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しばらく抱き合い涙を流した後ひぐっさんは聞きたいことが山程あると言った様子で身を乗り出す。
しかし服部はひぐっさんの目の前に人差し指を立てて制止する。
「ごめんね、ひぐっさん。今は時間がないからすぐいくよ?」
「時間がない?何があった?」
服部はことの経緯をざっくりと説明する。
ひぐっさんの表情はみるみるうちに曇っていき最後には地面に拳を強く打ち付ける。
「クソ!巻き込まないようにしたことがこんなに裏目に出るなんて…!」
打ちつけた拳を服部が優しく包み込む。
「だから急ぎたいの。あなたの後悔が最小限で済むように。」
真っ直ぐに見つめてくる服部の目にひぐっさんも見つめ返さずにはいられない。
「そして全部が終わったら私たちが別れてからの話をいっぱいしましょう。」
優しく微笑む服部に覚悟を決めてひぐっさんは強く頷く。
「おうおう、お前らよぉ。俺らにもその…なんだか感動しそうな話聞かせにきてくれよな。」
目頭を押さえて上を向いたままの猿帝が話しかけてくる。
「もちろん。本当にありがとう。猿帝さん。」
「惚れちまったならいつでも鞍替えしてくれてもいいぜ。」
猿帝の発言にひぐっさんと服部は笑いながら発つ準備をする。
「猿帝。全てが終わったらまた礼をさせてくれ。」
「男に礼なんてされても嬉しかねえよ。服部ちゃんならいつでも大歓迎だかな。」
そう言って口をめいいっぱい引き攣らせたウインクをする。
「ふふふ、考えとくわ。じゃあね!」
麓まで送ってくれた猿たちに礼を言って車に乗り込む。
服部は窓を開けると荷台のひぐっさんに大声で伝える。
「急ぐからね!振り落とされないでよ!」
それを聞いたひぐっさんは唸るように笑いながら優しい表情をする。
「昔と反対だな。今度は俺が君の背に乗ってる。」
それを聞いた服部も優しく微笑む。
「本当ね。私も大きくなりました。」
2匹は笑いながら車を走らせる。




