第20回 私3
コウジも私の身体が目当てだったのだ。
私自身はそうは思ってないが。
私の容姿はかなり魅力があるみたいだ。
その容姿と元々暗い性格なのが災いして、いじめを受けるということになった。
特に女子のいじめは酷いものであった。
リュウジの件をなんとかするからヤラせろとコウジは言った。
断ったが、コウジは引き下がらない。
しつこすぎる。
逆にバラすと脅された。
なんて奴だ。
頼ってきた弱い女を反対に脅すなんて。
仕方なしに。
抱かせてやった。
とりあえずリュウジのことはなんとかなるかもしれない。
コウジとはこれからも少し続くのだろう。
そう思うと憂鬱になってきた。
私は必死だったのだ。
タキガワ先生との仲を終わりにしたくない。
バラされたくない。
タキガワ先生に迷惑をかけたくない。
私は先生の傍にずっといたいのだ。
永遠にいたいのだ。
卒業式に告白しよう。
きっと受け入れてくれる。
いや・卒業式まで待てない。
今だ。
今が大事なんだ。
私は覚悟を決め、タキガワ先生のところへ行こうと足を速めた。
嫌なことは忘れたい。
今、告白しよう。
きっと受け入れてくれる。
そしたら学校なんて行かなくていい。
私が先生の面倒を見てあげるのだ。
掃除も。
料理も。
なんでも私がしてあげるんだ。
タキガワ先生の胸の中で幸せを感じたい。
私は迷わず先生の家への道を足取り軽く歩く。
タキガワ先生の家に行く途中にある交差点は信号が見えにくいため、よく事故を起こす場所で有名な交差点だった。
私は横断歩道を渡る。
私の中では信号は青だった。
私の心は青だった。
しかし。
心躍る私の瞳に赤信号は見えなかった。
つづく