。
たとえそれが危険なことでも。
つづく。