第16回 エリ2
エリは学校へ向かっていた。
今日も休校になる。
嬉しい。
こんな事件が起こって良かったなあ。
だって授業受けなくていいのだから。
今日は何処へ遊びに行こうか。
買い物でも行こうか。
カラオケでも行こうか。
それともナンパされるために街でウロウロしていようか。
そう思っていたエリの急に足が止まる。
目眩がした。
クラッと身体が歪む。
体勢を立て直したかと思うと。
今度はふいに目の前が真っ暗になったのだ。
何が起こったのかわからない。
目をこするが暗い。
何度も確認をする。
間違いない。
闇だ。
目を開けている。
閉じてはいない。
目を開けているにも関わらず。
目の前が暗闇で包まれているのだ。
不安になってエリはしゃがみこんだ。
目は開いている。
間違いない。
暗闇だ。
真っ暗だ。
ザワザワと他の生徒達の声がする。
話しかけたりする者はいない。
エリの身体を気遣う者もいない。
「おい大丈夫か?」
突然オヤジの声がする。
身体を激しく揺すられる。
クソが。
私のこの綺麗な身体を汚い手で触るな。
てめーみたいな、オヤジが触っていいわけないだろう。
エリはそう思いながら、その手を振り払おうとしたが、うまくいかない。
頭の中はパニックになっていた。
「おい。おい。」
構わずオヤジは揺する。
もう触るな。
どこかに行け。
エリは更に跳ね除けようとしたがそのまま身体は大きく回転して倒れた。
頭に衝撃が走る。
目の前が、一瞬明るくなったが、後に残ったのは永遠の闇だった。
つづく