闇の大陸へ
「おーい零下、起きてる?」
「起きてるけど?」
「色々巻き込まれたけどさ、これから一緒にがんばろうぜ」
「光一、今日中にここを出る、お前だけで頑張れよ」
「出るって何処に行くんだよ」
「どこにでも旅をする、お前が魔王を倒したらここに戻ってくる」
「でも明日は適合魔力属性検査だぞ?」
「そんなものギルドならどこでもできる」
「でも一緒に倒すって言ったじゃないか」
「計画だよ計画、わかるだろう?」
「嘘だったのか?」
「そうだ」
「くっ」
「このことはだれにも話すな、いいな。」
「好きにしろっ!!」
「ふぅ…すまない、光一、これしかないんだ」
「『無音歩行』」
「いくか」
向かうところは王の部屋、この国の現代王はどんな手を使っても直せない病を患っている。
気づいていないだろうが、確実に呪いだ、直す代わりに交渉するか。
――――フロア5階王の部屋への道――――
「無音歩行解除っと」
カツカツ、音が響く、そこにいた二人の扉番の兵士が音に気付き、戦闘の構えに入る。
「いい動きだ、だが」
「下級兵にしてはなっ!!」
一瞬で二人の兵士を気絶させた零下は部屋の中に入る。
「お前は…誰…だ…うっ」
「あんたの呪い、解きに来た」
「これの事を知っているのか…ぐ」
「ああ、その呪いに対して喋れないようにする呪いと生命を蝕む呪いだ」
「解ける…のか…」
「やるだけやる、やり終わったらこの城から出る、あと上級装備と情報が欲しい」
「いい…だろう、…闇の勇者よ」
「なんだ、気付いてたのか、俺の事は喋らないでくれよ、時が来るまでは」
「いい…だろう」
「さあ、これで終わりだ、もう自由だな」
「感謝する」
「じゃあ聞こう、魔王領はどこにある」
「ここの国境を西に越えたところからだ、この国は聖域だから中級の魔物しか入れん」
「そうか、じゃあ装備は何処にある」
「武器倉庫だ、三階の階段近くにある、自由にとって行け」
「ああ、また会う日まで」
「ああ、頑張ってくれ、闇の勇者よ」
返事はなく、扉は閉められた。
「やはり気付いていたかメイドさん」
「ええ気付いていました、最初からね」
「そうか、で何の用?」
「あなたを武器倉庫まで案内します」
「ああ、助かる」
「あなたが考えているのは魔王領域へ入りスパイ活動というところでしょうか」
「さすがメイドさんクオリティ、よくわかったね」
「魔王の力はそこまで甘くありませんよ」
「死を覚悟しての行動だ、うまくいったら運がいい、それだけだ」
「そうですか、あなたが死ぬとは思いませんがね」
「確かに元の世界に戻るには生きていないといけないからな」
「付きました、お好きな装備を選んでください」
「あと、勇者の力で魔法創造は10個までです、自由に作れる魔法は十個、という意味ですね」
「わかった、ではこの大剣にするか」
そして零下は城を出た