触れるもの全てを殺す『死神公爵』様、なぜか魔力ゼロの私だけ触れても平気なようです〜「ようやく触れられた」と溺愛モードの旦那様が離してくれません。今さら復縁を迫る元婚約者? 知らない方ですね〜
触れるもの全てを殺す『死神公爵』様、なぜか魔力ゼロの私だけ触れても平気なようです〜「ようやく触れられた」と溺愛モードの旦那様が離してくれません。今さら復縁を迫る元婚約者? 知らない方ですね〜
指先の感覚が、もうない。
降りしきる雪が、濡れたドレスの布地ごと、私の体温を容赦なく奪っていくから。
聖夜祭。
街はこんなにもキラキラ輝いているのに、王都の広場の真ん中で、私だけが世界から切り取られたみたいに跪いている。
「――まだ認めないのか? リリエル」
頭上から降ってくるのは、かつて「好きだ」と囁いてくれた婚約者、セオドア王子の声。
でも、その瞳にもう私の居場所はない。あるのは、汚いものを見るような侮蔑の色だけ。
彼の腕の中には、ピンクブロンドの髪をふわふわ揺らす可愛らしい女の子――子爵令嬢のミナが、とろけるような顔でしがみついている。
「こわいぃ……セオドア様ぁ。リリエル様の後ろに、黒いモヤモヤが見えるの。精霊さんたちが『逃げて』って泣いてるわ……」
「聞いたか、リリエル。精霊に愛されたミナの瞳は誤魔化せない。貴様が『闇の呪具』を使って、ミナに不幸を呼び寄せていたことは明白だ!」
ああ、まただ。
胸の奥がズキリと痛む。
私は知ってる。ここが前世で遊んだ乙女ゲーム『プリズム・ハート』の世界だってこと。
そして私が、ヒロインをいじめて破滅する「悪役令嬢リリエル」だってことも。
だから必死に足掻いた。
シナリオを変えたくて、嫌われないように努力して、ミナとも仲良くしようとした。
私には魔力がほとんどない「空っぽ」の体質だから、せめて真心だけは大切にしようって。
……でも、全部無駄だったみたい。
私の「空っぽ」な体質は「呪いのアイテムを使う代償」だって決めつけられて、ミナの「精霊の声(という嘘)」の前では、どんな言葉も届かない。
「リリエル・アークライト。貴様のような陰湿で、魔力も持たぬ欠陥品は、王族の伴侶に相応しくない。婚約は破棄する。……この聖なる夜に、私の視界から消え失せろ!」
突きつけられた最後通告。
周りの貴族たちも、クスクスと笑いながら私を見下ろしている。
「やっぱり魔力なしの落ちこぼれは、心まで歪むのね」
「精霊姫のミナ様を呪うなんて、最低」
誰も助けてくれない。
惨めで、寒くて、悔しくて。
涙がポロポロ零れて、雪の上に落ちていく。
(……寒いなぁ)
もう、いいや。
こんなに頑張っても「悪役」にしかなれないなら、いっそこのまま雪に埋もれてしまいたい。
そうして、誰の記憶にも残らずに消えてしまえれば、きっと楽になれる。
そう思って、震える瞼を閉じかけた――その時だった。
『……退け』
空気が、変わった。
吹雪の冷たさとは違う、肌が粟立つような、本能的な恐怖。
広場の喧騒が、一瞬で凍りついたみたいに静まり返る。
ザッ、ザッ。
雪を踏みしめる音が近づいてくる。
人々が悲鳴を上げて、左右へ逃げ惑うのが気配でわかった。
「ひっ……あ、あれは、まさか……」
「クラウス・ヴァン・ノイマン公爵!?」
「『死神』だ! 目が合うと殺されるぞ!」
顔を上げると、そこに「夜」が立っていた。
闇そのものを纏ったような黒いコート。銀色の髪。
そして、吸い込まれそうなほど鮮烈な、血の色をした赤い瞳。
クラウス・ヴァン・ノイマン。
触れるもの全ての魔力を暴走させ、破壊してしまう呪われた異能の持ち主。
「死神公爵」と呼ばれ、誰もが恐れる孤独な王。
(……嘘、どうして彼がここに? 彼はゲームのシナリオには名前しか出てこなかった、攻略不可の『裏ボス』キャラのはず……!)
