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寺島の発言に三男雄は声を荒げる。
「嘘でしょ!?なんで…!約束したのに…。」
「待て。ホウチュンが悪いわけじゃねえよ。やむを得ず釣り出されたんだよ。」
それを聞いても三男雄は顔を曇らせる。
「でも、俺に言ってからでも…」
「だから俺がきたんだろうが。時は一国を争う。あの人間は…」
「俺らは隈取って呼んでます。」
話の途中によくわからないことで水を刺された寺嶋はキョトンとする。
「あ、ああ、その隈取が先月一度山でひぐっさんを襲った。だから、俺らはひぐっさんを二つ山に避難させたんだ。」
「二つ山だな?すぐに呼び戻しに行こう!」
「どうして?」
寺嶋は鋭い目つきで三男雄を見る。
「俺らはあいつに被害が出ないように逃したのに危険な場所に戻って来いって言うのか?」
「た、戦える奴を増やさないと…。銃弾くらいなら俺でもなんとかできるかもしれないし…。」
「何言ってんだよ!みのっち!物怪だって怪我はするだろ?」
トビーが慌てて遮りハッとする。
三男雄は苦笑いしながら驚く。
「気づいてたんだな…。」
気まずそうに俯くトビーがボソリとつぶやく。
「う、うん、匂いと気配でわかってたよ…。けど、そんなの関係ないだろ?友達だもん…。」
三男雄が優しく微笑むとトビーは安心したように喉を鳴らす。
「いいか?今はそんなことをしてる場合じゃない。」
服部が手を挙げる。
「結局のところひぐっさんには会えないの?」
寺嶋は首を振る。
「連れてくる気はなかったのはほんとだがそうも言ってられなくなった。このままじゃホウチュンが危ねえし、自分のせいで…そんで自分のいないところで誰かが傷付いたら死を選ぶかもしれん。それじゃ本末転倒だ。」
寺嶋はまっすぐ三男雄を見ると続ける。
「悪いがひぐっさんを連れ戻してくれ。俺の翼の方が早いが動物界のピンチの時に俺が離れるのはまずい。」
「なら俺がいきますよ。」
大きく翼を広げトビーがアピールする。
しかし、服部に手で制される。
「ダメよ。台風が来ると高く飛べないんでしょ?」
「いや、多少無理してでも行かないと…」
トビーの言葉を遮るように服部は立ち上がる。
「私が行く!トビーはホウチュン君を探して!それなら、高く飛ばなくても大丈夫でしょ?」
「でも、人の足じゃ…」
「大学生、舐めたらいかんぜよ!じゃーん!」
服部は財布から一枚のカードを取り出す。
「運転免許証〜!軽トラでもなんでも借りて彼を乗せて帰ってくるわ!」
服部の勢いに皆少し押されながら頷く。




