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豊虫は気づくと家を飛び出し走っていた。
ハッとする。
三男雄と約束したのに飛び出し山に向かってしまった。
しかし、自分のせいで動物が犠牲になるのは許せない。
なによりひぐっさんも責任を感じてしまうことを危惧していた。
山の麓まで来た頃、それまで持ち堪えていた空はとうとう我慢できず雨を降らす。
「クソ!」
だんだん強くなる雨に顔を濡らされ苛立つ。
なま「山はざわめきながらも豊虫の邪魔をすることなく雨を遮り迎え入れようとしているようにすら見える。
山道には分かりやすく小動物の傷ついた姿や骸が並べられている。
辿ってこいと言うことなのだろう。
次第に間隔が狭くなり何かに近づいてきていることを感じる。
しかし、それは豊虫の思った人物ではなかった。




