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博愛国家  作者: りとかた
第15章 魔性の記憶
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4

「ねえ、君。何してたの?」


そう言って先生は豊虫の隣に座る。

豊虫は少しドキドキしながら彼女を見ずに話す。


「あ、あの、お腹が空いてる子がいたら…食べて…友達になってくれないかなって…。」


それを聞いた先生は優しく微笑むと豊虫の頭を撫でる。


「そう。あなたは優しいのね。動物が好き?」


そう聞かれ豊虫はコクリと頷く。


「でも、動物たちは僕が…嫌い…。」


微笑んだまま先生は豊虫の手を取り目を合わさす。

驚きながらも豊虫は先生の目に見惚れて逸らせない。


「嫌われてないわ。街の動物はプライドが高いのよ。」


そう言うと豊虫を抱き寄せる。

抵抗する気もないが豊虫の体は動かず身を委ねてしまう。


「あなたの魅力に嫉妬してるのよ…。まだ早い…。まだ…。これから…色々経験してもっと…もっと…。」


チチチ。


鳥の鳴き声に気づき豊虫の体が動くようになる。


「チチチ。逢瀬の最中悪いがこの食パンもらってもいいかな?坊主。」


スズメが食パンの手前に立っている。

先生は豊虫を離すと少し冷たい目でスズメを見る。


「あら、寺嶋さん。食に困るようなスズメでもないでしょう?」


「おやおや、先生でしたか。こら失礼。いやね、忙しくてまだ今日食べてないもんで。お恥ずかしいところを見られた。」


寺嶋と呼ばれたスズメは翼を額に当てるとかしこまり話す。


「それで、坊主。これもらってもいいかな?」


豊虫は黙って頷く。


「チチチ。悪いな。ありがとう。」


そう言って寺嶋は食パンをついばむ。


「ふふふ、ほら言ったでしょ?あなたは嫌われてなんかない。世話焼きスズメを引き寄せた。」


先生は立ち上がると空を見上げたまま続ける。


「これからもっといろんな動物を引き寄せるわ。あなたの魅力はそれ以外も寄せ付けるかもしれないけどね。」


そう言うと颯爽と去っていく。

その背中に豊虫は


「ありがとうございました!」


と大きな声で礼を言う。


先生の笑い声がこだまし風景がだんだんと遠ざかっていく。

優しく微笑む先生の顔が浮かんだ時…




パァン!


大きな破裂音に叩き起こされ豊虫は目を覚ます。

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