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雲
形を決めない
それが雲の正直さだと思う
さっきまで龍だったものが
目を離したすきに
もう山になっている
誰かが「あれは犬だ」と言う
べつの誰かが「魚でしょう」と言う
どちらも正しくて
どちらも少し惜しい
変わることを
迷わないのがうらやましい
わたしはいつも
このままでいるか悩んでいる
でも、もしかしたら
雲だって悩んでいるのかもしれない
風に押されながら
行き先を決めかねている
それでも空に浮かんで
白く、堂々と
今日という形でいる
現在という形でいる
わたしも今日くらいは
今日の形で
いていいのかもしれない




