番外編 出戻り
占い師は自分を占わない、自分を占ってはいけない云々言われているけれど、それはこういうことだと私は思うの。
悩みやトラブルの渦中にいる時は、自分のことなんて占う余裕が無いからよ。
きっとそうよ!(笑)
それで後になってから、はっと気がつくの。
ああ、何であの時占っておかなかったのだろうって。
元夫と結婚を決めた時も、当時もタロットは趣味でやっていたのだから、あの時カードを引いてたら、結婚を回避して、こんな寄り道、遠回りはしなくて済んだかもしれないのに。
もう、もう、もう、ほんっとに眼中にこれっぽっちもなかったのよ。
自分を自分で占うという発想が完全に欠如していた。
私は他の占い師にも占ってもらうことはしなかったけど。
元夫と離婚しようか悩んだ時も全く同じ状態だった。
「自分のことは冷静に占えないからやらない」という人がプロの占い師でもいるけれど、やっと私も納得し同意できた。
もう本当に何やってるのよ、自分!って呆れまくったわ。
占ったていたら、わかった筈なのに。
占いもそうだけど、困った時の神頼みさえもすっかりするの忘れていたのよね。
うわあ、しとけば良かった!
って後の祭りよ。
そして、深町君との関係も、深町君と結婚するのを決断した時も、タロットのタの字も思い出さなかったの。
深町君のことは占うまでもなかったし、結果オーライだからいいのだけどね。
私って占い師としてどうなのって。
はあ······。
でも、以前菜緒さんのことを「あの人はきっとロクな死に方をしないよ」なんて深町君と話していたら、ふと塔のカードの正位置の絵がパッと浮かんで見えたの。
タロットでは塔のカードは崩壊、破壊、破滅、アクシデント等を表すのよ。
彼女が実際にあんな事故に遭ってしまったから仰天したわ。
あれは占いというよりも、直感的なもの、何かのサインだったのかも。
まだ占い師としは活動を休止中でいる。
子育てが忙しいからとかではなくて、今しか味わえない子どもとの貴重な時間をできるだけ沢山欲しいなって。
え?!これって溺愛し過ぎ?
色々あった末に授かった子どもだからなのか、もう半端なく娘が愛し過ぎるの。
黒目がちな目元がパパにそっくりなのも余計に可愛い。
深町君と実美が二人で一緒に眠っていたから比べて見たら、手指の形や爪の形まで同じなのよ。
本当に親子なんだなって実感したわ。遺伝子って凄いわ。
ああ、産んで良かった、産めて良かったって毎日感動感激してしまう。
離婚·再婚·出産と、一気に私の経験値が増えた。
いつかこの経験を占いにも生かせたらと思っているけれど、今は娘との時間と夫婦の時間が何よりも大切なの。
深町君も実美にデレデレだし、二人して親バカ必至だ。
それに加えて、そんな深町君も良きと思えるの私は嫁バカ、大概かも。
深町君は今まで自炊していたから料理もできるし、掃除に洗濯にと家事能力が高い。
元夫とは大違いだ。
悪阻が酷い時も体調不良で寝込んでしまうような時も本当に助かった。
娘のために手縫いでスタイを嬉々として縫ってくれるほどの父性愛強めのパパなんて、私にはもったいないくらいだ。
ようやく私は結婚という大海原を共にオールを漕いでくれる頼もしい相棒を得たのだ。
これで座礁や遭難は避けられると思うわ。
もしまた転覆しても、その時は二人で必死になんとか岸まで泳ぎ切るわ。
私の幸せの青い鳥は、誰よりも近くにずっと前からいてくれたのに、そのことに気がつくのが遅くなってしまった。
手を伸ばせば、振り向いたらすぐそこにあったのに。
子育てが一段落したら、再開しようとは思ってはいるけれど、占い師を続けることに拘りはなくなっている。
将来的に再開するかしないかは五分五分。
そのことを占ってみたら、カードでも五分五分だったから笑ってしまった。
復帰予定は未定。
それでもいつか戻ることがあったならば、出戻りですがよろしくお願いします!
(了)
これにて完結です。
読んで下さってありがとうございました。




