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時は遡り現代からおよそ14年前。
森はいつもと同じようにイキイキと輝き動物たちはその輝きを分けてもらうことで生きていた。
その動物たちに紛れ1人、人間がいた。
駿馬である。
うんと背伸びをするとニカっと笑い、彼を囲む動物たちを見渡す。
「よく集まってくれた!紳士淑女諸君!」
動物たちはニヤケながら駿馬を小馬鹿にする。
「それは人間同士に使うもんだろ?俺らみたいな野生で野蛮なもんに使う言葉じゃねえよ。」
アリが1匹小さな体ながら皆に届くような声でやびる。
1匹がそう言い放つとそれが伝播するように皆笑い出す。
駿馬は笑みをたたえたままうんうんと頷く。
「うむ、言わんとすることは痛いほどわかる。俺も諸君たちみんなを紳士淑女などと思ってはいない。だが、人間だけに使う言葉ではないんだよ。実はな。」
笑っていた動物たちは静まり返る。
「品格、品位があって相手のことを思いやれるなら人間だって他の動物だって紳士淑女になれるんだよ。」
皆が見惚れるように駿馬を見る中、先ほどヤジを入れたアリはつまらなそうに土をいじる。
それを見て駿馬はニヤケ面で言う。
「もっとも、君は紳士には程遠いかもしれんがな。」
「余計なお世話だい!」
アリが言い返すと静まり返っていた動物たちはまた一斉に笑い出す。