セオドアもミナも、真っ青になって震えている。
「ク、クラウス公爵……。ここは貴公のような危険人物が来ていい場所では……」
「邪魔だと言った」
クラウス様は、王子を一瞥もしなかった。
その赤い瞳は、雪の中にへたり込む私だけを、じっと見つめている。
怖い。
殺されるのかな。
私みたいな「空っぽ」の体なんて、彼に触れられたら一瞬で壊れちゃう。
彼は私の目の前で立ち止まり、ゆっくりと膝をついた。
雪の上に、上等な黒いコートの裾が広がるのも構わずに。
「……リリエル」
名前を、呼ばれた。
低くて、かすれていて。
でもそれは、今まで聞いた誰の声よりも、泣き出しそうなほど切実な響きだった。
彼が手を伸ばしてくる。
いつもはめているはずの、魔力封じの分厚い革手袋を――彼は口で咥えて、乱暴に引き抜いた。
素手が、露わになる。
白くて、骨張った、綺麗な男の人の手。
「ひっ! やめろクラウス! 素手で触れたら、その女が破裂して死ぬぞ!」
「キャアアッ! 血飛沫がかかるわ!」
ミナのわざとらしい悲鳴が上がる。
でも、私は動けなかった。逃げられなかった。
だって、私を見つめる彼の瞳が、迷子になった子供みたいに震えていたから。
ふわり。
大きな手のひらが、私の凍えきった頬に触れた。
(……あ)
痛みなんて、ない。
壊れたりなんて、しない。
ただ、熱いくらいの体温が、冷え切った肌にじんわりと染み込んでくるだけ。
「……よかった」
クラウス様が、ほうっと白い息を吐き出した。
その赤い瞳が、とろりと潤んで揺れる。
「私の呪いを受けても、壊れない。……やはり、君だったんだな」
「え……?」
「ずっと、探していた。……この世界で唯一、私の手に触れてくれる人を」
それだけ言うと、彼はもう片方の手袋も脱ぎ捨て、両手で私の顔を包み込んだ。
額をコツンと合わせる。
近い。
整った顔立ちと、赤い瞳の引力に、吸い込まれそう。
「公爵、様……? 私、生きて、ますか?」
「ああ。温かいな……リリエル」
彼は愛おしそうに私の名前を呼ぶと、そのまま私を軽々と横抱きにした。
まるで、壊れやすいガラス細工を扱うみたいに、大切に。
「待て! クラウス! その女は呪いを使う犯罪者だぞ! 私が追放したんだ!」
セオドアが震えながら叫ぶ。
すると、クラウス様は私を腕の中に閉じ込めたまま、ゆっくりと振り返った。
ただそれだけで、空間がビリビリと震えて、噴水の水が一瞬で凍りついた。
「……追放、だと?」
クラウス様の瞳に、ドロリとした昏い悦びが浮かんだ。
「感謝するよ、無能な王子。……これほど美しい『唯一』を、私のために捨ててくれたのだから」
彼は私を抱きしめる腕にギリギリと力を込め、私の首筋に深く顔を埋めた。
「――これは、今日から私のものだ。……この女が流した涙の一滴、吐息の一つまで、誰にも、精霊にさえ一分も分けてはやらない」
セオドアとミナが、腰を抜かして雪の上に尻餅をつく。
もう、誰も何も言えない。
クラウス様は私を抱きしめる腕に、ぎゅっと力を込めた。
素肌と素肌が触れ合う首筋から、信じられないほどの熱と、ドクドクという速い心音が伝わってくる。
「寒いだろう。……帰るぞ、リリエル。私の屋敷へ」
「で、でも……私、濡れてて、汚いし……」
「汚くない。……ようやく、触れられた」
彼は私の首筋に顔を埋め、深く匂いを吸い込むような仕草をした。
ゾクリ。
背筋に甘い痺れが走る。
「これからは、毎日触れてもいいか? ……もう、我慢の限界なんだ」
その声は、懇願するように切なくて。
私の返事なんて待てないみたいに、彼は黒いマントで私を包み込むと、夜の闇へと歩き出した。
残されたのは、腰を抜かした元婚約者と、凍りついた噴水だけ。
こうして私は、国一番の嫌われ者である「死神公爵」様に、文字通り「お持ち帰り」されてしまった。
◇◆◇
公爵邸に到着すると、クラウス様は私を暖炉のある部屋のソファに座らせてくれた。
パチパチと燃える炎が、冷え切った体を少しずつ溶かしてくれる。
「……待っていてくれ」
彼はそう言って部屋を出て行くと、すぐにふかふかのタオルと、湯気が立つマグカップを持って戻ってきた。
使用人も呼ばずに、自分で。
「濡れたままだと風邪を引く」
彼は私の隣に膝をつくと、大きなタオルで私の頭を包み込んだ。
そして、濡れた髪を拭き始めた。
不器用な手つきだけど、すごく優しくて、丁寧で。
「あ、あの、クラウス様。自分でやります……」
「……いや、やらせてくれ」
彼は手を止めず、私の髪を掬い上げた。
その赤い瞳が、微かに揺れている。
「ずっと、こうしたかったんだ。……君の髪に触れて、温度を感じて、君の世話を焼きたかった」
「え……?」
「私の魔力は強すぎて、他人の魔力の音が『騒音』のように聞こえる。この世界は私にとって、うるさすぎるんだ」
彼はポツリポツリと、独り言のように話し始めた。
「だが、君だけは違った。……学園の温室で、君がひとりぼっちで花の世話をしている時だけ、世界が静かになった。君の周りだけが、私にとって唯一の『静寂』だったんだ」
え?
