第22回 私5
憎しみが増加する。
この世の憎しみ。
まわりの憎しみ。
自分を死へと導かせた憎しみ。
気がついたら車の後部座席にいた。
目の前はオカダが座って運転していた。
傍には大きなヌイグルミがある。
子供の物か。
何かのプレゼントか。
誕生日か。
いい気なものだ。
私を弄んで。
犯して。
自分の性欲だけを満たして。
後は知らないということか。
私が死んだことには何とも思わず。
家庭のことだけを考えているのか。
憎い。
憎い。
憎い。
憎しみが増加する。
一瞬。
後ろの気配を感じたのだろう。
ミラーからオカダが後部差席を窺った。
何を見ている!
私はミラー越しに睨んだ。
オカダの意識が遠のき、そのまま車が激突し、炎上した。
私はどこへいくともわからず。
憎い気持ちがある場所へ。
憎い人がいる場所へ。
気がついたら暗い夜道に立っていた。
前方に女が歩いている確かコウジの女だ。
コウジの家で犯されている時に写真が立ててあるのを見た。
この女さえちゃんとしていたら。
私は・・・・・。
こんなことにならなかった。
他の女に手を出すほど、満足してないということだ。
この女さえ・・・・・・・。
憎い。
憎い。
憎い。
憎しみが増加する。
私は女の後を付いていった。
私の気配に気づいたのだろう。
女の足が早まる。
途中で足が止まる。
意を決したように女が振り返った。
目には強い意志が感じられたが、それはすぐ絶望に変わった。
何を見ている!
私は睨んだ。
そして襲い掛かった。
つづく