第23回 私6
気がついたらどこかの中にいた。
タンスかクローゼットの中だ。
何者かがゆっくり近づいて、ためらいがいちに開けた。
コウジだった。
意外な表情を見せた。
なんでいるんだ?と言わんばかりの。
信じられないという顔
こんな奴に犯されたなんて。
こんな間抜けな顔の奴に襲われたなんて。
こんな奴に私の全てを見られたなんて。
あの時の邪悪な笑顔が忘れられない。
あの時の卑猥な言葉が頭から離れない。
憎い。
憎い。
憎い。
憎しみが増加する。
私はコウジの顔に触れた。
魂を抜き取った。
すうぅ・・とコウジの口から何かが出た。
これが魂なのだろう。
コウジは恍惚な顔をして。
更に邪悪な笑顔のまま崩れ落ちた。
気がついたらお風呂場の中だった。
何処だ?
女性が住んでいるような感じがする。
いきなりドアが開け放たれた。
女の驚く顔。
私はなりふり構わず襲い掛かった。
相手の女も声を出す暇もなかった。
気がついたらリュウジの声が聞こえてきた。
携帯で話しているようだ。
私はそのまま呪いの言葉を放ち、襲い掛かった。
携帯電話が音を立てて地面に落ちた。
気がついたら再びオカダの家の前に立っていた。
オカダの管理をちゃんとしていなかった妻に対しても憎しみが増加した。
玄関を開けた妻に襲い掛かった。
しばらくすると警察の男が一人慌ててやってきた。
私のときにもっとよく調べれば、何かわかったのではないのか。
私は襲い掛かった。
全部。
全部だ。
全部に私は襲い掛かった。
つづく