学園の、温室?
私、一人になりたくてよくあそこに行っていたけど……まさか、気づいていたの?
「君が誰かのために刺繍をしている姿も、誰も見ていないところで枯れた花を助けようとしていた優しさも、知っていた。……触れたかった。でも、怖かったんだ。私の手が、君まで壊してしまうんじゃないかって」
彼は苦しげに顔を歪めた。
最強の公爵様なのに。
誰よりも強いはずなのに、今はまるで、傷ついた大型犬みたい。
「だが、広場で君が泣いているのを見たら、もう我慢できなかった。……壊れてもいい、君の涙を拭いたいと、そう思ってしまった」
そう言って、彼は私の指先を包み込み、自らの頬に当てた。
彼自身の体温も高いけれど、それ以上に、彼の心が震えているのが伝わってくる。
ああ、そうか。
この人は、ずっと寂しかったんだ。
私なんかよりもずっと、長い間。
「……温かいです、クラウス様」
私がそう伝えると、彼は驚いたように目を見開き、それから。
氷が解けて花が咲くみたいに、ふわりと笑った。
「……っ、リリエル」
彼は耐えきれないように私を抱きしめた。
強く、でも苦しくないように。
「ありがとう。私を受け入れてくれて」
耳元で囁かれる声は甘くて、優しくて。
外は吹雪いているけれど、彼の腕の中は世界で一番温かい場所だった。
「さあ、まずは温かいココアを飲んでくれ。……君のために、蜂蜜をたっぷり入れておいた」
差し出されたマグカップからは、湯気と共に甘い香りが漂っている。
◇◆◇
温かいココアを飲み干すと、体の中までぽかぽかと温まった。
暖炉の前、ふかふかの絨毯の上。
私の隣には、まだ心配そうに私の顔を覗き込んでいるクラウス様がいる。
「……落ち着いたか?」
「はい。ありがとうございます、クラウス様」
私が微笑むと、彼は眩しいものを見るように目を細めた。
その赤い瞳には、まだ少しの不安と、それを塗りつぶすほどの深い愛着が滲んでいる。
「なら、次は着替えだ。……そのドレスはもう着られないだろう」
言われて自分の姿を見る。
雪と泥で汚れたドレスは、重く湿っていて、見るも無惨な状態だった。
婚約破棄された瞬間の惨めさが蘇って、少しだけ肩がすくむ。
「あ……そう、ですね。でも、着替えなんて持っていなくて……」
「問題ない。……これを使ってくれ」
クラウス様が立ち上がり、クローゼットから一着のドレスを取り出した。
それは、夜空のような深い藍色の生地に、銀色の刺繍が施された、上品で手触りの良さそうなドレスだった。
派手すぎず、でも私の瞳の色によく似合いそうな色。
「これ……?」
「いつか、君をここに迎える日が来たらと思って……用意していたんだ」
彼は少し恥ずかしそうに視線を逸らした。
「君のサイズは、見ていればわかる。……ずっと、君に似合う服を贈りたかった」
ずっと見ていた、という彼の言葉が、今度は温かい意味を持って胸に響く。
ストーカーじみているはずなのに、彼の「触れたくても触れられない」という孤独を知ってしまったから、その一途さがただただ切なくて、嬉しい。
「着替えは……すまないが、自分で頼めるか? 私が手伝いたいのは山々なのだが、その……」
彼の耳が、微かに赤くなっている。
「君の肌を見ると、理性が働く自信がない。……大切にしたいんだ」
その不器用な誠実さに、私の頬も熱くなる。
彼は私に背を向け、部屋の隅へと移動してくれた。
私は暖炉の暖かさに守られながら、濡れたドレスを脱ぎ捨て、彼が用意してくれたドレスに袖を通した。
驚くほど肌触りが良くて、サイズもぴったり。
まるで、最初から私のためにあつらえられたみたいに。
「……着替えました」
私が声をかけると、彼が振り返った。
その瞬間、彼の赤い瞳が大きく見開かれ、そしてとろりと甘く細められた。
「……ああ。思った通りだ」
彼は近づいてきて、私の手を取り、跪いた。
「美しいよ、リリエル。……やはり君には、笑顔と綺麗な服がよく似合う」
手の甲に落とされるキス。
お姫様扱いなんて慣れていないから、心臓がトクトクと高鳴って止まらない。
こんなに幸せで、いいのかな。
さっきまで雪の中で絶望していたのが、嘘みたい。
「さて。次は食事だ」
「えっ? でも、こんな時間ですし……」
「君は痩せすぎている。それに、温かいものを食べさせたい。……ここへ」
彼は私をソファに座らせると、ワゴンを押してきた。
そこには、湯気を立てるポタージュスープと、柔らかそうな白パン、そして彩り豊かな温野菜が並んでいる。
使用人を遠ざけている彼が、自分で用意してくれたのだろうか。
「さあ」
彼は私の隣に腰を下ろすと、スプーンでスープを掬い、ふーふー、と息を吹きかけて冷まし始めた。
そして、それを私の口元へと差し出してくる。
「……え?」
「口を開けてくれ」
「ええっ!? あ、あの、自分で食べられます!」
さすがにそれは恥ずかしすぎる。
子供じゃないんだから!
