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ここ数日間、天気がすこぶる悪い。
暗雲立ち込める空には鳥1羽飛んでいない。
世間の学生が夏休みに入ると同時にこの街にしては少し気の早い台風が街を襲おうとしていた。
夏休みに入ってからはいつも公園で話をしていた。
豊虫は山の者が気がかりだった。
トビーと三男雄とも台風による被害を気にしていた。
「山もさ、台風はしんどいわけだろ?」
三男雄は今にも降り出しそうな空を見ながらトビーに聞く。
トビーは翼を整えながら答える。
「んー、まあ、危ないね。風に飛ばされたりするしね。だから俺も高く飛ばないし、他のやつも基本的に岩の間とかに隠れてるよ。」
「まあ、それでなんとかなるんだから野生って強いよな。」
三男雄はどこか無気力で遠くを見続けている。
豊虫はため息をついて寂しさを表す。
「会えてないよね…最近。」
「ん?あぁ、寺嶋さん達?まだまだ忙しいみたいだね。一応伝言で台風が来るが山に戻るなって言われたし。」
「それ、大丈夫なの?トビー、都会で慣れないのに。」
三男雄は一切二匹を見ることなく聞く。
トビーは胸を張っている。
「なんとなんと。心優しい人間の女性が宿を間借りさせてくれることになったんだよ。ほんと素敵な女性でさ…。今度紹介するよ!」
「そうなんだ。よかった…トビーも都会にしっかり馴染んでるね!」
豊虫の言葉にトビーは得意げな顔をしてヒュルルと鼻から息を吐く。
「ヒュルルルル。もう俺はシティボーイトビー、だ!ぜ!」
そう言ってウィンクするトビーを見てみんなで笑う。




