表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/23

番外編 見えない優しさ

世の中は、他人の無数の見えない優しさで回っている。

それは直接ではなくて間接的なものが多いから、人はそこに気がつかないことも多い。


自分の親兄弟、友人や同僚、恋人や伴侶等の身近な相手が自分に向けてくれる優しさにしか関心がないとか、その身近な相手から自分に向けてもらおうと請うことにあまりにも必死過ぎると、どうしても視野が狭くなってしまうものだ。


視野が狭い人間は、自分のことを見えない誰かの優しさで日々守り支えてもえていることに全く気がつかない。


人からの優しさに人一倍飢えているのに、そんな構ってちゃん程、他人の優しさに無頓着なんだよ。



職場の後輩である小鳥遊菜緒もそんな視野の狭い人間の一人だと俺は思う。


なぜか俺は彼女に迷惑な程懐かれ頼られているが、彼女を支えてあげようとしている男達は他にもいるんだよ。


見えない優しさで、彼らは小鳥遊菜緒を支えているのだ。

鬱っぽいと自称する彼女に、頼まれなくても影で気を回して、彼女の代わりに処理してあげるとか、負荷やストレスを与えないように配慮して動いている。


彼女を特別扱いしていると、他の女性社員らには不評だが、それでも彼らは見えない優しさで小鳥遊菜緒を支えているのだ。

それは彼女が美女だからとか、あわよくば自分の恋人にという欲からではなくて、病んで弱っている彼女には庇護や助けが必要であろうから、頼まれなくても忖度して動いているわけだ。


言葉に出さなくても、態度に出さなくても察してやってくれているものに、彼女は全く気がつかない。


彼女の嘘に付き合う、これは嘘かもという疑念があっても付き合ってあげるのも、それだって無償の優しさのうちでもあるよな。


愛にも色んなものがあるが、人間としての無償の愛ならば、既に彼女は周囲から沢山受けているのだ。



俺は小鳥遊に「心が空っぽだ」と言ったことがあったけれど、きっとそれは、彼女が視野が狭く、自分を取り巻いている見えない優しさに気がつかないから、だから空っぽなのではないかという気がしている。


もう少し、周囲のそんな見えない優しさに気がつけたならば、空虚さは埋まるだろう。


「 見えないものをどうやって見るのよ!」


ってあいつは怒り出しそうだけどな。


でも愛情とか思いやりって目に見えないことの方が多いよね。


空気を読めないのは、空気は見えないじゃないかって言い訳するのと同じで、多分空気読めない人は、相手からの愛情にも鈍感なんじゃないか?


それで相手や周囲とすれ違ってゆくだろうし、だから空気を読めないと、愛情不足も起こしやすいのでは?


一緒にいるのに満たされない、求めているのに手に入らないのは、他人の見えない優しさに対して、あまりにも鈍感過ぎるからなのだろうな。


見渡せばそこにずっとあったのに、本人がもう少しだけでも視野を広げたら気がつける筈だ。


仮に身近な相手から期待するものが得られなくても、他者からの愛が全く無いということはほぼ無い。


無いと感じるのは、本当はあるのに気がつかないだけだ。


よく見回せば、ずっと前から見えない優しさに包まれていたことを知ることができる筈だ。


凝り固まった狭い視野では、他者からの優しさや愛情を受け取る受け皿すら持てなくなるんだ。


それこそが自分の首を絞めてゆくわけだよな。


周りの見えない優しさに気がつけるようになれたら、愛が無いなんて勘違いには陥らなくなるんだから。


人は愛情不足だと病む


それはそうかもしれないけど、でも、愛情は誰かから一方的に向けてもらうものだけでなくて、自分がそれを愛だと気がつくもの、察知して気がついてゆくものだよな。


それができるようにならないとキリが無いんだよ。


気がつけないと、どんなに欲しがっても空っぽなスペースは埋まらないんだ。



たとえ家庭環境に恵まれなくても、他者からの見えない優しさに気がつくことができたら、家族以外の他の誰かの愛情に満たしてもらえるのにね。


他者からの見えない優しさは、要求や懇願しなくても、既にそこにあるものなんだよ。


時には世の中を冷たく感じてしまうこともあるだろうけれど、それでも見ない優しさはあるものなんだ。


自分の身近な人には愛が無いと感じるなら、身近な人にそれを求めないで、もっと広い世界の優しさに気がついていくようにすればいいんだよ。


それに気がつく時、人は満たせれてゆくのだから。


心が空っぽなら、もう少し視野を広げて、世の中の優しさに目を向けてみようよ。


って、丹沢湖のキャンプから帰ったら、小鳥遊菜緒には一度その事について話してみよう。



(了)

ちょこちょこ番外編を追加してすみません。


これで本当に完結です。


お読み下さってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