私が慌ててスプーンを受け取ろうとすると、彼はスッと手を引いて、悲しげに眉を下げた。
「……嫌か?」
「嫌とかじゃなくて……その、恥ずかしいですし、クラウス様の手を煩わせるなんて……」
「煩わせてくれ」
彼は真剣な眼差しで、私を見つめた。
「リリエル。私の手は、今まで『壊す』ことしかできなかった。……食事を作ることも、誰かに食べさせることも、許されなかったんだ」
彼の声が、静かに震える。
「スプーンを持てば溶け、皿に触れれば割れる。……だから私は、食事さえも一人で、魔道具を使って摂るしかなかった」
想像して、胸が詰まる。
公爵という地位にありながら、当たり前の日常さえ奪われていた彼。
誰かと食卓を囲むことさえ、叶わなかった孤独。
「だが、君のそばなら……私の魔力は静まる。こうしてスプーンを持つことも、君に食事を運ぶこともできるんだ」
彼はもう一度、スープを掬った。
「だから、お願いだ。……私の手で、君を生かさせてほしい。君を育む真似事を、させてくれないか?」
そんな風に言われたら、断れるわけがない。
彼の願いは、私の羞恥心なんかより、ずっと重くて尊いものだから。
「……はい。お願いします、クラウス様」
私が小さく口を開けると、彼は嬉しそうに微笑んで、スプーンを口の中に入れてくれた。
カボチャの甘みと、ミルクのコク。
そして何より、彼の優しさが溶け込んだような、温かい味。
「……おいしい」
「そうか。よかった……」
彼は本当に幸せそうに、また一口、ふーふー、と息を吹きかける。
その仕草一つ一つが、丁寧で、愛おしげで。
クラウス様は、私が自分でスプーンを持とうとすることさえ許してくれない。
熱くないか確かめてから差し出されるスープ。柔らかくちぎられた、バターたっぷりのパン。
「さあ、もう一口。……美味しいか? リリエル」
赤い瞳を細めて私の一挙一動を愛おしそうに見つめる彼に、私は顔を赤くしながら、差し出されるまま口を開くことしかできない。
私はただ、雛鳥みたいに彼に甘やかされるだけ。
でも、その大きな手が触れるたびに、彼が「生きていていいんだ」と証明してくれているようで……。恥ずかしいはずなのに、もっと甘えていたいと思ってしまう自分がいた。
「死神公爵」なんて呼ばれている人が、こんなに穏やかな顔をするなんて、きっと誰も知らない。
(私だけが知っている、クラウス様)
それが嬉しくて、胸がいっぱいになって。
気づけば、用意された食事を全部平らげてしまっていた。
「……ふふ。いい子だ」
空になったお皿を見て、彼が私の頭を撫でる。
大きな手のひらの温もりが、心地いい。
お腹も心も満たされて、緊張の糸が切れたのか、急にまぶたが重くなってきた。
「眠いか?」
「あ……ごめんなさい。なんだか、急に……」
「無理もない。今日は辛いことばかりだっただろう」
彼は私を横抱きに抱き上げると、天蓋付きの大きなベッドへと運んでくれた。
ふかふかの羽毛布団に降ろされる。
「……あの、クラウス様は?」
「私はソファで寝る。君はゆっくり休んでくれ」
彼はそう言って、布団を肩まで掛けてくれようとした。
でも。
ガシッ。
私は思わず、彼の袖を掴んでしまった。
「リリエル?」
「行かないで……ください」
自分でも驚くような、甘えた声が出た。
一人になるのが怖かった。
目が覚めたら、またあの寒い広場に戻っているんじゃないかって、不安で。
「……ここに、いてほしいです」
私のわがままに、彼は目を見開き、そして困ったように笑った。
「……君は、残酷なことを言うな。私の理性が持つか、賭けでもしているのか?」
「ダメ、ですか……?」
上目遣いで見つめると、彼は深い溜め息をついて、観念したようにベッドの縁に腰掛けた。
「……わかった。君が眠るまで、ここにいよう」
彼は私の手を握り、もう片方の手で、優しくトントンと布団の上からあやしてくれた。
その一定のリズムが、私の魔力のない体に心地よく響く。
「……クラウス様の手、温かい」
「君が温めてくれたんだ」
「……ずっと、こうしててくれますか?」
「ああ。誓おう。……おやすみ、私の愛しいリリエル」
額に落とされる、羽のようなキス。
その優しさに包まれて、私は深い眠りへと落ちていった。
