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ボロボロ涙を流す三男雄を豊虫は抱きしめるか悩んだがやめて手を取る。
「父さんは無理やり食べられたの?」
「いいや、弟が連れてきて俺を助けたいって自分から食べられた…。」
「なら、みのっちさ。悪くなくない?その時はまだ自分がなかったんでしょ?」
優しい言葉をかけられて三男雄はただ首を振る。
「そうかもしれないけど…。俺が喰ったのは変わらない。生きる意思も…考える力すらなかった。この世に未練とかそんなのも感じられない俺をお前の父さんと弟が全部くれた…。」
震える三男雄にたまらなくなり豊虫は手を引き寄せ抱きしめる。
「辛かったね。勝手に殺されるのも嫌だけど、勝手に生かされるのも考えものだね。勝手にいろんなもの背負わされて迷惑だよね。」
豊虫の口から自然と言葉が出ていく。
「僕もいろんなことを勝手に背負わされて…背負ったのは自分かもしれないけど父さんのせいで背負わないでいいものまで…。」
三男雄は涙を流しながらキョトンとした顔をするが豊虫にそれは見えない。
「僕…何言ってんだろ…。不満なんてないのに…。みのっち見てたら…なんか…。」
声の震える豊虫を三男雄は抱きしめ返す。
「大丈夫。俺らは1人じゃないから…。」
「うん…うん…!」
どちらが励ましていたかもなんの話をしていたかも2人は忘れていた。
同じ魂の片割れを持つ2人は抱き合い涙を流し続けた。




