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「トビー、みのっち。今なんの話してる?」
脱線に脱線を重ねもはや戻ることのない話題に痺れを切らした服部は厳しい口調で続ける。
「早い子と手を打たないとほうちゅん君が勝手に動いちゃうんでしょ?」
「ああ、そうだった。動かない約束はしてくれたけどいつまで我慢できるかわかんないからな。」
三男雄は一つ咳払いすると2匹を交互に見る。
「リクガメから教えてもらわないとな。前に会った時ひぐっさんは避難してるって言ってた。あいつなら知ってるはずだ。」
−コンコン
「リクガメ様が?でもどうしてひぐっさんを連れてくるのさ?」
−コンコン
「誘導してもらいたいんだよ。やつのとこまで。」
「命を狙われてるんでしょ?ひぐっさんは。危険よ。」
-コンコン!
「ん?なんだ?」
三男雄はようやく音に気づきその方向へ向かう。
再三のノックに気づかないのも無理はなかった。
それはベランダもないただの窓だったのだ。
窓を開けるとそこには偉そうにふんぞり返るスズメがいた。
「遅い!もっと早く気づいてくれ!風が強くなってきて死ぬかと思ったわ!」
「「寺嶋さん!」」
トビーと三男雄は顔を明るくする。
「誰?」
1人状況の飲み込めない服部にトビーが説明する。
「この方が俺がよく話してたスズメの寺嶋さんだよ!」
服部はああという反応を見せると立ち上がり飲み物を注いでこようとする。
それを小さな片翼を広げ制止する。
「お嬢さん、お気遣いは結構。とりあえず話を聞いてもらいたい。」
いつにも増して丁寧な寺嶋はいつもとは比較にならないくらいの威圧感を感じられた。
「みのっち、トビー、そんで…」
「服部です。」
呼び名に困った寺嶋にすぐに服部が答える。
「そうか、服部さん。トビーが世話になったな。」
深々と頭を下げる寺嶋に釣られてトビーも頭を下げる。
さらにそれに釣られて服部も頭を下げて言う。
「いえいえ!とんでもない!トビーは居候ですけど毎日楽しませてくれてこちらこそ感謝、です。」
その言葉に寺嶋は微笑むとすぐに顔を引き締める。
「すまんが、挨拶はこのくらいにして本題に入るぞ。」
普段ふざけてるおじさんと言う印象でしかない寺嶋だがこれが本来の姿なのだろうとトビーと三男雄がゴクリと固唾を飲む。
「端的に言う。豊虫が山に入った。」




