第21回 私4
どがん。
全身が揺れた。
実際そんな擬音が鳴ったかというのは疑問に残るが。
私の身体が宙に浮いた。
ふわっと。
気持ちのいい浮遊感を感じる。
宙に浮いた私の身体は。
そのまま地面に叩きつけられるように頭から落ちた。
ぐちゃ。
変な音が響く。
同時にジワジワと痛みが出てきた。
車に撥ねられたみたいだ。
意識はしっかりある。
慌てて飛び出した運転手の呼びかけにも反応できた。
だが身体が動かない。
感覚的に私は悟った。
このまま死んでいくのだろうと。
これが死ぬということなのだろうと。
結果的にそれは正しい分析だった。
意識がどんどんなくなっていく。
私は眠るように目を閉じた。
暗い・・・。
闇・・・。
暗闇・・・・・。
タキガワ先生は悲しんでくれるだろうか・・。
私の人生なんだったのだろうか。
いじめられ、弄ばれて。
ようやく安らぐ人を見つけたと思ったのに。
許せない。
許すことは出来ない。
憎しみが増加する。
私の意識はもうこの世には存在していなかった。
私は死んだ。
闇に包まれ・・・・・・。
どれだけの時が経ったのだろうか。
あるいは一瞬の時だったのだろうか。
気がつけば・・・・・。
オカダ先生の家の前にいた。
幸せな家庭。
憎い。
窓から女の子が覗いてる。
オカダの娘だ。
幸せな家族。
女の子は私を見つけた。
女の子は私を見ている。
じっと。
憎しみが増加する。
何を見ている!
私は女の子を睨んだ。
女の子は驚きもせずに倒れた。
つづく。