悪夢なんて、見る隙間もないくらい。
だって、手を握っていてくれる彼の存在が、どんな魔法よりも強力に私を守ってくれているから。
◇◆◇
小鳥のさえずりと、カーテンの隙間から差し込む柔らかな光。
まどろみの中で、私はふと、左手に温かい重みを感じて目を覚ました。
「……ん……」
重いまぶたを持ち上げると、そこには信じられない光景があった。
ベッドの縁に腰掛けたまま、クラウス様が私の手を両手で包み込み、頬を寄せて眠っていたのだ。
窮屈そうな体勢なのに、私の手を離したくないとでも言うように、しっかりと指を絡ませて。
(……本当に、ずっといてくれたんだ)
昨日の夜、「誓おう」と言ってくれた言葉は、気休めじゃなかった。
最強の公爵様が、まるで忠実な騎士みたいに、私の安眠を一晩中守り続けてくれたなんて。
胸の奥が、きゅぅっと締め付けられるように甘く痛む。
こんなに大切にされたこと、前世でも今世でも一度もなかったから。
「……おはようございます、クラウス様」
そっと声をかけると、銀色の睫毛が震え、赤い瞳がゆっくりと開かれた。
寝起きで少しぼんやりとしたその瞳が、私を捉えた瞬間、とろりと優しく細められる。
「……おはよう、リリエル。よく眠れたか?」
「はい。おかげさまで、悪い夢ひとつ見ませんでした」
「そうか。……なら、よかった」
彼は私の手の甲に、朝の挨拶代わりの口づけを落とした。
その自然な仕草に、私の顔が一気に熱くなる。
昨日は必死で気づかなかったけれど、朝の光の中で見る彼は、ため息が出るほど美しくて、色気があって……。
「ク、クラウス様! 体、痛くないですか? ずっと座ったままで……」
「問題ない。……君の寝顔を見ていたら、退屈しなかったからな」
「えっ、み、見てたんですか!?」
「ああ。無防備で、可愛らしかった」
サラリと言ってのける彼に、私は布団を頭まで被って隠れるしかない。
もう、この人の溺愛ぶりには、私の心臓がいくつあっても足りない。
そんな、砂糖菓子みたいに甘い朝の静寂は――突然の轟音によって、無残に打ち砕かれた。
ドォォォォン!!
屋敷の扉が魔法で吹き飛ばされたような、凄まじい音。
屋敷全体がビリビリと揺れ、私は悲鳴を上げて飛び起きた。
「な、何!?」
「……チッ」
クラウス様の表情が、一瞬で「死神」のものへと変わる。
私に向けていた甘い熱は消え、絶対零度の殺気が部屋の温度を急激に下げていく。
「朝から騒々しい害虫どもだ。……どうやら、昨日のお灸では足りなかったらしい」
「害虫って……まさか」
「ここにいろ、リリエル。私が掃除してくる」
彼は立ち上がり、部屋を出ようとする。
でも、私は布団を跳ね除けて、彼の背中にしがみついた。
怖いけれど、ここで一人で震えているだけの「守られるお姫様」じゃいたくない。
「私……私も行きます。私のことですよね? セオドア様たちが来たのなら、ちゃんと話をしたいです」
「……君が傷つくかもしれないぞ」
「平気です。だって、クラウス様がいてくれるから」
私が彼の腕をギュッと掴んで見上げると、彼は目を見張り、それから嬉しそうに口元を緩めた。
「……そうか。私の背中に隠れていろ。指一本、触れさせはしない」
◇◆◇
破壊された玄関ホールへ降りると、そこには予想通りの人物たちがいた。
近衛騎士を引き連れたセオドアと、その腕に隠れるミナ。
王子の顔は怒りで真っ赤に染まり、ミナはわざとらしいほど怯えたふりをしている。
「出てこい! 人攫いの死神公爵め! 私の元婚約者を返してもらおうか!」
セオドアの大声がホールに響く。
ああ、なんて醜いんだろう。
昨日までは、あんなに素敵に見えていたのに。
今の彼からは、品性も知性も感じられない。あるのは、自分の思い通りにならない現実への癇癪だけ。
「……朝から大声を出さないでいただきたい。私の大切な人が、怯えてしまう」
クラウス様が、氷のように冷たい声で応戦する。
彼は私の肩を抱き寄せ、その体温で私を守るように立ちはだかった。
「き、貴様……! リリエルを洗脳したな! その薄汚い闇の魔力で!」
「洗脳? ふん、愚かな」
クラウス様は鼻で笑うと、私の髪に口づけを落とした。
見せつけるように。
