第11回 探偵
夜。
古びた街の奥にあるビル。
真っ暗になっていたところに明りがつく。
探偵事務所。
1人の探偵が疲れ果てた顔で帰ってきた。
探偵はイスにもたれながら溜息をついた。
突然依頼されたとはいえ、初めから気が進まなかった。
この一連の殺人・・事故と呼べばいいのか、一度に7人もの男女が死に、死んだ親子の妻もまた死に。
更にはその場に居合わせた(?)捜査担当の刑事も死んだ。
計9人もの死体を出した。
調べれば皆何かの繋がりがあった。
刑事はどういう繋がりか?
事件担当していたからか?
ならば事件の真相を調べるように依頼された俺の命も危ないのでは?・・と探偵は思った。
信じたくはないが、身体のどこかが告げていた。
「危険だ」と。
「関わっていけない」と。
長年の勘がそう告げていた。
呪い?
そんなものは信じたことない。
ありえないと思っている。
非科学では証明できないことは全く興味がない。
探偵はふんっとイスにもっと深くもたれる。
裏で何かの組織が動いている?
それこそ、突拍子もないことだ。
そんな大きな事になっているとしても。
死んでいった者達の共通な点がない。
生活も付き合いもバラバラなんだ。
それでも危険という気持ちがどうしても拭いきれない。
かといって根拠もない危険というだけで止めるわけにはいかない。
仕事はそんなに甘くないのだ。
だがどこから切り崩していけばいいのか。
何から調べていけばいいのか。
今の状況では思いも付かなかった。
探偵は分厚い資料を手にもう一度徹夜になることを覚悟した。
つづく。