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警察からの事情聴取が終わり彼らが去った後トビーは一度飛び去り、3人だけがその場に残っていた。
「事情は聞いたけどダメよ、豊虫。」
小豆は珍しく厳しい顔をして諭そうとする。
「危険な目に遭ったばっかりなのにその原因を追っかけるなんて危険すぎる。わかるでしょ?これは警察に任せなさい。」
豊虫は黙ったまま地面を見つめている。
「そうよ、豊虫君。変質者は君の話だとマタギでケースの中身は猟銃なんでしょ?そんな危険なこと、お母さんじゃなくても許してくれないよ?」
服部の言葉にも依然反応を見せない豊虫に小豆はしびれを切らす。
「ダメよ!いくら大事な友達の危機だとしてもあなただけでどうにかなるわけがないでしょ!余計に被害を大きくして…もし…もし…あなたまでいなくなってしまったら…私…。」
そう言って豊虫の肩を掴みながら小豆は泣き出してしまう。
豊虫はそんな小豆を見てハッとする。
母はもうすでに愛する人である主人を亡くしている。
それで自分までいなくなってしまったら…。
豊虫は最悪の想定をする。
口にもしたくない。
「わかったよ…、母さん。警察に任せる。それでいいんでしょ?」
小豆は泣きながら豊虫の顔を見て頷いてギュッと抱きしめる。
「ごめんね…。お母さん…強くないから…。豊虫の気持ちを…無視しちゃって…。」
そういう小豆の背をポンポンと豊虫は叩いてやる。
「大丈夫。僕はいなくならないよ。」