所有印を刻むように。
「彼女は自らの意志で私を選んだ。……君のような、見る目のない男ではなくな」
「なっ……!?」
「それに、返せとはどういう了見だ? 昨夜、雪の中で彼女をゴミのように捨てたのは君だろう。拾ったのは私だ。所有権は私にある」
正論だ。
クラウス様の言葉一つ一つが、鋭いナイフみたいにセオドアを突き刺していく。
すると、今まで黙っていたミナが、吐き気がするほど甘ったるい涙声で声を上げた。
「ひどい……っ! リリエル様、騙されないで! その人は悪魔よ! 精霊さんたちが言ってるの、『その人の側にいたら魂を食べられちゃう』って!」
ミナが芝居がかった仕草で胸を押さえる。
「リリエル様は魔力がないから、操られやすいのね……かわいそう。私が助けてあげる。こっちへ来て、リリエル様!」
彼女が手を差し伸べてくる。
その瞳の奥にあるのは、優越感と、私をまた足元にひざまずかせたいという暗い欲望。
精霊の声なんて聞こえていないくせに。
ただ、自分がヒロインでいたいだけなのに。
私は、クラウス様の腕の中から一歩踏み出した。
「リリエル?」
心配そうに見下ろすクラウス様に、「大丈夫」と目で合図を送る。
そして、私はまっすぐにミナとセオドアを見据えた。
「……お断りします」
「え?」
ミナの顔が凍りつく。
「魂を食べられる? 洗脳されている? ……いいえ、違います。私はここで、生まれて初めて『人間』として扱われました」
私は自分の胸に手を当てる。
そこには、クラウス様がくれたドレスと、彼が食べさせてくれたスープの温かさと、彼が守ってくれた安眠の記憶が詰まっている。
「セオドア様。貴方は私の『魔力のなさ』を欠陥だと嘲笑いましたね。ミナ様、貴女は私のことを『地味でつまらない女』だと陰で笑っていましたね」
「な、何を……」
「でも、クラウス様は違いました。私の空っぽな体を『唯一の安らぎ』だと言ってくれた。地味な私を『綺麗だ』と言ってくれた。……ただ一度の温もりが、貴方たちと過ごした何年もの時間より、ずっと価値があるのです」
私の言葉に、セオドアがワナワナと震えだす。
プライドの高い彼にとって、悪名高い「死神」に負けたと言われるのは、何よりの屈辱だろう。
「だ、黙れ黙れ! この売女め! どうせ体を使ったんだろう! 騎士たちよ、やれ! その女を捕らえて、広場で火炙りにしろ!」
王子が狂ったように叫ぶ。
近衛騎士たちが剣を抜き、殺気立って迫ってくる。
多勢に無勢。
普通なら、恐怖で足がすくむ場面。
けれど。
ヒュオオオオオッ……!!
屋敷の中だというのに、猛吹雪のような冷気が吹き荒れた。
シャンデリアが揺れ、窓ガラスに一瞬で霜が走る。
「……私の愛しい人に、『火炙り』だと?」
クラウス様だ。
彼を中心に、黒い魔力が陽炎のように揺らめいている。
その赤い瞳は、もはや人のものではない。
本物の「死神」の瞳。
「――死にたい者から、前に出ろ」
たった一言。
それだけで、騎士たちの剣がパキン、パキンと音を立てて凍りつき、砕け散った。
「ひぃっ!?」
「け、剣が……!」
「私の魔力は『触れるもの』を壊すと言ったな? ……訂正しよう。本気を出せば、触れずともこの空間ごと『粉砕』できる」
クラウス様が一歩踏み出す。
床の大理石が、メリメリと音を立ててひび割れていく。
「リリエルは私の心臓だ。彼女を傷つけようとする者は、王族だろうが精霊だろうが、塵一つ残さず消し去る。……試してみるか?」
圧倒的な力の差。
生物としての格の違い。
セオドアは腰を抜かし、失禁して震えている。
ミナも、「精霊さんが……」と呟く余裕もなく、顔面蒼白でガチガチと歯を鳴らしている。
「う、うわぁぁぁぁ!! 化け物だぁぁぁ!!」
セオドアが悲鳴を上げて、這うように逃げ出した。
「……逃がすか」
クラウス様が指先をくい、と動かす。
すると、逃げる彼らの足元の床が『ガゴォン!』と陥没し、彼らは無様に転がり落ちた。
「あべしっ!?」
「きゃあっ!?」
「ま、待て! 私は次期国王だぞ! こんな無礼が許されると――」
「次期国王? ……ああ、明日から平民になる男のことか」
クラウス様が冷ややかにそう呟き、指を鳴らした。
パリンッ――!!
