第13回 ナツヒコ
静寂。
ナツヒコは誰もいない職員室でテストを採点していた。
だが集中できない。
できるわけない。
不可解だ。
理解できない。
オカダ先生が突然の交通事故死。
その奥さんと娘さんも原因不明の死亡。
発表ではいずれも心臓発作ということになっているが。
更に生徒2人もその学校を卒業した先輩も死んだのだ。
こんな身近でこんなことが起こるなんて。
何かがある。
普通では解明できない・・何かがあるんだ。
ナツヒコは身震いをした。
気づくともう残っているのは自分だけだ。
気味が悪くなり、今日はここまでにして帰ろうと思った。
夜の学校はどうも不気味だ。
準備をしている時。
後ろで物音が聞こえた。
ナツヒコは驚いて硬直した。
よくよく音のした方を見ると。
採点していたテスト用紙の上に投げてあった赤ペンが転がったのだ。
転がっただけだ・・・・。
そんなこと今まであったか?
ペンが転がるほど傾いていたか?
それよりも、あのペンは丸くはない。
そもそも転がるはずがないのだ。
?・・・・・。
いや・・・・・。
そうだ・・。
転がったのではない。
動いたのだ。
独りで動いていたのだ。
まるでペンに命が吹き込まれたように。
ナツヒコはペンの動いているのを何も考えずに見ていた。
そして「ひいっ」と悲鳴を上げた。
意識は遠のき、その場に倒れこんだ。
赤ペンが書いた「殺す」という文字をナツヒコは見ることはなかった。
つづく




