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「ねえ、君。何してたの?」
そう言って先生は豊虫の隣に座る。
豊虫は少しドキドキしながら彼女を見ずに話す。
「あ、あの、お腹が空いてる子がいたら…食べて…友達になってくれないかなって…。」
それを聞いた先生は優しく微笑むと豊虫の頭を撫でる。
「そう。あなたは優しいのね。動物が好き?」
そう聞かれ豊虫はコクリと頷く。
「でも、動物たちは僕が…嫌い…。」
微笑んだまま先生は豊虫の手を取り目を合わさす。
驚きながらも豊虫は先生の目に見惚れて逸らせない。
「嫌われてないわ。街の動物はプライドが高いのよ。」
そう言うと豊虫を抱き寄せる。
抵抗する気もないが豊虫の体は動かず身を委ねてしまう。
「あなたの魅力に嫉妬してるのよ…。まだ早い…。まだ…。これから…色々経験してもっと…もっと…。」
チチチ。
鳥の鳴き声に気づき豊虫の体が動くようになる。
「チチチ。逢瀬の最中悪いがこの食パンもらってもいいかな?坊主。」
スズメが食パンの手前に立っている。
先生は豊虫を離すと少し冷たい目でスズメを見る。
「あら、寺嶋さん。食に困るようなスズメでもないでしょう?」
「おやおや、先生でしたか。こら失礼。いやね、忙しくてまだ今日食べてないもんで。お恥ずかしいところを見られた。」
寺嶋と呼ばれたスズメは翼を額に当てるとかしこまり話す。
「それで、坊主。これもらってもいいかな?」
豊虫は黙って頷く。
「チチチ。悪いな。ありがとう。」
そう言って寺嶋は食パンをついばむ。
「ふふふ、ほら言ったでしょ?あなたは嫌われてなんかない。世話焼きスズメを引き寄せた。」
先生は立ち上がると空を見上げたまま続ける。
「これからもっといろんな動物を引き寄せるわ。あなたの魅力はそれ以外も寄せ付けるかもしれないけどね。」
そう言うと颯爽と去っていく。
その背中に豊虫は
「ありがとうございました!」
と大きな声で礼を言う。
先生の笑い声がこだまし風景がだんだんと遠ざかっていく。
優しく微笑む先生の顔が浮かんだ時…
パァン!
大きな破裂音に叩き起こされ豊虫は目を覚ます。