乾いた音が響き、王子の胸元で輝いていた『王位継承者の証』である魔石のブローチが、粉々に砕け散った。
「……あ、あ、あああぁ……!」
王子の顔から血の気が引く。それは、彼がただの「魔力だけの男」に成り下がった合図だ。
すると、今まで彼にしがみついていたミナが、弾かれたように手を離して数歩後ずさった。
「……うそ。それがないなら、あなたただの『人』じゃない。精霊様が言ってるわ……『この男はもうおしまいよ』って!」
「ミ、ミナ!? お前、何を言って――」
「近寄らないで! 穢れるわ!」
泥沼のなすりつけ合いを演じる二人を、クラウス様はゴミを見るような目で見下ろした。
「連れて行け。王家には、元婚約者を雪の中に捨て、公爵家に仇なした罪人を送り返すと伝えておけ。……二度と、日は拝めまい」
なんて無様で、滑稽な幕切れ。
嵐が去った後のホールに、静寂が戻る。
クラウス様がふぅ、と息を吐くと、荒れ狂っていた冷気が嘘のように消え去った。
「……怖がらせてしまったか?」
彼が恐る恐る振り返る。
その顔は、さっきまでの魔王のような形相ではなく、私に嫌われたんじゃないかと怯える少年のようで。
私は駆け寄って、彼の胸に飛び込んだ。
「かっこよかったです……! クラウス様!」
「……へ?」
「私を守ってくれて、怒ってくれて……嬉しかった。私、世界一の幸せ者です」
私が彼の胸に顔を埋めると、彼は一瞬固まって、それから震える腕で私を抱き締め返してくれた。
「……君という人は。あんな恐ろしい力を見ても、逃げないのか」
「逃げませんよ。だって、この手は私を温めてくれる手ですもの」
私は彼の手を取り、自分の頬に当てる。
温かい。
やっぱり、この温度が一番好き。
「……愛している、リリエル。もう誰にも渡さない」
「はい。私も……大好きです」
瓦礫の散らばる玄関ホールで、私たちは口づけを交わした。
それは昨日のような一方的なものではなく、互いの想いを確かめ合う、甘く溶けるようなキスの味。
出会ってからの時間なんて関係ない。私は彼を特別だと思った。運命を感じた。
彼と一緒にいる理由なんて私にとってはそれだけで十分すぎるほどだ。
もう、怖いものなんてない。
最強の死神公爵様が、私だけの騎士様になってくれたのだから。
◇◆◇
あれから、3年という月日が流れた。
公爵邸の裏手にある温室。
ここは、クラウスが私のために新しく建ててくれた、私だけのお城。
ガラス越しに降り注ぐ柔らかな陽光の下、私は咲き誇る白薔薇の手入れをしていた。
左手の薬指には、大粒のアメジストがあしらわれた銀の指輪が、キラリと光っている。
「……リリエル」
背後から、愛おしい声がした。
振り返る間もなく、背中からふわりと包み込まれるような温もりに捕まる。
「クラウス。……お帰りなさい」
「ああ。ただいま、私の妻」
彼が私の肩に顎を乗せ、ほっとしたように息を吐く。
外での執務で張り詰めていた空気が、私の体温に触れて、ゆっくりと解けていくのがわかる。
最強の「死神公爵」と呼ばれ、今や国の宰相として手腕を振るう彼だけど……家に戻れば、こんな風に私に甘えるのが日課になっている。
「……魔力酔いはしてない? 今日は会議が長かったんでしょう?」
「ああ……。無能な貴族たちの魔力が混ざり合って、吐き気がするほど騒がしかった。……だが」
彼は私の腰に回した腕に少しだけ力を込め、耳元で優しく囁く。
「君を抱きしめれば、全部消える。……君の周りだけが、世界で一番静かで、心地いい」
彼の体温が、ドレス越しにじんわりと伝わってくる。
結婚して3年経っても、彼はこうして私に触れる時間を何よりも大切にしてくれている。
「もう……。クラウスったら」
「あと5分だけ、このままで。……充電させてくれ」
子供みたいに言う彼が愛おしくて、私は彼の手の上に自分の手を重ねた。
温室の花の香りと、彼の匂いが混ざり合って、とてつもなく幸せな気持ちになる。
◇◆◇
あの「聖夜祭」の後、私たちの生活は一変した。
セオドアとミナは、クラウスの正当な告発によって、あっという間に破滅した。
ミナの「精霊の声」がただの狂言だったこと、そして王子が私の実家であるアークライト家への支援金を横領し、ミナへの貢物にしていたことが露見したから。
