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目を覚ますと山の麓まで連れられていた。
体を起こし周囲を見ると一羽のフクロウが木から見下ろす。
「リクガメ様が連れ帰ってくれたんじゃよ。今度あったら礼をちゃんと言いなさい。」
まだぼんやりする頭でフクロウを見つめる。
「ホゥ爺、俺…。」
ホゥ爺と呼ばれたフクロウは優しく微笑み首を振る。
「忘れなさい。お前は拐かされそうになっただけじゃ。家へ帰って子供を抱いてやれ。そろそろだそうだ。」
「なんでわかるんだ?」
ホゥ爺はウィンクをすると首だけ残し後ろを向く。
「内緒じゃよ。早くお帰り。」
それだけいうと木から飛び立ち闇夜に紛れていく。