セオドアは王位継承権を剥奪され、遠方の修道院へ。
ミナも詐欺罪で裁かれ、二人が表舞台に戻ってくることはもうない。
「……何を考えている?」
ふいに、クラウスが私の頬を指先でつついた。
赤い瞳が、少しだけ拗ねたように私を見つめている。
「私の腕の中にいながら、他のことを考えるとは」
「ふふ、違うわ。ただ、今の幸せが夢みたいだなって……」
「夢じゃない。……ほら、ここにいる」
彼は私の手を取り、彼自身の胸に当てた。
ドク、ドク、と力強い心臓の音が掌から伝わってくる。
生きている音。私を愛してくれている音。
彼の「触れるものを壊す」という体質は、完全になくなったわけじゃない。
今でも、私以外の人間や動物に素手で触れれば、相手の魔力を暴走させてしまう。だから彼は、外では分厚い手袋を決して外さない。
世界中でたった一人。
私だけが、彼に触れ、彼を受け入れることができる「運命の器」。
その事実が、たまらなく愛おしくて、誇らしい。
「リリエル。……少し、あそこで休まないか?」
彼が指差したのは、温室の隅に置かれたガーデンソファ。
木漏れ日が揺れる、特等席。
「ええ、いいわよ」
私たちは並んでソファに腰を下ろした。
彼は私の膝に頭を預けて、横になる。いわゆる、膝枕だ。
普段は凛々しい公爵様が、こうして無防備な姿を見せてくれるのは、私だけの特権。
「……リリエル」
彼が下から私を見上げ、手を伸ばして私の頬に触れる。
その手つきは、3年前の雪の日と変わらず、壊れ物を扱うように丁寧で優しい。
「君に触れるたび、思うんだ。……私は、生きていてよかったと」
赤い瞳が、陽の光を浴びて宝石のように輝く。
「私の手は、ずっと呪いだった。誰かを傷つけ、壊すだけの忌まわしい手だと思っていた。……君に出会うまでは」
彼は私の髪を一房すくい、愛おしげに口づけを落とした。
「だが、今は違う。この手で君を抱きしめることができる。君の涙を拭い、君を守ることができる。……それが、どれほど嬉しいか」
切実な言葉。
最強の公爵様が抱えてきた孤独の深さを思うと、胸がぎゅっと締め付けられる。
私は彼の髪を優しく梳いた。
「私もよ。あなたが拾ってくれなければ、私は雪の中で凍えていたわ。……私を見つけてくれて、ありがとう」
「……リリエル」
「貴方の手は、温かいわ。私にとっては、世界で一番優しい『魔法の手』よ」
私が微笑むと、彼は眩しそうに目を細め、それから本当に幸せそうに笑った。
「……敵わないな、私の妻には」
彼は私の手を握りしめ、そのまま目を閉じる。
「少しだけ、眠ってもいいか? ……君の体温を感じていると、ひどく安心するんだ」
「ええ、おやすみなさい。クラウス」
私は彼のおでこに、そっとキスをした。
彼は満足そうに口元を緩め、やがて穏やかな寝息を立て始めた。
窓の外には、穏やかな午後が広がっている。
鳥のさえずりと、風に揺れる木々の音。
そして、愛する人の規則正しい呼吸音。
触れられる幸せ。
隣にいられる奇跡。
死神公爵の「呪い」は、きっと一生解けることはないでしょうね。
でも、それでいい。
だってこの呪いは、私たちが二人だけで生きていくための、世界で一番強固で、温かい「愛の絆」なんだから。
握りしめられた手から伝わる温もりを感じながら、私もゆっくりと瞼を閉じた。
今日はきっと、二人で素敵な夢が見られるはずだから。
【1/4追記】
こちらの番外編、ヒーロー視点の短編を投稿いたしました。シリーズ化しましたので、是非ご覧ください。
【ヒーロー視点】触れるもの全てを殺す『死神公爵』ですが、彼女に触れた瞬間、愛しさが暴走してキャラ崩壊寸前でした
▼リンクはこちらです▼
https://ncode.syosetu.com/n2482lp/
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
孤独だった公爵様とヒロインが幸せになれて、書いている私も胸がいっぱいになりました。
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